15 / 65
十五話 国王、予想もしない再会に驚く
しおりを挟む「えええ、本当にメテオ?嘘だろ~」
何だよ!この怒濤の展開!
俺はまだ信じることが出来ずブルブルと首を横に振る。
「本当だよ。俺はウェンドリックス・ジャンチェストだ」
ラルフも俺の前に片足をおり右手を胸に添える姿勢になった。
「本当か?ウェン…お、お前…国王になっただろ?国はどうなってんだよ!えっお前もすぐ死んだのか?」
「サラの最期看取ってからちゃんと国王やってやったぜ!15年以上かかったが、王族君主制を廃止していきなり貴族まで失くせなかったから貴族議会制にしたのを見届けてから国王やめて隠居生活してその後死んだ」
「はあ?今俺が死んでそんなに経ってないのに何でだよ!」
「それはわからん!メテオは俺より長生きしたはずだが、そう俺と年齢変わらんと今ここにいる」
訳がわからない!時間軸はどうなってるんだ?
「何でだ?」
「それはこっちの台詞!何でサラが公爵令嬢になってる?」
俺の何でにラルフが何でを返してきやがった。
「俺は死んですぐこの世界の神だというウルヴァランの所に行ってリリアナ・ハーベントとして生きていくことになったんだよ」
「ウルヴァランって確かにこの世界の神だな。会ったのか?」
「ああ…」
俺はラルフとロランにどうしてリリアナ・ハーベントとして生きることになったか話した。
「何だそれ!げぇむの世界?」
ラルフが首を傾げる。
「信じられない話だろうが、リリアナと同時に死んだ中から俺が選ばれたんだ。俺はリリアナとリリアを敵を取ると決めた」
「何だよ~せっかく貴族令嬢になったのに女として生きてるのにこの国の王太子と婚約してるって…」
ラルフは眉間に皺を寄せる。
「俺がリリアナになった時にはもう婚約が決まった後だった。そこから始まったのだから仕方ないだろう!でもあのクソ王太子とヒロインとやらにちゃんと罪を償わせるつもりだし、王太子とは結婚しない」
「今まで五回もその強制力とやらで無理だったんだろ?サラそんなことやめて一緒に冒険者やろうぜ」
ラルフが俺の両手を握るけど
「全部終わったらそれもいいな」
俺はフッと笑う。
「今からでもいいじゃねえか!サラが冒険者になっちまえばげぇむもへったくれもないだろ!」
ラルフはそう言うけど、俺はリリアナの人生ちゃんとケリつけたいんだ。
「いや、ちゃんと貴族学院に入学して正面突破してリリアナが無実だとアイツらに認めさせてやる!」
「何だよ~俺はさ、戦争終わったらサラと結婚するつもりだったのにとっとと死ぬし、今度会ったら婚約者いるって最悪~」
「へっ?結婚?!」
ラルフの言葉に目を見開く。
「おうよ!戦終わらせて国王になったらサラを女に戻して結婚するつもりで俺は国王を引き受けたんだからな」
「…」
ラルフのいきなりの告白に言葉が出てこない。
「気付いてないのはサラ様だけでしたよ」
メテオだと言うロランに言われて
「そうだったのかよ?!」
俺は顔を赤くして恥ずかしくなって叫ぶように言った。
「あぁ、でもまたここで会えたんだ。
ずっとずっと何年も待ったんだから、これからもそれまで待つか!
サラ、俺を護衛にしろ」
「はっ?いきなり何言ってんだ?」
俺がラルフの顔を見上げてポカンとする。
「私もまた専属従者として雇って下さい」
「メテオまで何言いだすんだ?」
「俺はS級、メテオはA級だしメテオはお前の影もやってた。もってこいじゃないか?」
確かにそうだ。ウェルとメテオがいてくれたら心強い。でも…
「2人とも優秀な冒険者だ。
まだまだ魔物も出現してるからお前たちの力が必要だろ?」
「冒険者登録はそのままにする。Aランク以上が出たらちゃっちゃと討伐して戻ればいいんじゃねえか?」
「冒険者登録したまま護衛や従者になれるのか俺は知らないぞ」
「そこは何とかしろよ!お前公爵令嬢なんだから。俺はもう決めたからな」
ラルフに軽く言われてうぅ~と俺は唸る。
「あぁ、俺が登録してるとこのギルドマスターは大丈夫だと思うぜ。古くからの知り合いだから、サラもよく知ってるやつ」
「へっ?ギルドマスター誰よ?」
「聞いて驚け!マンデランだ」
マンデランは前の世で俺の護衛隊長だった騎士だった。
幼い頃から俺の面倒を見てくれた歳の離れた兄のような存在の人だった。
「マンデランまで?いったいどうなってんだよ!」
「俺に聞かれてもわからん…でももしかしたらサラ、お前を助ける為なのかもな。
サラをマンデランに会わせたら大騒ぎだな」
ラルフはニヤッと口角を上げて笑う。
「マンデラン様大泣きしますよきっと」
ロランもニヤニヤしている。
何?この状況?
「とにかく話をつけてくれ!護衛が駄目でも俺たちはお前の側から離れないからな」
ラルフの言葉にロランもうんうんと頷いている。
彼らの中ではもう決定事項のようだ。
でもこれからのことを考えればラルフとロランに側にいてもらった方がいいかもしれない。
メテオは影でもあった、いろいろと探るのにいいかもしれない。
俺は切り替えの早い達だ。
「そうだな!お前たちがいてくれるとこれからいろいろと助かる。護衛と従者の話してみる」
「楽しみだな~早く王太子との婚約なんか破棄しちまえ!」
ラルフが言い放つ。
「それはまだ先だな。でもよし決めた!」
俺もニヤッと笑う。
「なら、一度マンデランのところにも連れて行ってやるよ」
「マンデランに会いたいな。
でもその前にまず北方の土地を浄化しないと領民たちがまた暮らせるように戻していかないといけない」
「そっかぁ~お前はまた人の上に立つ人間なんだよな」
ラルフが微笑んで言う。
「今度は平和な世界でのんびり気楽に生きたかったけどな。引き受けたからな、ちゃんと終わらせるまでは今の立場で頑張る」
「そうか。俺たちはどこまでもお前について行くぜ」
ラルフがニヤッとして言うとロランもうんうんと頷いた。
ラルフから俺と結婚するつもりだったと聞かされて驚いたが、思わぬ再会に俺の胸は躍った。
24
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
あなたが捨てた私は、もう二度と拾えませんよ?
AK
恋愛
「お前とはもうやっていけない。婚約を破棄しよう」
私の婚約者は、あっさりと私を捨てて王女殿下と結ばれる道を選んだ。
ありもしない噂を信じ込んで、私を悪女だと勘違いして突き放した。
でもいいの。それがあなたの選んだ道なら、見る目がなかった私のせい。
私が国一番の天才魔導技師でも貴女は王女殿下を望んだのだから。
だからせめて、私と復縁を望むような真似はしないでくださいね?
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
【完結】無能に何か用ですか?
凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」
とある日のパーティーにて……
セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。
隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。
だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。
ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ……
主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる