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(第21話)やっぱりキミだったのか……お父さんのことが好きだったから自分を犠牲にしたんだね。伊藤が憎かったんだね
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上目遣いでミネ子は僕を見た。
なんてことだ。
フジテクノコーポレーションは僕の勤めている会社なんだぞ?
その社長の娘が、まさかミネ子だったとは。
メリーゴーランドの景色がまるで極彩色のように目まぐるしくなってきた。
「み、ミネ子ちゃん?こ、これは一体…」
声が上ずってしまう。
「もう、こうなったら、何もかもスケオくんに話すしかないわね」
深いため息をついて彼女は馬車から離れて太い柱にもたれた。
「さて…どこから話そうかしら?スケオくん」
腕を組んでミネ子は流し目で聞いてくる。
今までの可愛らしさとは裏腹に、彼女が全く別人のように見えた。
「き、君が憎んでいたのは僕じゃなく、伊藤だったというのか?」
こめかみから汗が流れてくる。
「ウフフ。勿論浮気したアナタも憎いけど、それ以上に伊藤が憎いわ。
この手でめちゃめちゃに殺してやりたいぐらいに」
ミネ子は憎々し気に言った。
「何故なんだ?伊藤とキミになんの関係があるんだ?」
「アイツは父が決めた私の婚約者だったの」
「こ、婚約者?」
「ええ。私は反吐がでるぐらいに伊藤を拒絶したけど。
父は心底から彼をとても気に入ってたわ。」
我が耳を疑った。
そんな話、今までに聞いたことがない。
頭が真っ白になりそうだった。
「キ、キミに婚約者がいたとは驚きだなあ。
しかし、なんで殺したいぐらいにヤツが憎かったんだ?」
首が窮屈になったのでネクタイを緩める。
僕はなんとか正気に戻り、柱に磔になってた背広を取って、寝ているマコトの胸にかけてあげた。
「伊藤が父を利用して会社を乗っ取ろうとしてたの。
ヤツは私の事を愛してなんかいないわ。
ヤツが望んでいることは私と無理やり結婚をして、父を殺して、社長の座を奪うことなのよ」
ミネ子は興奮しだした。
いきなりぶっ飛んだ話になり頭が痛くなってくる。
それでもなんとか彼女の話を聞いてあげようとした。
「伊藤がか?卑劣なヤツだとはわかってたが、
アイツが社長の座を狙っていたとは」
「そうよ。アイツは卑劣で最低なヤツなのよ。
父は昔から乞食の人に食べ物を与えたり、お金に困っている友人や知らない人にも援助をしてあげるとても優しい人なの。自分の欲しか考えない卑劣な伊藤とは違うわ。
父は会社で黒字になった分を少しでも困ってる人たちに寄付をしてあげたいんだ、と私が子供の頃に言ってたわ」
「ミネ子ちゃんのお父さんは立派な人なんだね」
ミネ子は微笑してから深く頷いた。
「そう。尊敬するぐらいにとても立派な人なの。
そういう性格の父だから、工場で働いている
中卒のヤンキーあがりの伊藤を自分の社員にしたのよ。
なんであんなヤツをいれたのよ、と父に抗議したら
“彼はたしかに学歴がない。
だがそれで彼の価値を決める権限はオマエにあるのか?
一生懸命頑張っているじゃないか。
彼だって最初の頃は全くの無知だったんだ。
彼は必死にプログラミングを勉強してみんなに追いつこうとした。
その成果が表れ、彼はプロジェクトの役目を果たせた。
私は彼の努力を買ってプロジェクトリーダーに任命したんだよ。
中卒だった彼にも自信がつくだろう。
私は彼の若さと頑張りを認めて会社の大きな歯車になると思い、
伊藤くんを我が社に入れたんだ。
それのどこが悪いというんだ”
と父は私を叱ってたわ」
ミネ子は父親の顔を思い出したか、俯いてポツリポツリと言った。
伊藤が中卒だという噂は聞いていたが本当だったのか。
ヤツは血を吐く思いでプロジェクトについていこうとしたんだろう。
けれども、蹴落としてまで出世をしようとする根性が許せない。
「そうなのかあ。伊藤は相当頑張ったみたいだな。
でも、もっと真っ当に生きていればこんなことにならなかっただろうに。
ヤツはお父さんの人が良いことを利用して、陰でやりたい放題をして、社長の座を狙っていたんだ」
「私の父がお人よしで馬鹿だとスケオくんは言いたいわけ?」
ミネ子は気色ばんだ。
「イヤ!そんなことは言ってないよ!」
僕はあわてて首を横にふる。
「いい?父は面倒見がいいの。
全社員を自分の息子、娘同然に考えているのよ。
伊藤にも自分の息子のように可愛がっていたわ。
それを伊藤は分かっていて、必死に父にゴマをすってたわけ。
そして、少しでも社長に気に入られようと私に近づいてきたのよ、彼は」
ミネ子は僕に突っかかってくる。
「だからって何も殺すことはないじゃないか。
こんなヤツのために手を汚すことはなかったんだ」
「うるさい!何も分かっていないくせに!」
ミネ子は声を荒げた。
「ミネ子ちゃん、どうしたんだい。キミらしくないよ。
こんなことは止めて早く自首しようよ」
「冗談じゃないわ!ワタシは悪くないわ!悪いのは伊藤に決まってる!
伊藤のせいで私の心も体もズタズタよ!」
ミネ子は肩を大きく揺らした。
「まさかミネ子ちゃん。キミも他の女子社員たちのように」
恐る恐る聞いてみた。
「そうよ。私も伊藤に弱みを握られたのよ。
私、子供の頃にナイフ投げをしていたの。
そしたら通りすがりの青年を刺してしまったの。
その瞬間、手が震えて頭が真っ白になってしまったわ。
それを見た父は人が見ていない内にすぐさま死体を車に積み、
夜中に車を走らせて遠い海に投げ入れたの。
父は私の一生を台無しにしたくなかったんだと思う。
このことは父と私の秘密にしておいたの。
そしたら伊藤が、こっそり私の部屋に忍び込んで
子供の頃に書いた日記を読んでしまったのよ。
バラされたくなかったら俺の言うとおりにしな、と彼に脅されたわ。
私はバレても構わなかった。でも、父は絶対に私を庇うと思うの。
正義のヒーローのように優しい父が、私の罪をかぶって刑務所にいく――――そんなことは絶対にさせたくないの!
だから……彼の力づくで婚約者となり……
……一夜限りだけどヤツに抱かれてしまった……」
ミネ子は顔を赤くさせ歯をギリリと噛みしめる。
彼女は目から雨を降らせた。
「ミネ子ちゃん……そんなことがあったんだね……」
僕はミネ子ちゃんを可哀そうに思い肩を触ろうとした。
しかし、彼女は瞬時に僕の手を払いのけた。
「触らないで!慰めは御免被るわ!
スケオくんも他の男と一緒よ。
みんな自分の欲しか考えていない
卑怯な生き物よ!」
ミネ子は唾をとばしナイフを僕の鼻先に向けた。
「わあああ!危ないよ!たしかに浮気したことは謝るよ!
でも、なんでこんな冴えない僕なんかを選んでくれたんだい!?」
僕は両手をあげて毛が逆立った。
ミネ子は微笑し刃先を躍らせる。
「オホホ。なんででしょうね。
なぜか、いきなり高校のときのアナタに無性に会いたくなったの。
きっと気分を晴らしたかったからじゃないかしら。
伊藤との忌まわしい出来事や子供の頃に犯した罪、
なにもかも綺麗さっぱりにして生まれ変わりたかったの。
だから、スケオくんに逢うときは、
思い切って高校のときの洋服を着て若作りをしたわ。
お化粧もおめかしもバッチリしたわよ。
美術の先生になったことは真っ赤な嘘よ。
私は無職。何の取り柄もない女よ。
それなのにスケオくんったら、本気に私を信じてくれて
こんな醜い私を褒めてくれた。
そして、好きになってくれた」
ミネ子は間を置かずに話し続ける。
鬼の形相から次第に穏やかな顔へと移り変わった。
「アナタと遊園地で遊んだときは心から楽しかったわ。
子供の頃によく父とこのワンダー遊園地で遊んだことを思い出したの。
身も心もボロボロだった私はアナタと遊んでいる間だけ忘れることができた。
ジェットコースターに乗っていたときのアナタの横顔が父にそっくりだった。
スケオくん。アナタから清い愛を受けられて本当に幸せよ。
私はバージンじゃないけど、アナタに抱かれている間だけは初めて抱かれた気持ちになれたの」
「ミネ子ちゃん……僕はそんなにキミのお父さんに似てたのかい?
立派なお父さんに似てるといわれて僕は光栄だよ。
ミネ子ちゃん。僕はキミを心から愛しているよ」
「何をいうの……ホホホ。よくもシャーシャーと言えたものだわ。
スケオくんはあの女と資料室と喫茶店でよろしくやってたじゃない」
ミネ子は僕の顎に鋭くナイフを突き立て、目でマコトを指した。
生唾をのんだ。
「み、ミネ子ちゃん……ぼ、僕はたしかにマコトとキスをした。
喫茶店でしたときなんかはたしかに濃厚なキスを交わした。
僕はさみしかったんだ。キミと全然連絡がとれなかったし。
つい、魔がさしてしまったんだ……」
(つづく)
なんてことだ。
フジテクノコーポレーションは僕の勤めている会社なんだぞ?
その社長の娘が、まさかミネ子だったとは。
メリーゴーランドの景色がまるで極彩色のように目まぐるしくなってきた。
「み、ミネ子ちゃん?こ、これは一体…」
声が上ずってしまう。
「もう、こうなったら、何もかもスケオくんに話すしかないわね」
深いため息をついて彼女は馬車から離れて太い柱にもたれた。
「さて…どこから話そうかしら?スケオくん」
腕を組んでミネ子は流し目で聞いてくる。
今までの可愛らしさとは裏腹に、彼女が全く別人のように見えた。
「き、君が憎んでいたのは僕じゃなく、伊藤だったというのか?」
こめかみから汗が流れてくる。
「ウフフ。勿論浮気したアナタも憎いけど、それ以上に伊藤が憎いわ。
この手でめちゃめちゃに殺してやりたいぐらいに」
ミネ子は憎々し気に言った。
「何故なんだ?伊藤とキミになんの関係があるんだ?」
「アイツは父が決めた私の婚約者だったの」
「こ、婚約者?」
「ええ。私は反吐がでるぐらいに伊藤を拒絶したけど。
父は心底から彼をとても気に入ってたわ。」
我が耳を疑った。
そんな話、今までに聞いたことがない。
頭が真っ白になりそうだった。
「キ、キミに婚約者がいたとは驚きだなあ。
しかし、なんで殺したいぐらいにヤツが憎かったんだ?」
首が窮屈になったのでネクタイを緩める。
僕はなんとか正気に戻り、柱に磔になってた背広を取って、寝ているマコトの胸にかけてあげた。
「伊藤が父を利用して会社を乗っ取ろうとしてたの。
ヤツは私の事を愛してなんかいないわ。
ヤツが望んでいることは私と無理やり結婚をして、父を殺して、社長の座を奪うことなのよ」
ミネ子は興奮しだした。
いきなりぶっ飛んだ話になり頭が痛くなってくる。
それでもなんとか彼女の話を聞いてあげようとした。
「伊藤がか?卑劣なヤツだとはわかってたが、
アイツが社長の座を狙っていたとは」
「そうよ。アイツは卑劣で最低なヤツなのよ。
父は昔から乞食の人に食べ物を与えたり、お金に困っている友人や知らない人にも援助をしてあげるとても優しい人なの。自分の欲しか考えない卑劣な伊藤とは違うわ。
父は会社で黒字になった分を少しでも困ってる人たちに寄付をしてあげたいんだ、と私が子供の頃に言ってたわ」
「ミネ子ちゃんのお父さんは立派な人なんだね」
ミネ子は微笑してから深く頷いた。
「そう。尊敬するぐらいにとても立派な人なの。
そういう性格の父だから、工場で働いている
中卒のヤンキーあがりの伊藤を自分の社員にしたのよ。
なんであんなヤツをいれたのよ、と父に抗議したら
“彼はたしかに学歴がない。
だがそれで彼の価値を決める権限はオマエにあるのか?
一生懸命頑張っているじゃないか。
彼だって最初の頃は全くの無知だったんだ。
彼は必死にプログラミングを勉強してみんなに追いつこうとした。
その成果が表れ、彼はプロジェクトの役目を果たせた。
私は彼の努力を買ってプロジェクトリーダーに任命したんだよ。
中卒だった彼にも自信がつくだろう。
私は彼の若さと頑張りを認めて会社の大きな歯車になると思い、
伊藤くんを我が社に入れたんだ。
それのどこが悪いというんだ”
と父は私を叱ってたわ」
ミネ子は父親の顔を思い出したか、俯いてポツリポツリと言った。
伊藤が中卒だという噂は聞いていたが本当だったのか。
ヤツは血を吐く思いでプロジェクトについていこうとしたんだろう。
けれども、蹴落としてまで出世をしようとする根性が許せない。
「そうなのかあ。伊藤は相当頑張ったみたいだな。
でも、もっと真っ当に生きていればこんなことにならなかっただろうに。
ヤツはお父さんの人が良いことを利用して、陰でやりたい放題をして、社長の座を狙っていたんだ」
「私の父がお人よしで馬鹿だとスケオくんは言いたいわけ?」
ミネ子は気色ばんだ。
「イヤ!そんなことは言ってないよ!」
僕はあわてて首を横にふる。
「いい?父は面倒見がいいの。
全社員を自分の息子、娘同然に考えているのよ。
伊藤にも自分の息子のように可愛がっていたわ。
それを伊藤は分かっていて、必死に父にゴマをすってたわけ。
そして、少しでも社長に気に入られようと私に近づいてきたのよ、彼は」
ミネ子は僕に突っかかってくる。
「だからって何も殺すことはないじゃないか。
こんなヤツのために手を汚すことはなかったんだ」
「うるさい!何も分かっていないくせに!」
ミネ子は声を荒げた。
「ミネ子ちゃん、どうしたんだい。キミらしくないよ。
こんなことは止めて早く自首しようよ」
「冗談じゃないわ!ワタシは悪くないわ!悪いのは伊藤に決まってる!
伊藤のせいで私の心も体もズタズタよ!」
ミネ子は肩を大きく揺らした。
「まさかミネ子ちゃん。キミも他の女子社員たちのように」
恐る恐る聞いてみた。
「そうよ。私も伊藤に弱みを握られたのよ。
私、子供の頃にナイフ投げをしていたの。
そしたら通りすがりの青年を刺してしまったの。
その瞬間、手が震えて頭が真っ白になってしまったわ。
それを見た父は人が見ていない内にすぐさま死体を車に積み、
夜中に車を走らせて遠い海に投げ入れたの。
父は私の一生を台無しにしたくなかったんだと思う。
このことは父と私の秘密にしておいたの。
そしたら伊藤が、こっそり私の部屋に忍び込んで
子供の頃に書いた日記を読んでしまったのよ。
バラされたくなかったら俺の言うとおりにしな、と彼に脅されたわ。
私はバレても構わなかった。でも、父は絶対に私を庇うと思うの。
正義のヒーローのように優しい父が、私の罪をかぶって刑務所にいく――――そんなことは絶対にさせたくないの!
だから……彼の力づくで婚約者となり……
……一夜限りだけどヤツに抱かれてしまった……」
ミネ子は顔を赤くさせ歯をギリリと噛みしめる。
彼女は目から雨を降らせた。
「ミネ子ちゃん……そんなことがあったんだね……」
僕はミネ子ちゃんを可哀そうに思い肩を触ろうとした。
しかし、彼女は瞬時に僕の手を払いのけた。
「触らないで!慰めは御免被るわ!
スケオくんも他の男と一緒よ。
みんな自分の欲しか考えていない
卑怯な生き物よ!」
ミネ子は唾をとばしナイフを僕の鼻先に向けた。
「わあああ!危ないよ!たしかに浮気したことは謝るよ!
でも、なんでこんな冴えない僕なんかを選んでくれたんだい!?」
僕は両手をあげて毛が逆立った。
ミネ子は微笑し刃先を躍らせる。
「オホホ。なんででしょうね。
なぜか、いきなり高校のときのアナタに無性に会いたくなったの。
きっと気分を晴らしたかったからじゃないかしら。
伊藤との忌まわしい出来事や子供の頃に犯した罪、
なにもかも綺麗さっぱりにして生まれ変わりたかったの。
だから、スケオくんに逢うときは、
思い切って高校のときの洋服を着て若作りをしたわ。
お化粧もおめかしもバッチリしたわよ。
美術の先生になったことは真っ赤な嘘よ。
私は無職。何の取り柄もない女よ。
それなのにスケオくんったら、本気に私を信じてくれて
こんな醜い私を褒めてくれた。
そして、好きになってくれた」
ミネ子は間を置かずに話し続ける。
鬼の形相から次第に穏やかな顔へと移り変わった。
「アナタと遊園地で遊んだときは心から楽しかったわ。
子供の頃によく父とこのワンダー遊園地で遊んだことを思い出したの。
身も心もボロボロだった私はアナタと遊んでいる間だけ忘れることができた。
ジェットコースターに乗っていたときのアナタの横顔が父にそっくりだった。
スケオくん。アナタから清い愛を受けられて本当に幸せよ。
私はバージンじゃないけど、アナタに抱かれている間だけは初めて抱かれた気持ちになれたの」
「ミネ子ちゃん……僕はそんなにキミのお父さんに似てたのかい?
立派なお父さんに似てるといわれて僕は光栄だよ。
ミネ子ちゃん。僕はキミを心から愛しているよ」
「何をいうの……ホホホ。よくもシャーシャーと言えたものだわ。
スケオくんはあの女と資料室と喫茶店でよろしくやってたじゃない」
ミネ子は僕の顎に鋭くナイフを突き立て、目でマコトを指した。
生唾をのんだ。
「み、ミネ子ちゃん……ぼ、僕はたしかにマコトとキスをした。
喫茶店でしたときなんかはたしかに濃厚なキスを交わした。
僕はさみしかったんだ。キミと全然連絡がとれなかったし。
つい、魔がさしてしまったんだ……」
(つづく)
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