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第四草
21・フィン
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「ははは! 大漁大漁」
勝利を極めたオレ。見よ、この魚達。
……少し形が恐ろしい形状のヤツもいるが、きっと食べられるだろう。
「チャミちゃんも色々持ってるな」
「はい、これは食べられるんじゃないかなと」
貝や蟹を彼女は捕まえていた。
「よし、戻るか。おーい、ヨキ!!」
「んー?」
「戻るぞ」
「はーい」
ヨキを呼び戻す。女の子はそこに立ったまま、手を振っていた。
「一緒に行かないか?」
帰るなら一緒の場所だろうと誘ってはみたが、女の子は首を振っていた。
「そうか、気をつけて帰れよ」
もしかしたら、この辺に家があるのかもしれない。
そう思い、オレは女の子に帰るよう告げた。
◇
「波打ち際に女の子が一人で!?」
「あぁ、何か問題あったか」
「あ、いえ……。どんな容姿でしたか?」
「あー、えっと」
「フィンって名前の黒と白色の髪の毛の女の子!!」
ヨキがオレの代わりに説明してくれた。
そうだ、そんな子だった。フィンって名前だったのか。
かたりと物が落ちる音がした。ナツメの持っていた料理用ナイフが彼の手から落ちたからだった。
「ナツメさん?」
「どこで!! どこでフィンを見たんですか!! 他に誰か一緒に居ませんでしたか!?」
「だからさっきも言ったけど、ここから遠くない海が見える場所ですよ。怪物がでる場所からもうちょっと離れた場所です大きな岩や木が……って目印らしい目印にはならないか。えーっと」
「今すぐ連れて行って下さい!!」
「え、でも危険じゃないですか?」
後ろに目は向けると、白い靄がすぐそこに迫っていた。このまま外に出ても見えないし、たどり着くのが困難そうだ。
ナツメは外を見て諦めたのか、落としたナイフを拾ってふらふらと座り込んだ。
「フィンは……、大切な姪なんです。姉と求める者の義兄との。ワタシの家族とも……仲良かったんです。少し前までは」
ナツメは片手で目を覆っていた。とても辛そうにしている。
いったい何があったのか。ワタシの家族……、ここにその人達がいないのは何故だろう。
「何があったんですか?」
チャミちゃんが聞くとナツメは話し始めてくれた。
「あれは数週間前でした――」
ナツメの話を要約すると、ナツメの子どもバーシィとフィンが怪物に出会ってしまったらしいのだ。
その話をしてくれたのはフィンとフィンの母親。
そこにバーシィはいなかった。
そしてその日から街に白い靄がかかっているのだそうだ。
バーシィの母、チャミちゃんの着ている服の持ち主は子どもを探して海へと出てしまった。彼女もまた帰らぬ人になってしまった。ナツメも探したが、二人を見つける事が出来ていない。それどころか、仲良くしていた姉家族まで消えてしまった。
「一人ここに取り残されてしまったんです」
そうこぼした後、ナツメは頭を下げてきた。
「申し訳ない。君達をワタシは身代わりに出来ないかと考えてしまった。同じ服をきた者が現れれば、代わりに連れていき、二人が帰ってくるんじゃないかと……」
この街では他にも事件が起きていたそうだ。
若さを吸いとられる。
突然、姿を消した者が帰ってくると子どもは大人に、大人は老人になってしまう。
被害者達は記憶を消されてしまい、赤ちゃんのようになってしまう。
「この事件に巻き込まれてしまったのかもしれないと考えました。だけど、二人は帰ってもこないんです」
オレは話を聞いて、何も言い出せなかった。
大切な人を失う悲しみは痛いほどわかるから。
はやく、ここから出た方がいいか?
このままではきっと……。
「探すのを手伝います!!」
「フィンと明日も遊ぼうって話したんだ! おじさん一緒に行こう。フィンが何か知ってるかも」
…………まあ、こうなるよな。自分達を犠牲にするつもりだったって言ってるのにお人好しだ。
「とりあえず今日はこの視界じゃ、危ないだろ。明日皆で行きましょう。ナツメさんもそれでいいですよね?」
オレもあまり人の事は言えないか。
勝利を極めたオレ。見よ、この魚達。
……少し形が恐ろしい形状のヤツもいるが、きっと食べられるだろう。
「チャミちゃんも色々持ってるな」
「はい、これは食べられるんじゃないかなと」
貝や蟹を彼女は捕まえていた。
「よし、戻るか。おーい、ヨキ!!」
「んー?」
「戻るぞ」
「はーい」
ヨキを呼び戻す。女の子はそこに立ったまま、手を振っていた。
「一緒に行かないか?」
帰るなら一緒の場所だろうと誘ってはみたが、女の子は首を振っていた。
「そうか、気をつけて帰れよ」
もしかしたら、この辺に家があるのかもしれない。
そう思い、オレは女の子に帰るよう告げた。
◇
「波打ち際に女の子が一人で!?」
「あぁ、何か問題あったか」
「あ、いえ……。どんな容姿でしたか?」
「あー、えっと」
「フィンって名前の黒と白色の髪の毛の女の子!!」
ヨキがオレの代わりに説明してくれた。
そうだ、そんな子だった。フィンって名前だったのか。
かたりと物が落ちる音がした。ナツメの持っていた料理用ナイフが彼の手から落ちたからだった。
「ナツメさん?」
「どこで!! どこでフィンを見たんですか!! 他に誰か一緒に居ませんでしたか!?」
「だからさっきも言ったけど、ここから遠くない海が見える場所ですよ。怪物がでる場所からもうちょっと離れた場所です大きな岩や木が……って目印らしい目印にはならないか。えーっと」
「今すぐ連れて行って下さい!!」
「え、でも危険じゃないですか?」
後ろに目は向けると、白い靄がすぐそこに迫っていた。このまま外に出ても見えないし、たどり着くのが困難そうだ。
ナツメは外を見て諦めたのか、落としたナイフを拾ってふらふらと座り込んだ。
「フィンは……、大切な姪なんです。姉と求める者の義兄との。ワタシの家族とも……仲良かったんです。少し前までは」
ナツメは片手で目を覆っていた。とても辛そうにしている。
いったい何があったのか。ワタシの家族……、ここにその人達がいないのは何故だろう。
「何があったんですか?」
チャミちゃんが聞くとナツメは話し始めてくれた。
「あれは数週間前でした――」
ナツメの話を要約すると、ナツメの子どもバーシィとフィンが怪物に出会ってしまったらしいのだ。
その話をしてくれたのはフィンとフィンの母親。
そこにバーシィはいなかった。
そしてその日から街に白い靄がかかっているのだそうだ。
バーシィの母、チャミちゃんの着ている服の持ち主は子どもを探して海へと出てしまった。彼女もまた帰らぬ人になってしまった。ナツメも探したが、二人を見つける事が出来ていない。それどころか、仲良くしていた姉家族まで消えてしまった。
「一人ここに取り残されてしまったんです」
そうこぼした後、ナツメは頭を下げてきた。
「申し訳ない。君達をワタシは身代わりに出来ないかと考えてしまった。同じ服をきた者が現れれば、代わりに連れていき、二人が帰ってくるんじゃないかと……」
この街では他にも事件が起きていたそうだ。
若さを吸いとられる。
突然、姿を消した者が帰ってくると子どもは大人に、大人は老人になってしまう。
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「この事件に巻き込まれてしまったのかもしれないと考えました。だけど、二人は帰ってもこないんです」
オレは話を聞いて、何も言い出せなかった。
大切な人を失う悲しみは痛いほどわかるから。
はやく、ここから出た方がいいか?
このままではきっと……。
「探すのを手伝います!!」
「フィンと明日も遊ぼうって話したんだ! おじさん一緒に行こう。フィンが何か知ってるかも」
…………まあ、こうなるよな。自分達を犠牲にするつもりだったって言ってるのにお人好しだ。
「とりあえず今日はこの視界じゃ、危ないだろ。明日皆で行きましょう。ナツメさんもそれでいいですよね?」
オレもあまり人の事は言えないか。
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