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3話
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「ねえ、お母さま。聞いてちょうだい。今日ね、私に婚約者ができたの」
十四歳の誕生日からずっと、シゼルは動かない。だけどぼんやりと開いた瞼から覗く青い瞳はわずかに揺れ、触れた手も温かい。抱きしめればたしかな鼓動が伝わってくる。
そっと手に持っていたスプーンをシゼルの口に当て、傾ける。ゆっくりとだけど飲みこまれていくスープに、リネットはほっと胸を撫でおろした。
今日も母は生きていて、生きようとしてくれていると安心できたからだ。
「エイベル・アンローズ様と言うの。侯爵家の方でね、とても素敵だったわ。ほら前に、教会の近くで優しい男の子に会ったと話したことがあるでしょう? そのときの子でね、彼も私を覚えていてくれたのよ」
微笑んで、できる限り声を弾ませる。少しでも不安を抱かないように、ゆっくりと心と体を休めるように。
◇◇◇
「お前も一応はメイディス家の一員だからな。婚約者をつけてやろう」
そうリネットの父親であるメイディス伯が言い出したのは、朝食の席でだった。
普段は一緒に食事をするのも嫌がる彼と、姉のアメリアがリネットの同席を認めたのは、これが理由だったのだろう。
柔らかなパンをちぎって口に運びながら、リネットはこれといった興味も示さずに聞いていた。
「エイベル・アンローズって知っているでしょう? 由緒正しい侯爵家の嫡男で、是非とも我が家と縁づきたいのですって。でも私には釣り合わないと思うのよ。だから、あなたにあげるわ。社交界にも出てこれないほどの醜男だそうだから、あなたとも釣り合うでしょう?」
エイベル・アンローズの名前はリネットも耳にしたことがある。
これまで一度も社交界に出てきたことがない侯爵家の息子。歴史ある侯爵家の跡継ぎなのに人前に顔を出さないのは、きっとそうせざるを得ない顔なのだろう。大きな傷痕があるのか、あるいは爛れているのか。それとも人前に出せないほど性根が悪いのか。
ひそひそと、笑いながら話す声を何度も社交界で聞いた。
噂だけで人間性を決めつけられている彼に、勝手に親近感を抱いやことすらある。
「お姉さまは、よろしいのですか?」
「不服なの?」
誰に嫁ごうと、リネットに不満はない。アメリアも彼女の父親であるメイディス伯も、アメリアに従順であることを望んだ。
リネットが少しでも反論すれば彼らの怒りはシゼルに向けられ――シゼルが物言わぬ体となってからは、直接リネットに向けられるようになった。
「そうではありません。お父さまもお姉さまもそれでよろしいのなら、私は構いません」
だからおとなしく受け入れた。今はまだ反応のあるリネットを罰することを面白がっているが、彼らの矛先がまたいつシゼルに向けられるかわからない。
それに、悪いことばかりではない。たったひとりだけを夫として認め、愛する許可をもらえたのだと思えば――
「……私が嫁いだあとは、お母さまはどうなりますか?」
不安があるとすれば、母親のことだけ。この家にシゼルの味方はいない。彼女の食事も身の回りの世話もすべてリネットがやっている。
一緒に連れていく許可は下りないだろう。だけど捨て置くことはできない。
「あら、いやだわ。私がただの人形と遊ぶ趣味があると思っているの? 人形遊びで楽しむような年ではもうないのよ。あれでも一応、お父様の妻ですもの。餓死されたら困るのは私たちも同じよ」
食事を与えずに見殺しにするのは、自ら手を下したも当然だ。
貴族は平民を殺してもそこまで重い罪にはならないが、同じ貴族、しかも自ら受け入れ同格になることを許した妻を殺したとなれば、それ相応の報いを受けることになる。
「死なない程度には面倒をみてあげるわ。ねえ、そうでしょう。お父様」
話を振られたメイディス伯は、ちらりとアメリアを見ると静かにうなずいた。
「お前がアンローズ夫人として己の役目をまっとうしている間は、我が妻として扱うことを約束しよう」
「……ありがとうございます」
メイディス伯が約束を守る人間だということをリネットは知っている。
そして同時に、約束を守らなければどうなるかもよく理解していた。
「申し出、謹んでお受けいたします。それでアンローズ卿とはいつお会いすればよろしいでしょうか」
「今日だ。このあと訪ねてくるから、つつがなく進ませるように」
おそらくは、リネットに考える暇を与えたくはなかったのだろう。だとしても、承諾した数時間後はないだろうと思わず頬をひきつらせそうになる。
だがリネットが不快感を露わにすることを、彼女の家族は望んでいない。少しでも顔に出せば、不服なのかと鞭で打たれることを、よく理解していた。
だからリネットはことさら明るく笑えるように努め。
「そうなのですね。お会いできるのが楽しみです」
できる限り声を弾ませた。
たとえアメリアが「醜男相手でもあんなに喜べるなんて」と嘲笑っていようと。
そうして訪ねてきたエイベル・アンローズにリネットは目を見開かせた。
「エイベル・アンローズ様……?」
菫色の瞳に灰色の髪。その色合いに、リネットは覚えがった。
幼少のころ、家族で出かけたさきではぐれ、泣いていたリネットを案じて教会に連れていってくれた男の子がいた。その子も彼と同じ、菫色の瞳に灰色の髪を持っていた。
泣かなくて大丈夫だよ、親が見つかるまでずっと一緒にいるから。そう言って、頭を撫でてくれた。
家族とはぐれたことを不安がっているのではなく、迷子になって咎められる母を想って泣いていたのだが、それでも優しくして思い出は温かなものとしてリネットの胸に残っていた。
「君は……あのときの」
そして見覚えがあったのは、リネットだけではなかったようだ。彼もまた、リネットに見覚えがあったのだろう。
短いやり取りではあったが、あのときの男の子だと確信するにはじゅうぶんだった。押し付けられた婚約だけど、彼となら幸せになれるかもしれない。そんな思いで、胸が高鳴った。
「リネット・メイディスと申します。これからよろしくお願いいたします」
だがリネットがほほ笑むと、エイベルの顔があからさまにひきつった。
「どういうことですか。婚約者として名が挙がっていたのはアメリア嬢だったはずです」
「縁付きたいのは我が家とであって、誰にするかの指定はなかったはずです。アメリアと、というのはあなたがたの勘違いでしょう」
実際に誰と、というやり取りをしていなかったのだろう。だが家格が上である侯爵家との結婚なのだから、当然魔力がほぼないリネットを当てるはずがない――そう思ったとしても不思議ではない。
とはいえ、明確な約束を交わしていない以上話が違うと言えるはずもなく。エイベルは押し黙り、リネットに目を向けた。そこにはあからさまな嫌悪の色がにじんでいる。
「……わかりました。こちらとしても、約束を違える気はありません。リネット嬢を婚約者として受け入れます」
「それはなにより。では、両家の末永い幸福を願いこちらの婚約誓約書にサインを」
誓約書に名前が記されていくのを、リネットはただほほ笑みながら眺めた。
胸に抱いていた期待が砕け散ったことを誰にも悟られないように。
十四歳の誕生日からずっと、シゼルは動かない。だけどぼんやりと開いた瞼から覗く青い瞳はわずかに揺れ、触れた手も温かい。抱きしめればたしかな鼓動が伝わってくる。
そっと手に持っていたスプーンをシゼルの口に当て、傾ける。ゆっくりとだけど飲みこまれていくスープに、リネットはほっと胸を撫でおろした。
今日も母は生きていて、生きようとしてくれていると安心できたからだ。
「エイベル・アンローズ様と言うの。侯爵家の方でね、とても素敵だったわ。ほら前に、教会の近くで優しい男の子に会ったと話したことがあるでしょう? そのときの子でね、彼も私を覚えていてくれたのよ」
微笑んで、できる限り声を弾ませる。少しでも不安を抱かないように、ゆっくりと心と体を休めるように。
◇◇◇
「お前も一応はメイディス家の一員だからな。婚約者をつけてやろう」
そうリネットの父親であるメイディス伯が言い出したのは、朝食の席でだった。
普段は一緒に食事をするのも嫌がる彼と、姉のアメリアがリネットの同席を認めたのは、これが理由だったのだろう。
柔らかなパンをちぎって口に運びながら、リネットはこれといった興味も示さずに聞いていた。
「エイベル・アンローズって知っているでしょう? 由緒正しい侯爵家の嫡男で、是非とも我が家と縁づきたいのですって。でも私には釣り合わないと思うのよ。だから、あなたにあげるわ。社交界にも出てこれないほどの醜男だそうだから、あなたとも釣り合うでしょう?」
エイベル・アンローズの名前はリネットも耳にしたことがある。
これまで一度も社交界に出てきたことがない侯爵家の息子。歴史ある侯爵家の跡継ぎなのに人前に顔を出さないのは、きっとそうせざるを得ない顔なのだろう。大きな傷痕があるのか、あるいは爛れているのか。それとも人前に出せないほど性根が悪いのか。
ひそひそと、笑いながら話す声を何度も社交界で聞いた。
噂だけで人間性を決めつけられている彼に、勝手に親近感を抱いやことすらある。
「お姉さまは、よろしいのですか?」
「不服なの?」
誰に嫁ごうと、リネットに不満はない。アメリアも彼女の父親であるメイディス伯も、アメリアに従順であることを望んだ。
リネットが少しでも反論すれば彼らの怒りはシゼルに向けられ――シゼルが物言わぬ体となってからは、直接リネットに向けられるようになった。
「そうではありません。お父さまもお姉さまもそれでよろしいのなら、私は構いません」
だからおとなしく受け入れた。今はまだ反応のあるリネットを罰することを面白がっているが、彼らの矛先がまたいつシゼルに向けられるかわからない。
それに、悪いことばかりではない。たったひとりだけを夫として認め、愛する許可をもらえたのだと思えば――
「……私が嫁いだあとは、お母さまはどうなりますか?」
不安があるとすれば、母親のことだけ。この家にシゼルの味方はいない。彼女の食事も身の回りの世話もすべてリネットがやっている。
一緒に連れていく許可は下りないだろう。だけど捨て置くことはできない。
「あら、いやだわ。私がただの人形と遊ぶ趣味があると思っているの? 人形遊びで楽しむような年ではもうないのよ。あれでも一応、お父様の妻ですもの。餓死されたら困るのは私たちも同じよ」
食事を与えずに見殺しにするのは、自ら手を下したも当然だ。
貴族は平民を殺してもそこまで重い罪にはならないが、同じ貴族、しかも自ら受け入れ同格になることを許した妻を殺したとなれば、それ相応の報いを受けることになる。
「死なない程度には面倒をみてあげるわ。ねえ、そうでしょう。お父様」
話を振られたメイディス伯は、ちらりとアメリアを見ると静かにうなずいた。
「お前がアンローズ夫人として己の役目をまっとうしている間は、我が妻として扱うことを約束しよう」
「……ありがとうございます」
メイディス伯が約束を守る人間だということをリネットは知っている。
そして同時に、約束を守らなければどうなるかもよく理解していた。
「申し出、謹んでお受けいたします。それでアンローズ卿とはいつお会いすればよろしいでしょうか」
「今日だ。このあと訪ねてくるから、つつがなく進ませるように」
おそらくは、リネットに考える暇を与えたくはなかったのだろう。だとしても、承諾した数時間後はないだろうと思わず頬をひきつらせそうになる。
だがリネットが不快感を露わにすることを、彼女の家族は望んでいない。少しでも顔に出せば、不服なのかと鞭で打たれることを、よく理解していた。
だからリネットはことさら明るく笑えるように努め。
「そうなのですね。お会いできるのが楽しみです」
できる限り声を弾ませた。
たとえアメリアが「醜男相手でもあんなに喜べるなんて」と嘲笑っていようと。
そうして訪ねてきたエイベル・アンローズにリネットは目を見開かせた。
「エイベル・アンローズ様……?」
菫色の瞳に灰色の髪。その色合いに、リネットは覚えがった。
幼少のころ、家族で出かけたさきではぐれ、泣いていたリネットを案じて教会に連れていってくれた男の子がいた。その子も彼と同じ、菫色の瞳に灰色の髪を持っていた。
泣かなくて大丈夫だよ、親が見つかるまでずっと一緒にいるから。そう言って、頭を撫でてくれた。
家族とはぐれたことを不安がっているのではなく、迷子になって咎められる母を想って泣いていたのだが、それでも優しくして思い出は温かなものとしてリネットの胸に残っていた。
「君は……あのときの」
そして見覚えがあったのは、リネットだけではなかったようだ。彼もまた、リネットに見覚えがあったのだろう。
短いやり取りではあったが、あのときの男の子だと確信するにはじゅうぶんだった。押し付けられた婚約だけど、彼となら幸せになれるかもしれない。そんな思いで、胸が高鳴った。
「リネット・メイディスと申します。これからよろしくお願いいたします」
だがリネットがほほ笑むと、エイベルの顔があからさまにひきつった。
「どういうことですか。婚約者として名が挙がっていたのはアメリア嬢だったはずです」
「縁付きたいのは我が家とであって、誰にするかの指定はなかったはずです。アメリアと、というのはあなたがたの勘違いでしょう」
実際に誰と、というやり取りをしていなかったのだろう。だが家格が上である侯爵家との結婚なのだから、当然魔力がほぼないリネットを当てるはずがない――そう思ったとしても不思議ではない。
とはいえ、明確な約束を交わしていない以上話が違うと言えるはずもなく。エイベルは押し黙り、リネットに目を向けた。そこにはあからさまな嫌悪の色がにじんでいる。
「……わかりました。こちらとしても、約束を違える気はありません。リネット嬢を婚約者として受け入れます」
「それはなにより。では、両家の末永い幸福を願いこちらの婚約誓約書にサインを」
誓約書に名前が記されていくのを、リネットはただほほ笑みながら眺めた。
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