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第五草
45・火送り
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やばいな……。
オレは焦った。その糸の束が動くとか誰が思うだろう。
バサリバサリと切断はしていくが次から次へとそれは王の背中からはえてくる。
動き自体もはやく、逃げきれる気がしない。
「おいっ、どうするんだよ! これッ!!」
「どうするつもりだ?」
複雑な表情を浮かべながら双子が聞いてくる。
オレも聞きたい。どうしたらいい?
「きゃぁ」
「チャミちゃんっ!」
糸を結び直したらしい倒れていた者たちが動き出した。
「きりがないよ!! ユーリ。ボクが一気に」
息を吸い込みブレスをはく動作をしたヨキだったが口に糸を巻き付けられた。もごもごとヨキが口を動かす。
「ただ、手伝ってもらいたいだけなんだ。諦めて飼われてくれないかな。そうすれば、ここで暮らすのも悪くなんてないよ」
向こうに殺す気がないのがわかる。だからといって、飼い殺しされるのは……。
「お断りだ!!」
チャミちゃんとヨキを連れて行くと決めたからな。
「ぷぇぇぇぇぇぇ!!」
聞き覚えのある声が響いた。森にいるアイツの声が? 何でここで聞こえるんだ?
ドーンと力任せに突撃してきたのはオレそっくりのアイツだった。
「――っ!? なぜここに!!」
森の守護者と小さなヤツらが大量に飛び込んでくる。
まてよ、こいつらは王の餌になってしまうんじゃ……。
「おい、逃げろっ!」
まさか、オレのピンチは仲間のピンチだとでも思ったのか?
いやいや、そんなことは。
緑色達は糸に取り付くとそれを勢いよく食べ始めた。
糸がものすごい勢いでなくなっていく。
気がつけば、すべてが終わってしまった。
「ぷぇっ」
すべてを食べ尽くした緑色は守護者のところに集まり一つになる。オレ(に似た守護者)が丸い……。
「大丈夫だから、もう帰っていいぞー」
オレがそう言うと、来たときの勢いそのまま緑色のもふもふ達はどこかへと去っていった。
そこに残ったのは、オレ達と動かない虫羽達と、動けない王。
糸はまるっきり見えなくなっていた。
「あっはっは。全部取られてしまったなぁ」
茫然としていた王は突然笑いだした。
「ははっ、もうやめよう。どうせみんなもう死んでるんだよね。本当は一緒に死にたかったのに。何で動き続けないといけないんだよ」
誰に向かってかわからないが王は文句を言い続けていた。
「死なせてくれよ」
王は笑っている。笑っているけれど、どこか悲しそうだ。
「死なず茸……」
「ん?」
「虫に寄生するの。体中に糸を巡らせて死んでも体が動き続ける」
チャミちゃんはゆっくりと手を振り上げた。
「火の精霊イフリート、力を貸して」
彼女の髪が燃え上がる。
「チャミちゃん!?」
「大丈夫。すぐ終わらせれば」
王に狙いを定めて手を振り下ろす。
「イフリートフレア」
彼女の放った炎はまっすぐに王へと向かい燃え上がった。
そういう事は全部自分がするつもりだったのに、チャミちゃんにさせてしまった。
「ごめん、チャミちゃん」
「なんですか?」
「いや、オレが――」
「私、あなたの何でしたっけ?」
「あ――」
彼女の炎は王へと向かった。燃え上がったように見えた彼女の髪は無事だったが少しだけ灰のようなものが飛んでいた。
「私もあなたと一緒に行くと決めたんです」
チャミちゃんは目を閉じて手を前で合わせていた。
オレは焦った。その糸の束が動くとか誰が思うだろう。
バサリバサリと切断はしていくが次から次へとそれは王の背中からはえてくる。
動き自体もはやく、逃げきれる気がしない。
「おいっ、どうするんだよ! これッ!!」
「どうするつもりだ?」
複雑な表情を浮かべながら双子が聞いてくる。
オレも聞きたい。どうしたらいい?
「きゃぁ」
「チャミちゃんっ!」
糸を結び直したらしい倒れていた者たちが動き出した。
「きりがないよ!! ユーリ。ボクが一気に」
息を吸い込みブレスをはく動作をしたヨキだったが口に糸を巻き付けられた。もごもごとヨキが口を動かす。
「ただ、手伝ってもらいたいだけなんだ。諦めて飼われてくれないかな。そうすれば、ここで暮らすのも悪くなんてないよ」
向こうに殺す気がないのがわかる。だからといって、飼い殺しされるのは……。
「お断りだ!!」
チャミちゃんとヨキを連れて行くと決めたからな。
「ぷぇぇぇぇぇぇ!!」
聞き覚えのある声が響いた。森にいるアイツの声が? 何でここで聞こえるんだ?
ドーンと力任せに突撃してきたのはオレそっくりのアイツだった。
「――っ!? なぜここに!!」
森の守護者と小さなヤツらが大量に飛び込んでくる。
まてよ、こいつらは王の餌になってしまうんじゃ……。
「おい、逃げろっ!」
まさか、オレのピンチは仲間のピンチだとでも思ったのか?
いやいや、そんなことは。
緑色達は糸に取り付くとそれを勢いよく食べ始めた。
糸がものすごい勢いでなくなっていく。
気がつけば、すべてが終わってしまった。
「ぷぇっ」
すべてを食べ尽くした緑色は守護者のところに集まり一つになる。オレ(に似た守護者)が丸い……。
「大丈夫だから、もう帰っていいぞー」
オレがそう言うと、来たときの勢いそのまま緑色のもふもふ達はどこかへと去っていった。
そこに残ったのは、オレ達と動かない虫羽達と、動けない王。
糸はまるっきり見えなくなっていた。
「あっはっは。全部取られてしまったなぁ」
茫然としていた王は突然笑いだした。
「ははっ、もうやめよう。どうせみんなもう死んでるんだよね。本当は一緒に死にたかったのに。何で動き続けないといけないんだよ」
誰に向かってかわからないが王は文句を言い続けていた。
「死なせてくれよ」
王は笑っている。笑っているけれど、どこか悲しそうだ。
「死なず茸……」
「ん?」
「虫に寄生するの。体中に糸を巡らせて死んでも体が動き続ける」
チャミちゃんはゆっくりと手を振り上げた。
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彼女の髪が燃え上がる。
「チャミちゃん!?」
「大丈夫。すぐ終わらせれば」
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彼女の放った炎はまっすぐに王へと向かい燃え上がった。
そういう事は全部自分がするつもりだったのに、チャミちゃんにさせてしまった。
「ごめん、チャミちゃん」
「なんですか?」
「いや、オレが――」
「私、あなたの何でしたっけ?」
「あ――」
彼女の炎は王へと向かった。燃え上がったように見えた彼女の髪は無事だったが少しだけ灰のようなものが飛んでいた。
「私もあなたと一緒に行くと決めたんです」
チャミちゃんは目を閉じて手を前で合わせていた。
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