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二十七話
しおりを挟む週に4日午前中にアンディナさんに案内してもらい魔族の生活を見学して、午後からシリウス様に同行してもらって戦闘訓練をするようになって、あっという間に2週間が過ぎた。
王城の中は3日に渡っていろいろな所に案内してもらった。
地下の工房では武器を作るのは主にオーガ族の方たち、魔道具を作るのはデーモン族、ドラゴン族、ヴァンパイア族の方たちだった。
アンディナさんの話ではオーガ族は力が非常にあり鉄などを扱うのが上手いそうで、武器や防具を作ったりするのに向いているのだという。
一方魔道具は複雑な魔法の術式などを魔石に組み込んだりするから神聖魔法以外のすべての魔法が使え、魔力も膨大なデーモン族、ドラゴン族、ヴァンパイア族の方たちが携わっているらしい。
武器も人間の騎士が持っているものより遥かに大きく重いもので、見た目だけで強度もかなりのものだとわかるくらい綺麗な銀の光を放っていた。
剣や槍など武器、又は鎧や盾などの防具は魔力を持つ者の魔力を武器、防具に通して魔法剣などにして使うことが主なのだが、持ち主が膨大な魔力を持っている場合、ちゃんとした性能や強度がないとすぐに破損したり砕けてしまうと言われている。
オーガ族が作る武器は膨大な魔力を持つ魔族に耐えゆるもので、とても優秀なのだそうだ。
魔道具ももうこんな技術が?というくらい人間の世界ではまだない高度な魔道具の数々が簡単に作られていて驚くことばかりだった。
武器と魔道具だけを見ても魔族は技術などすべてが人間より進んでいて、圧倒的に強いのだなと証明されるものだった。
オーガ族やゴブリン族の方たちは比較的穏やかで、私のことを警戒はしているけどあからさまに拒否されている感じはしなかったけど、上位種であるデーモン族、ドラゴン族、ヴァンパイア族の方たちには凄く警戒されていると感じた。
アンディナさんも言っていたけど、ドラゴン族の方は元々人間だけでなく、他の種族とも馴れ合わない種族で特に警戒心が強いのだそう。
元々は人間が住む大陸から離れた孤島でドラゴン族だけで暮らしていたのだものね。
私は聖女修行の時に敵である魔族と魔獣のことを知る為に教育を受けていたから、その見目やどういう攻撃をしてくるか、どの魔法が得意なのか、性格や習性などを習っていたけど、アンディナさんの話は今までに聞いたこともない話がたくさんでとても興味深かった。
4日目からは外に出るようになって、農業、家畜、漁業、林業に従事している方たちや街にも見学に連れて行ってもらった。
そういえば人間が住む大陸にいる時、魔道具などに使用される魔石という魔力が籠もった石は鉱山で金塊や宝石の原石と共に採掘されたいたけど、魔国ではその辺の道端にゴロゴロと転がっているのだ。
私はそのことにとても驚いたけど、アンディナさんたちは何で?って顔で首を傾げていた。
アンディナさんに魔石のことを聞くと、恐らく魔族はヒト族より膨大な魔力を持つし、何せシリウス様がいるから普通の石ころが魔石になるんじゃないかって話だった。
それと魔国に住む魔獣は大陸に住む魔獣のように本能のままに誰かれなしに襲ってくるようなことはない。
魔族が使役しているというものあるけれど、魔国では魔獣も住民という扱いだった。
そのことにもとても驚かされた。
それから前にアンディナさんが言っていた通り農業にはゴブリン族が多く、オーガ族ウルフ族などもいた。
そして魔族も肉を食べるので、人間と同じく牛、豚、鶏、羊などを飼っているのだ。
放牧している牧場もあって、私は以外だと思ったのだけど、他の種族に混じってデーモン族やヴァンパイア族がいた。
魔族の中でもインテリだと言われるデーモン族がヴァンパイア族が牛や鶏を育てていることを想像していなかった私がアンディナさんに聞く。
「ああ、それはのデーモン族やヴァンパイア族は闇魔法が得意じゃろ?
家畜に闇魔法の魅了を使うのじゃよ。
放牧していても集めやすいようにとか、殺生する時もなるべく痛みを感じさせないようにする為じゃよ」
私はそれに驚いた。
以前聖女教育の時に魔族はとても凶暴で残虐な生きものだと教わっていたからだ。
食べる家畜の痛みに配慮しているなんて思わなかった。
漁業には水の中でも泳げたり地上と変わらず俊敏性を発揮するスネイク族の方たちが多くいた。
林業は力仕事でもあるからか力の強い種族と言われるオーガ族とウルフ族の方が多くいた。
街は確かに人間の王都と比べると、そんなに大きくない小ぢんまりしたものだったけど、食堂や商店などが建ち並んでいて、魔族が家族で歩いていたりとても賑やかだった。
その風景は人間と何ら変わらないものだった。
私は今まで人間の世界で農業などをしている人を見たことがあるけど間近で見たことはなく、仕事についてもいろいろと知ることが出来て、私は世間知らずだったのだなと思った。
また魔族が働く姿を見て生き生きとして楽しそうで良いなと思った。
みんな生活の為に働くのは人間と同じで何も変わらないんだな。
それに私のことを警戒はしているけど、シリウス様からのお達しがあったからかみんな礼儀正しかった。
私はまだ魔族の方たちと一人一人と接するのは戦闘訓練の時だけで、訓練の時も会話をするというものではないけど生活を見学させてもらって、魔族の方たちが大好きになっていた。
とても楽しそうだし、みんなが助け合って協力し合って和気あいあいと暮らしているのをつぶさに見てきた。
改めて私は魔族として生きていきたいと私も仲間として認めてもらいたいと強く思った。
戦闘訓練を始めてから2週間後シリウス様から、次はウルフ族とスネイク族と訓練をすると言われた。
オーガ族とゴブリン族に比べてウルフ族とスネイク族になると戦闘能力は圧倒的に違うのを私も知っている。
力も俊敏性も魔法もすべて途轍もなく強くなる。
私はシリウス様の前で言われた時にビクッとなってしまった。
ウルフ族とスネイク族の強さを知っているからだ。
あの魔族討伐の時に戦ったけど、あの時は彼らの弱点の神聖魔法で結界を張って防御して、攻撃も神聖魔法だった。
ウルフ族とスネイク族が束になって襲ってきた時、私は今までで一番命の危機を感じた。
彼らより上位のデーモン族、ドラゴン族、ヴァンパイア族も確かにいてウルフ族とスネイク属性より凄い強敵だったけど、数が全然違った。
シリウス様に聞いたけど、魔族は上位になる程数が少ないらしい。
上位のデーモン族、ドラゴン族、ヴァンパイア族の攻撃は確かに一番の脅威だったけど、彼らより数が多いウルフ族とスネイク族の数で突進してくる攻撃は本当に凄まじかった。
そのウルフ族とスネイク族と訓練とはいえ、戦うことに私は凄く緊張する。
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