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第三章 アルプス・スキー(オーストリア)

第25話 サンアントンスキー場、再び3(ワールドカップ)

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 レッヒツァーの翌日は天気が良くなかったのでサンアントンで滑る事にした。Krazy Kanguruh の前で江崎君に会ったので、2人で1本滑ってからいつものカフェテリアに入った所で日本人に会った。彼は松下さんと言い、大阪外大で体育を教えているそうだ。
 昨年11月から、併設のサンクリストフスキー場でスキースクールを受講しているとの事。このサンアントンで私の姿は4~5回見かけていたようだ。昼食後3人で滑った。体育の先生だけあってかなり上手い。

 翌日は天気に恵まれたので再びツールス経由でレッヒまで行ってみた。今日はソロである。ツールスのリフト沿いに深雪の塊があったので2本滑ってみた。前日降った雪とみえ重い。
 レッヒにも深雪は至る所に見られた。ゲレンデは思った以上に広い。今日は時間は十分にあったのでスキーツァーでツールスに戻った。楽なコースである。

 サンアントンスキー場の真向かいにレンドルスキー場がある。ここで滑るスキーヤーは殆どいない。それはそうだと思う。世界的に有名なサンアントンに来てわざわざレンドルで滑る訳がない。でも話のタネに一度ぐらいは滑っておこうと思い行ってみた。
 雪が固く歯が立たなかったが上部はかなり広く新雪が降ればかなり快適な深雪を堪能できるのではないかと思う。リフトが稼働してくれるなら。
(今思えば、北海道ニセコのチセヌプリスキー場のように少人数のスキーヤーで新雪の深雪を独占できるかもしれない)

 レンドルは早々に切り上げサンアントンに戻ってきた。昼食の為 Krazy Kanguruh に来たら、来る1月31日、2月1日開催のワールドカップ・カンダハーに備えて出場選手が滑降の練習をしていた。ワールドカップ出場選手の滑降を生で観るのは初めてである。流石に迫力十分であった。

 ペンションに帰る時一緒になった女性は同じペンションで朝食時のテーブルが私と同じだと言う。ドイツから2週間の予定で来ているそうである。
(今、思い出そうとしても全く記憶にありません。たぶんこの時は Krazy Kanguruh のアメリカ娘以外の女性は誰も眼に入らなかったのだと思う。ドイツ人の女性には申し訳ないですが)

 翌日、快晴の中30~40分、滑降の練習を観た。どこの選手かは分からなかったがジャンプに失敗して転び、片方の板を壊してしまった。ものの見事に真ん中で折れていた。

 翌日も快晴。明日からカンダハー開催である。朝、松下さんに会った。昨日から滑降の選手の滑りをカメラに収めているそうだ。今日の練習は12時半からだそうである。
 滑降には3人の日本人選手が出場するようで、応援したがどうもあまり期待しないほうが良さそうである。

 オーストリア滞在も残り僅かになってきたので、土産物を買いに行ってみた。当初、木彫りの人形の予定だったが変更して木彫りのマスクとタペストリを買った。”社長へ” 及び ”アパートの大家さんへ” である。2人からは餞別を頂いていた。これを忘れたら帰国してから大変である。
 その後、江崎君を訪ねてみた。風邪をひいていたそうだ。夕食時、久しぶりの会話はスキーの話で盛り上がった。

 1月31日、ワールドカップ・カンダハー初日。
 滑降が行われた。日本勢は3人共あまり振るわなかった。トップの選手は1分50秒位だったようだ。ラストの選手で2分7秒位だった。
 ワールドカップを記念してカンダハー滑降コースをノンストップで滑降してみた。一度他のスキーヤーと接触しそうになり転んだが、強烈なアイスバーンを初心者並みのへっぴり腰で何とかあえぎながら滑り切った。何と9分30秒費やした。膝、腰ともガクガクになったがとても良い経験になった。
 大会の模様は夕方、TVでも観たが上位選手のみで日本人は観られず。ニュースだったのかな?

 2月1日、ワールドカップ・カンダハー2日目。
 最終日、スラロームが行われた。存分に楽しむ事ができた。日本期待の海和俊宏は1回目は3位につけたが、結局10位に終わった。逆に1回目は10何位だったスイスのシュテンマルクがごぼう抜きで優勝した。

 今夜はオーストリア最後の夜である。カンダハー私的後夜祭で街は盛り上がっており、『Chiba, Chiba!』と声を掛けられた。まさか、私を滑降選手の『千葉』と間違えた訳ではあるまい。『日本の千葉も頑張ったな!』という意味であろう。


 年明け後のサンアントンスキー場の3週間は期待ほどには深雪はなく少し残念。降雪時に上のゴンドラがよくクローズされるのがとても残念であった。
 思いがけなく、ワールドカップが生で観戦できたのは良かった。終了直後に選手と同じコースを滑降できたのは貴重な体験であった。
 また、前日に水を撒いて雪を凍らせるのは初めて知って驚いた。

 明日からはスイス・ツェルマット。待ってろよ、マッターホルン‼

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