27 / 34
第三章 アルプス・スキー(オーストリア)
第27話 ツェルマットスキー場2(マッターホルン)
しおりを挟む
天気が良くなかったので早めに切り上げて山岳博物館を訪れてみた。大勢の入館者で賑わっていたが、意外と思っていたよりは規模が小さく外見は信濃大町にある山岳博物館より劣って見える。マッターホルン登頂の歴史やら初登頂の時の事故時の切れたロープ等も展示されており興味深かった。
同じペンションに日本人が宿泊していた。池田さんと言い外国人の奥様、それにお子様同伴である。2年前から仕事でチューリヒに滞在していてこの4月に帰国するそうだ。
その池田さんに部屋に招待された。ヨーロッパ人の国民性などいろんな話が聞けて楽しかった。物腰の柔らかい感じの良い人だ。
翌日出発時、池田夫妻と会ったので一緒に滑る事にした。強風でイタリア側に登るゴンドラ、リフトとも運休している。マッターホルンに一番近いシュバルツゼーで滑ったが、3人とも中級レベルで良い具合だ。
日本人スキーヤーがずいぶん目立ったが団体客であろう。純粋にスキーをやるなら断然サンアントンを推薦するが、マッターホルンの雄姿を見ながら滑る事に価値を見出しているのであろう。その価値は十分あると思う。
翌日再び池田さんに招かれた。この日は、私はゴルナーグラートで滑ったが、池田ご夫妻はブラウヘルトで滑ったそうだ。雪質はよく締っていて気持ちよく滑れた。池田ご夫妻は、翌日半日滑ってからと言っていたが、結局朝一番でマイカーで帰って行った。
1か月余りの出張でヨーロッパ数か国を回っているという日本人男子3人に会った。出張先で本場アルプススキーが楽しめるなんて何とも羨ましいと思ったが、よく考えてみると他人を羨ましがる必要はないなと改めて思う。
久しぶりに快晴に恵まれた。マッターホルンが全身を見せてくれた。魅せてくれたと言うべきか! 何という美しい姿。
こういう快晴の日はできる限り高い位置に立つべきであろう。クライネマッターホルン頂上までゴンドラで登ってみた。ゴンドラ駅最高地点では、標高は富士山より高く3800m を超えている。自分の標高最高到着点は北岳の3193m だが、今回特に息苦しくはなかった。
ここからのアルプスの眺めは実に美しい。すぐ間近に見る氷河の凄まじさ。ただ…、この位置からだとマッターホルンは平凡な山容にしか見えない。そのマッターホルンのすぐ右の後方に同じ山容の山が見える。こちらこそクライネマッターホルンの名に相応しいのではないかと私には思われる。一体何と言う名の山だろう。
クライネマッターホルンからカチンカチンのアイスバーンを少しトラバースしたら、イタリア側のチェルヴィニアスキー場が見えた。延々と緩やかで細いロングコースが続いている。
マッターホルンとはドイツ語で『草原の角』という意味らしいが、イタリア語ではチェルヴィーノと言うようだ。ツェルマットと逆にイタリア側の街はチェルヴィニアと言う。
一度、イタリア側に下りてみよう。オーバーグルグルでテーブルメイトとジョークを言い合った事が思い出される。
同じペンションに日本人が宿泊していた。池田さんと言い外国人の奥様、それにお子様同伴である。2年前から仕事でチューリヒに滞在していてこの4月に帰国するそうだ。
その池田さんに部屋に招待された。ヨーロッパ人の国民性などいろんな話が聞けて楽しかった。物腰の柔らかい感じの良い人だ。
翌日出発時、池田夫妻と会ったので一緒に滑る事にした。強風でイタリア側に登るゴンドラ、リフトとも運休している。マッターホルンに一番近いシュバルツゼーで滑ったが、3人とも中級レベルで良い具合だ。
日本人スキーヤーがずいぶん目立ったが団体客であろう。純粋にスキーをやるなら断然サンアントンを推薦するが、マッターホルンの雄姿を見ながら滑る事に価値を見出しているのであろう。その価値は十分あると思う。
翌日再び池田さんに招かれた。この日は、私はゴルナーグラートで滑ったが、池田ご夫妻はブラウヘルトで滑ったそうだ。雪質はよく締っていて気持ちよく滑れた。池田ご夫妻は、翌日半日滑ってからと言っていたが、結局朝一番でマイカーで帰って行った。
1か月余りの出張でヨーロッパ数か国を回っているという日本人男子3人に会った。出張先で本場アルプススキーが楽しめるなんて何とも羨ましいと思ったが、よく考えてみると他人を羨ましがる必要はないなと改めて思う。
久しぶりに快晴に恵まれた。マッターホルンが全身を見せてくれた。魅せてくれたと言うべきか! 何という美しい姿。
こういう快晴の日はできる限り高い位置に立つべきであろう。クライネマッターホルン頂上までゴンドラで登ってみた。ゴンドラ駅最高地点では、標高は富士山より高く3800m を超えている。自分の標高最高到着点は北岳の3193m だが、今回特に息苦しくはなかった。
ここからのアルプスの眺めは実に美しい。すぐ間近に見る氷河の凄まじさ。ただ…、この位置からだとマッターホルンは平凡な山容にしか見えない。そのマッターホルンのすぐ右の後方に同じ山容の山が見える。こちらこそクライネマッターホルンの名に相応しいのではないかと私には思われる。一体何と言う名の山だろう。
クライネマッターホルンからカチンカチンのアイスバーンを少しトラバースしたら、イタリア側のチェルヴィニアスキー場が見えた。延々と緩やかで細いロングコースが続いている。
マッターホルンとはドイツ語で『草原の角』という意味らしいが、イタリア語ではチェルヴィーノと言うようだ。ツェルマットと逆にイタリア側の街はチェルヴィニアと言う。
一度、イタリア側に下りてみよう。オーバーグルグルでテーブルメイトとジョークを言い合った事が思い出される。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
海外一人旅1・万年青年どこへ行く カナダ編(門脇賴29歳の時)
門脇 賴
エッセイ・ノンフィクション
人生初の海外旅行。海外一人旅シリーズ1。
カナダ・アルバータ州のバンフの街を皮切りにカナダ7か月半、アメリカ1か月のバックパック一人旅にお付き合いください。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる