怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

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八十八話 あっ!これはヤバいやつですわ ①

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 あの夜会以降、社交シーズン中なのでフィンレルも私もフィンレルが厳選した、お茶会、夜会、舞踏会に参加して忙しく社交に勤しんだ。

 それでもちゃんとラファエルのことはフィンレルも私も気にかけて毎日コミュニケーションを取っているわよ。

 ラファエルは顔がさらにハッキリしてきて、本当にフィンレルによく似ていてこりゃ今後貴族令嬢に囲まれたりして大変になるんじゃないか?と思った。

 ラファエルには政略とかなしに彼が好きになる人に出会って、恋をしていろんなことを経験して侯爵としてだけでなく一人の人間として幸せになってもらいたいなと思っている。

 でも母親としては微妙なところよね?ずっとお母様が大好きって言って欲しい気ももちろんあるわ!

 まだ喋り始めてもいないのに早す過ぎるわよね~。

 フィンレルもラファエルをとても可愛がっていてとても大切に我が子を溺愛してるわよ。

 フィンレルがラファエルを抱っこをしているのを見ていると、美しい男子の戯れがとても眼福なのよ。


 そんなこんなで忙しくも家族の時間も楽しんでいる私なのだけど、あの夜会の数日後にネーシア様とノアレス様は自国に戻られた。

 ネーシア様とは頻繁に手紙のやりとりを続けているし、家同士の商談も上手くいきそうなのよ。

 フィンレルはフットワーク軽くノアレス様から手紙が届いたら、すぐに飛んで会いに行ったわ。

 そういうことは大事よね。

 それで今後ノアレス様との商談の為にフィンレルとアランの補佐を四人付けることになったの。

 ノアレス様とは国外の商談になるからね、すぐにノアレス様の所へ駆け付ける人が必要だろうということでね。

 その人選にはお義母様の実家も関わって下さって、お祖父様の側近をされていた信用のおける年配のベテランの男性一人紹介してくれたり、叔父とフィンレルで人選した人を選んだのよ。

 それから競馬事業の方だけど、こちらは規模が大きくなるからまず国王陛下にフィンレルが了解を取りに行ったの。

 国王陛下がとても前向きに了承した下さって、それでうちだけでなくお義母様の実家、フランクリン侯爵家、アンジェリカ様、シャルロット様、マナベル様、それからメリアンナ様のお家が共に関わってくれることになった。

 お義母様の実家のマセンゲレル侯爵家は繊維といえばここ!と言われるくらいドレスや服飾関係に強い家で刺繍糸、革製品も扱っているところなの。

 フランクリン侯爵家は領地にいくつかの鉱山を持っていて、宝石だけじゃなくて貴金属も採掘されていて、ペンダントやイアリング、指輪などの加工デザインでも有名で刺繍針なども生産しているの。

 うちのサウスカールトン侯爵領は馬もだけど馬具でも有名なのよ。

 それで今後馬具に美しい刺繍を施したものを作りたいな思っているのよ。

 今はシンプルなものばかりだから乗馬やそれから競馬の時に馬を美しく立派に見せるように飾りとかも付けていきたいと思っているの。

 それに前世の競馬の時ってレース名が刺繍された布を馬にかけていたでしょ?何ていうのか知らないけど、そういうことでも両家に協力してもらって、事業提携していきたいと思っている訳よ。

 シャルロット様のお家は貿易港を持っていて貿易関係に強いのよね、マナベル様のお家は旦那様もマナベル様の実家も騎士一家だから馬とは切っても切れない関係。

 それにメリアンナ様の旦那様のキーファーランド様は剣術にも秀でていらして、若い頃から国内だけでなく国外の剣術大会にも出場する程だったそうで、国外でも顔の広い方らしいのよ。

 アンジェリカ様は外交も積極的にされている方だしね。

 この方たちと事業提携して協力して、これから競馬事業をこの国に取り入れていきたいと思っていて、みなさん本当に心強い方たちばっかりだわ。


 センブュート帝国の今の競馬はもうひとつの社交場という体で前世のような賭け事をするというものではないそうなの。

 アンジェリカ様がノアレス様にさり気なくこういう方法もありますよと助言をしたそうで、今後そういう広がりもあるかもしれないわよね。


 ということでいろんなことが順調に回っているんだけど、ひとつ気になる噂も耳に入ってきたの。

 私の義妹のフローリアが王太子妃のエリナ様と最近急接近しているそうで、頻繁に王宮で二人だけでお茶会をしているそう。

 でもあの夜会以降フローリアの良くない噂が出回っているし…まあそれは叔父とフィンレルが積極的に働きかけたからなんだけど、それにエレナ様も元から評判がよろしくないから、周辺の目は冷ややかみたい。

 だけどフィンレルからもアンジェリカ様たちからも、くれぐれも私に注意するように言われてる。

 そうよね~その二人ならターゲットは絶対私と思うわ。

 本当に気を付けないとね!

 と思っていたのだけど…今シーズンの社交の締めとも言える国王陛下主催の舞踏会で、私は攫われてしまった。

 本当に本当に注意していたのよ?一人になることは絶対しなかったわ。

 お花を摘みに行くのも絶対どなたかと一緒にいたわ、廊下に出たらケイトも側に居てくれたしね。

 ケイトは侍女だから舞踏会の会場の中には入れないけど、会場内では必ずフィンレルやアンジェリカ様、みなさんと一緒にいたのよ。

 でも少し涼もうとメリアンナ様とバルコニーに出て休憩している時に、会場で物凄い物音がして王宮のメイドが慌ててメリアンナ様を呼びに来て、メリアンナ様はキーファーランド様に何かあったのか?って飛んで行ったの。

 その時に私もすぐに戻れば良かったのだけど、ここは二階のバルコニーで前も開けているから大丈夫だと思って、少し休んでからさあ戻ろうとバルコニーに背を向けた時に、いきなり羽交い締めにされて、口に布を当てられた。

 そこからは気を失ってしまって記憶にないのよ。

 そして目覚めたら、全然見たこともない部屋のベッドの上にいたって訳よ。




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