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第一章 カナダ・バンフ

第2話 7年ぶりのバンフ

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 列車内は静かであったが前夜の10時間睡眠の所為かバンフ近しの興奮故か寝つきが悪い。朝も早く眼が覚めすっきりしない。しかしながら起きてしまえば車窓からの景色はやはりカナダだ。列車と平行して流れる渓流やアメリカ杉に7年前の記憶が鮮やかに蘇る。
 朝食はオーストラリアからの老夫婦と同席となった。こちらの英会話レベルを察してくれたとみえ、ゆっくり話してくれ有難い。
 途中駅の停車時間に例の幸せカップルと顔を合わせた。相変わらず楽しそう。勝手にイチャイチャしてなさい! 彼らとはバンフ駅で別れる事になる。Ptarmigan Inn に宿泊するそうだ。

 昼過ぎ、バンフ駅に到着した。懐かしい。7年前がずっと昔のような気もするし、比較的最近のような気もする。

 初めてこの地を訪れた時、このバンフの小さな無人駅は何だか『赤毛のアン』の冒頭に登場するアンとマシュウが待ち合わせをした駅にイメージが似ている気がしていた。今回もやはり同じように感じてしまう。

  さて、OKショップで働いているユキと連絡が取れ、正ちゃん経営の日本レストラン”杉の家”で7年ぶりに、ユキ、マリちゃん、正ちゃんに再会できた。ユキ、正ちゃんは殆ど変わってない。ユキの奥様マリちゃんは若干老けたかな⁉ 苦労してるのかな? だとしたら、ユキが悪い。
 2人には男の子、女の子が1人ずつ、正ちゃんには女の子が1人いるそうだ。

 後日、3人のお子様たちとお逢いする機会が何度かあった。ユキ夫妻は美男美女なので、お子様たちのルックスには納得できた。とても納得できないのが正ちゃんの娘。まだ2歳ぐらいだけど、白人顔負けのやや青味がかったパッチリお眼眼の超美形少女だった。よほど日本人の奥様が美形なのか! それじゃ美女と野獣ではないか!
 

 月末にヒロ夫妻が帰ってくるまで夫妻の部屋を一人で使用する事になる。前の”タウンハウス”より南に位置しており、バンフAvenueの商店街からは外れていて静かな場所だ。すぐ横に線路が走っている。
 驚いた事にマンションの庭も線路内も鹿の糞だらけであった。しょっちゅうエルクが遊びにくるそうだ。実際、滞在中に何度かエルクを町中で見かけたが、町行く誰も知らん顔をしていた。見事に共存している。
 一度線路近くに7~8頭が群れているのを見かけた事もあった。

 前から自分のお気に入りだったFenlandの森に夕方には毎日のように行ってみた。ほぼ毎回のようにビーバーには出逢えた。大概1~2匹が森に接したボー川で悠々と泳いでいた。一度森に上がって樹を齧っているのを見た事もあった。
 久しぶりに出逢った日は、その後会った老夫婦にその旨話したら、”Is that right?" と涼し気に返答された。珍しくも何でもないのであろう。ちょっと拍子抜け。

 Sunshine Villageにも春スキーに出かけてみた。三度行ったのであるが、滑ったのは一度だけ。二度目に行ったときは積雪は十分であったが、クローズだった。運悪く臨時休業かと思い、翌日再度訪れたら又もやクローズ。もしや…?。ああ、やはり…。シーズンクローズだった。
 最初、Sunshine Village への道は新道が建設されたのかと思ったが、正ちゃんによると旧道の道幅を拡げただけらしい。その正ちゃんもSunshine Village のシーズンクローズの事は知らなかったようで、春スキーには興味はないようだ。

 一度だけ滑った7年ぶりのSunshine スキーはコブだらけで午前中は歯が立たなかった。午後からはレンタルスキーにも足が馴染んできて、雪も柔らかくなってきたので何とかカバーはできた。
 気の所為か、リフト終点から眺めたアシナボイン山が7年前よりかなり近くに見えた。地殻変動の話は聞いてない。やはり気の所為か。

 この時期当然かもだが、リフトもカフェテリアもガラガラ、シーズンクローズも止むを得ずかな⁉
 
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