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公爵令嬢の闇落ち
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闇夜。
美しくも堅牢な王城の、一番警護の強い部屋。国王の寝室は、現在夥しい真紅の液体に彩られていた。
折り重なる赤を纏ったこと切れた人形たち。それは男の形も、女の形も。老いも、若きも。身分の上下なく、かの部屋に乱雑に積み重なっている。
その部屋で、たった二人だけが、立ち尽くしていた。一人は、若い男。もう一人は、若い女の声をした―ー
「…コーデリア…」
瞳の光を失い、沢山の返り血を浴びながら。その紅い汚れがなければ、豪奢な意匠が施されていたであろう衣類を、ただ厭わしく引きずりながら、若い男は目の前の妖艶な女に語りかけた。
「…お久しぶりです、殿下…いえ、陛下でしたわね。ご即位おめでとうございます…」
やけに紅い紅をさした唇に、病的なまでに青白い肢体。漆黒のドレスをふわりとはためかせながら、女は嫣然と微笑んだ。
「…御託はいい。今は、『何回目』なんだ?」
その問いを受けて、女は唇を満足げにゆがめて微笑んだ。
「まだ『26回目』ですわ、陛下…」
そう微笑みながら、つい先程まで男と睦みあい、愛を語らっていたはずの若い女の死体を抱き起こし、女は白い指でいとおしげにその頬をなでる。
「ふふ、アリアちゃん。今日はせっかくの初夜でしたのに。…でも、最期は陛下に愛でていただいて、満足していただけましたかしら・・・」
そう呟きながら、女の死体の頬をその鋭利な爪で抉り始めた。彼女の名を、いとおしげに呼びながら。
「アリアちゃん、アリアちゃん、アリアちゃん。陛下はお優しかったかしら?私には、ずうっと冷たかったのにね。あなたには、やさしかったのよね…楽しかった?アリアちゃん。ふふふ…」
コーデリアは、優しい慈母ののような微笑を浮かべながら、女の死体の頬や首の肉をえぐり続ける。穏やかな表情に対し、苛烈な行いは酷く歪だった。そして、その行いを目の前で見ていながら、止めようともしない若い王の姿も、また。
歪な関係の始まりは、幼い頃からの婚約者の行いを断じ、異例となる婚約破棄を行ったことにさかのぼる。
王国の王太子として、久しぶりに国の要となる聖女が光臨したとして、彼女を守る使命に燃えていた王太子は、男爵令嬢であったアリアの言を鵜呑みにし、幼い頃からの婚約者であったコーデリアを断罪した。平民上がりの彼女を害したというその行いにおいて。
国王の許可を待たず、国王が遠方の国王との密約に赴いたその隙に、彼はコーデリアを断罪した。そして、周りの求めるまま、彼女の生家であったブルックス公爵家をも有罪とし、一家を処刑してしまった。
その全てが虚構であったと気づいたのは、公爵家一家が彼の目の前で処刑されるその時であった。
父、母が目の前で斬首されるさまを見て、絶望した彼女は、髪を振り乱して咆哮した。
「私は神などもう信じない!!全て滅んでしまえ!!」
そうして彼女もまた斬首された。その瞬間、血を噴出して事切れた彼女の死体から眩いばかりの光があふれ出して一瞬で天へと登り、それが届くと同時に禍々しい闇がそこから王国中に降り注いだ。
そのさまを間近に見たものたちは今更ながらに、起こった出来事に恐れをなした。
今まで自分たちが守ってきたものは、もしや全てが偽りだったのではないかと。
王太子の傍らで薄ら笑いを浮かべていたアリアも、目の前の惨状を前にして顔色は土気色になっていた。
アリアは聖女ではなかった。聖女だったのはアリアではなく、王太子にまとわりつく彼女をけん制していて常に隣にいたコーデリアだったのだ。
彼女はその力を全て呪詛に用いて死んだ。それから、王国の苦難は始まった。
大地の恵みは衰え、作物は不作ばかり。漁に出ても魚は取れず。森に入って獣を探しても、獣も取れず。森はどんどん枯れていき、人心は大きく乱れた。
事態を聞き急遽帰国した国王は、神にうかがいを立てたが、神の応答は無かった。
せめてと、国王は自らの命を捧げて許しを乞うたが、それで得られた回答は、『王太子に『100回の死を与える』』だけであった。
彼はここに来て、事の大きさに怯えた。父は神託を受けるために命を捧げ、自分が王位を継いだが、国民の心は乱れたままだった。傍らにあれほど望んだ妻をはべらしても、何の安らぎも得られなかった。
そんな絶望の日々を送る中、ある日、唐突にその日々は終わりを告げた。
「殿下、お久しぶりですわ」
そう、生前のように微笑みながら、黒い悪魔が彼の前に現れたのだ。
「殿下、これから『100回』あなたの幸せを壊しますわ。…そうしたら、許して差し上げますわ」
そう微笑みながら、彼女は彼の隣にいた妻を刺した漆黒の剣で彼を刺し殺した。
それが、始まりの『一回目』。
そして気がつけば、断罪し、彼女が事切れたその瞬間に巻き戻る。
その間、記憶は失われたまま。しかし、黒い悪魔が目の前に現れた瞬間、彼に其れまでの死の記憶が蘇るのだ。
2回目。泣き叫んで許しを乞うたが聞き届けられなかった。
3回目。ひたすら低姿勢に許しを乞うたが同じだった。
4回目。逆に返り討ちにしようとしてかえり討たれた。
5回目。話し合おうとして断られて殺された。
…何度も、何度も。そのたびごとに、その状況は多少の変化は見せるものの、彼が大事なものを全て失うその結果は同じ。
黒い悪魔が迎えにやってきて、全てを終わらせる。
何度も何度も繰り返すうち、記憶が無いはずなのに、体の疲労は積もる一方になり、眠れなくなっていった。
傍らの彼女に癒しを求めても、どこか空虚でむしろ罪悪感が増した。
彼は生ける屍になっていった。
どうあがいても、一年以内に黒い悪魔がやってくる。
そのうち、なんの痛みも覚えなくなっていった。喜びも。悲しみも、怒りも。
ただ無表情に毎日をこなし、黒い悪魔の迎えを待つ。
「さあ殿下、本日は何回目だとお思いですか?」
いつものように黒い悪魔を出迎え、無表情にそのときを待つ彼に、彼女は蠱惑的な微笑を浮かべた。
「…知らん」
彼は最早言葉を発するのも億劫な状態になっていた。そんな彼を見て、彼女は満足げに微笑んだ。
「お喜びください、陛下。本日が100回目でございますよ」
そう弾んだ声で微笑みながら、彼女はとあるものを彼に差し出した。
「…それは」
彼女が彼に手渡したのは、彼女の首を切り落とした斧だった。ところどころについていたはずの血糊は、今はただの赤錆となり、もち手も刃物部分も朽ち果てる寸前のものだ。
「さあ陛下。それで私の首を落としてくださいまし」
これまで浮かべた黒い微笑ではなく、生前時折彼に向けていたはにかんだ微笑を浮かべ、彼女は彼の前にひざまずき、恭しく首をさらした。
「…っ」
「私の首を貴方が落とせば、私の呪いは終わります。自由になれますよ?」
「…それで、貴女はどうなるのだ」
彼のその言葉を聴いて、彼女は彼を見上げてきょとんとした表情をした。
「…今更、其れをお聞きになりますか?」
「…頼む」
彼らの間の空気は、今は生前彼らが時折王宮内でぎこちない茶会をしていた頃に近いものだった。
「ふふふ」
コーデリアは切なげに彼を見上げて笑う。
「ただ、終わるだけですわ。私は神を呪いました。ですから、消滅するでしょうね」
この魂も。記憶も。すべて。
そう、なんでもないように微笑む。
「コーデリア…」
「さようなら、殿下。…もう二度と、会うこともないでしょう」
そういった瞬間、彼女の首は初めのあのときのように、ころりと床に落ちた。
そして、彼女からは夥しい血が噴出し、目の前の彼にびしゃりと降り注いだ。
「あ…あ…ああ…!!」
鮮血をまともに浴びながら、彼は頭を抱えてもだえた。
『どうして私を信じてくださらないの』
『私が何をしたというのですか』
『目を覚ましてください殿下』
『殿下』
『でんか』
『どうして』
『わたしを』
『こ ろ す の で す か 』
『お慕いしておりましたのに』
『好きでした』
『大嫌い』
『さようなら』
今際の際の彼女の切れ切れの思考が彼を蝕んだ。
「あ゛あ゛あ゛アアアア…!!」
「こーで、り、あ…!!」
そうして彼の意識は闇に溶けた。
――王宮。
ここには、長く精神を病んだ元王太子が幽閉されていた。
学園に通い始める年齢になったその年に、彼はいきなり発狂した。
「コーデリア、コーデリア」
うわ言の様に、どこかの令嬢の名をひたすら繰り返す。
うつろな目には、最早何も映っていなかった。
彼は知らない。同い年の令嬢に、コーデリアと言う名の令嬢はいないことを。ブルックス公爵家など、この世界には存在しないことを。
それが、世界をも呪った聖女コーデリアの最期の願い。
『消えてしまいたい』
そのとおりに、彼女はその存在を消してしまったということに、彼は生涯気づくことはなかった。
美しくも堅牢な王城の、一番警護の強い部屋。国王の寝室は、現在夥しい真紅の液体に彩られていた。
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「…御託はいい。今は、『何回目』なんだ?」
その問いを受けて、女は唇を満足げにゆがめて微笑んだ。
「まだ『26回目』ですわ、陛下…」
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「アリアちゃん、アリアちゃん、アリアちゃん。陛下はお優しかったかしら?私には、ずうっと冷たかったのにね。あなたには、やさしかったのよね…楽しかった?アリアちゃん。ふふふ…」
コーデリアは、優しい慈母ののような微笑を浮かべながら、女の死体の頬や首の肉をえぐり続ける。穏やかな表情に対し、苛烈な行いは酷く歪だった。そして、その行いを目の前で見ていながら、止めようともしない若い王の姿も、また。
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王国の王太子として、久しぶりに国の要となる聖女が光臨したとして、彼女を守る使命に燃えていた王太子は、男爵令嬢であったアリアの言を鵜呑みにし、幼い頃からの婚約者であったコーデリアを断罪した。平民上がりの彼女を害したというその行いにおいて。
国王の許可を待たず、国王が遠方の国王との密約に赴いたその隙に、彼はコーデリアを断罪した。そして、周りの求めるまま、彼女の生家であったブルックス公爵家をも有罪とし、一家を処刑してしまった。
その全てが虚構であったと気づいたのは、公爵家一家が彼の目の前で処刑されるその時であった。
父、母が目の前で斬首されるさまを見て、絶望した彼女は、髪を振り乱して咆哮した。
「私は神などもう信じない!!全て滅んでしまえ!!」
そうして彼女もまた斬首された。その瞬間、血を噴出して事切れた彼女の死体から眩いばかりの光があふれ出して一瞬で天へと登り、それが届くと同時に禍々しい闇がそこから王国中に降り注いだ。
そのさまを間近に見たものたちは今更ながらに、起こった出来事に恐れをなした。
今まで自分たちが守ってきたものは、もしや全てが偽りだったのではないかと。
王太子の傍らで薄ら笑いを浮かべていたアリアも、目の前の惨状を前にして顔色は土気色になっていた。
アリアは聖女ではなかった。聖女だったのはアリアではなく、王太子にまとわりつく彼女をけん制していて常に隣にいたコーデリアだったのだ。
彼女はその力を全て呪詛に用いて死んだ。それから、王国の苦難は始まった。
大地の恵みは衰え、作物は不作ばかり。漁に出ても魚は取れず。森に入って獣を探しても、獣も取れず。森はどんどん枯れていき、人心は大きく乱れた。
事態を聞き急遽帰国した国王は、神にうかがいを立てたが、神の応答は無かった。
せめてと、国王は自らの命を捧げて許しを乞うたが、それで得られた回答は、『王太子に『100回の死を与える』』だけであった。
彼はここに来て、事の大きさに怯えた。父は神託を受けるために命を捧げ、自分が王位を継いだが、国民の心は乱れたままだった。傍らにあれほど望んだ妻をはべらしても、何の安らぎも得られなかった。
そんな絶望の日々を送る中、ある日、唐突にその日々は終わりを告げた。
「殿下、お久しぶりですわ」
そう、生前のように微笑みながら、黒い悪魔が彼の前に現れたのだ。
「殿下、これから『100回』あなたの幸せを壊しますわ。…そうしたら、許して差し上げますわ」
そう微笑みながら、彼女は彼の隣にいた妻を刺した漆黒の剣で彼を刺し殺した。
それが、始まりの『一回目』。
そして気がつけば、断罪し、彼女が事切れたその瞬間に巻き戻る。
その間、記憶は失われたまま。しかし、黒い悪魔が目の前に現れた瞬間、彼に其れまでの死の記憶が蘇るのだ。
2回目。泣き叫んで許しを乞うたが聞き届けられなかった。
3回目。ひたすら低姿勢に許しを乞うたが同じだった。
4回目。逆に返り討ちにしようとしてかえり討たれた。
5回目。話し合おうとして断られて殺された。
…何度も、何度も。そのたびごとに、その状況は多少の変化は見せるものの、彼が大事なものを全て失うその結果は同じ。
黒い悪魔が迎えにやってきて、全てを終わらせる。
何度も何度も繰り返すうち、記憶が無いはずなのに、体の疲労は積もる一方になり、眠れなくなっていった。
傍らの彼女に癒しを求めても、どこか空虚でむしろ罪悪感が増した。
彼は生ける屍になっていった。
どうあがいても、一年以内に黒い悪魔がやってくる。
そのうち、なんの痛みも覚えなくなっていった。喜びも。悲しみも、怒りも。
ただ無表情に毎日をこなし、黒い悪魔の迎えを待つ。
「さあ殿下、本日は何回目だとお思いですか?」
いつものように黒い悪魔を出迎え、無表情にそのときを待つ彼に、彼女は蠱惑的な微笑を浮かべた。
「…知らん」
彼は最早言葉を発するのも億劫な状態になっていた。そんな彼を見て、彼女は満足げに微笑んだ。
「お喜びください、陛下。本日が100回目でございますよ」
そう弾んだ声で微笑みながら、彼女はとあるものを彼に差し出した。
「…それは」
彼女が彼に手渡したのは、彼女の首を切り落とした斧だった。ところどころについていたはずの血糊は、今はただの赤錆となり、もち手も刃物部分も朽ち果てる寸前のものだ。
「さあ陛下。それで私の首を落としてくださいまし」
これまで浮かべた黒い微笑ではなく、生前時折彼に向けていたはにかんだ微笑を浮かべ、彼女は彼の前にひざまずき、恭しく首をさらした。
「…っ」
「私の首を貴方が落とせば、私の呪いは終わります。自由になれますよ?」
「…それで、貴女はどうなるのだ」
彼のその言葉を聴いて、彼女は彼を見上げてきょとんとした表情をした。
「…今更、其れをお聞きになりますか?」
「…頼む」
彼らの間の空気は、今は生前彼らが時折王宮内でぎこちない茶会をしていた頃に近いものだった。
「ふふふ」
コーデリアは切なげに彼を見上げて笑う。
「ただ、終わるだけですわ。私は神を呪いました。ですから、消滅するでしょうね」
この魂も。記憶も。すべて。
そう、なんでもないように微笑む。
「コーデリア…」
「さようなら、殿下。…もう二度と、会うこともないでしょう」
そういった瞬間、彼女の首は初めのあのときのように、ころりと床に落ちた。
そして、彼女からは夥しい血が噴出し、目の前の彼にびしゃりと降り注いだ。
「あ…あ…ああ…!!」
鮮血をまともに浴びながら、彼は頭を抱えてもだえた。
『どうして私を信じてくださらないの』
『私が何をしたというのですか』
『目を覚ましてください殿下』
『殿下』
『でんか』
『どうして』
『わたしを』
『こ ろ す の で す か 』
『お慕いしておりましたのに』
『好きでした』
『大嫌い』
『さようなら』
今際の際の彼女の切れ切れの思考が彼を蝕んだ。
「あ゛あ゛あ゛アアアア…!!」
「こーで、り、あ…!!」
そうして彼の意識は闇に溶けた。
――王宮。
ここには、長く精神を病んだ元王太子が幽閉されていた。
学園に通い始める年齢になったその年に、彼はいきなり発狂した。
「コーデリア、コーデリア」
うわ言の様に、どこかの令嬢の名をひたすら繰り返す。
うつろな目には、最早何も映っていなかった。
彼は知らない。同い年の令嬢に、コーデリアと言う名の令嬢はいないことを。ブルックス公爵家など、この世界には存在しないことを。
それが、世界をも呪った聖女コーデリアの最期の願い。
『消えてしまいたい』
そのとおりに、彼女はその存在を消してしまったということに、彼は生涯気づくことはなかった。
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