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六十五話 敵陣?に突撃ですわよ ①
しおりを挟む今レノバングリー公爵のタウンハウスに向かう馬車の中なのだけど、私以外にケイトともう一人実はリリアンナも一緒に来てくれているの。
王都に到着してから今までの間に既に私の専属侍女が二人決まったのよ。
でもその二人ともが元は洗濯メイドと掃除メイドだったの。
私が選んだのだけどね。
だから今リリアンナや他の使用人についてもらって侍女になる為の勉強中な訳。
だからまだお茶会などには連れて行けないってことで、リリアンナも同行してくれることになったの。
リリアンナから聞いたんだけど、お茶会では人数を指定されていない限り、だいたい二人くらいが同行するものらしく侯爵夫人が招待されて同行する者が一人だけだと、格好がつかなくて軽く見られるんだって。
リリアンナなら何から何まで間違いないからということになったのよ。
ほんと貴族って何から何まで大変よね。
リリアンナに「いいの?」って聞いたのよ。
表に出たくないかもしれないじゃない?
「奥様はよろしいんですか?わたくしでございますよ?」
て逆にリリアンナに聞かれてしまったけど、悪い訳ないじゃん!
知っている人がいるかもしれないけど、リリアンナのこと誰にも悪く言わせないわよ!
「何言っているの?もしリリアンナのことを貶めるような人ならこちらから交流するのお断りよ!」
と私が言うと。
「奥様はそれで良いのでございます」
ってリリアンナに言われたわ。
そうよね~レノバングリー公爵のアンジェリカ様は今やこの国で一番力を持っている方だし、他の元側近候補の奥様たちもそうだけど、だからって媚びて擦り寄るのは違うと思うのよ。
確かにフィンレルはやらかしてしまったけど、私はいくらフィンレルの妻であっても、何も悪いことはしていないんだから、堂々とするべきよ。
それに私の家庭教師のメリアンナ様がいるのよ!
情けない姿を晒すなんてメリアンナ様にも恥をかかせてしまうことだもの。
やれるだけやるだけよ!元々あれこれ先のことを考えてクヨクヨ悩む自分が嫌で、そんな自分を変えたくて率先して火中の栗を拾うような人間になってしまったんだから、敵ばっかりの四面楚歌上等よ!
馬車で十五分程走ってレノバングリー公爵家のタウンハウスに到着したわ。
馬車から下りてビックリ!さすがこの国の王族の血統を持つ歴史ある公爵家。
うちのタウンハウスも凄く広くて豪華だけど、こちらはもうひとつの王宮?ってくらいうちより大きな邸で白に金が装飾されている外観はとても圧巻よ。
黒のスーツを着たキリッとしていて、品の良い壮年男性二人が出迎えてくれて、護衛と共に庭へと案内してくれた。
庭も赤や白、ピンクなどの薔薇が咲き乱れていて、邸に見劣りしない豪華で素敵な庭だわ。
私が到着すると、もう他の方がいらっしゃっていた。
そして初めて対面するホストのレノバングリー公爵閣下のアンジェリカ様が立ち上がって私を出迎えてくれた。
陽に照らされて煌めくストレートの腰まであろうかという白銀の美しい髪に大きな目は少し吊り上がっていて、叡智を湛えたようなアメジストの濃い紫の瞳、そして高価な陶器のようなツルツルの白い肌で、出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んだけしからんスタイルのあまりに完璧過ぎて一見冷たそうに見えてしまう圧倒的な存在感を放つ迫力の美女。
その人がアンジェリカ様だった。
私は彼女を前にメリアンナ様に厳しく仕込まれたカーテシーする。
「まあようこそいらっしゃいました。
初めましてサウスカールトン侯爵夫人お会いしたかったわ、わたくしはレノバングリー公爵家当主アンジェリカでございますわ」
「お初にお目にかかります。
この度はご招待に預かり光栄にございます、レノバングリー公爵閣下。
サウスカールトン侯爵家当主が妻ベレッタにごさいます。
もう皆様お揃いでお待たせしてしまいましたでしょうか?」
私がカーテシーをしたまま顔を上げず挨拶すると。
「サウスカールトン侯爵夫人どうぞ顔をお上げになって。
大丈夫ですわ、皆様時間よりかなり早く来られたのでお気になさらず」
アンジェリカ様が口角を上げて品良く微笑む。
「ご配慮あるお言葉感謝申し上げます」
「さあ、お席にお座りになって」
「はい、失礼致します」
私はアンジェリカ様が手の平で差してくれた席につく。
「皆様本日はご招待に応えて下さり感謝しますわ。
まあもう堅苦しいのはやめにしましょう。
ごゆると寛いで下さいませ」
アンジェリカ様の言葉でそれぞれにお茶が用意されていく。
その間にアンジェリカ様が席についているみんなの紹介をしてくれた。
正面がアンジェリカ様、私の右隣がメリアンナ様、左隣がエスフィテバン侯爵夫人のシャルロット様。
右のメリアンナ様の反対側の隣が
プラグリジェン伯爵夫人のマナベル様だった。
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