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第三章 アルプス・スキー(オーストリア)

第24話 サンアントンスキー場、再び2

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 8日間お世話になったペンションを移動することになった。ここのペンションのおばさんは明るくて感じの良い庶民的な人だった。おじさんは元スキーインストラクターで今は観光案内所に務めているそうだ。今は息子さんの方がスキーは上手くなっているそうだ。
 新しいペンションも良い部屋である。ここのおばさんもゆっくりとした英語で説明してくれ、感じの良い人だ。サンアントンのペンションの人はみんな感じの良い人ばかりで、しかも部屋代も安い。オーバーグルグルとは大変な違いである。

 サンアントンに戻ってからは天気の良い日が多くなった。夜のうちに雪が降り朝には小雪か晴れという日が多くなって有難い。ただ折角の深雪を雪上車に圧雪されるのが少なくない。馬鹿な話だ。初級者コースだけすれば良いものを。
 普段はクローズされている事が少なくない上のゴンドラが快晴の日にはオープンする。頂上に立つとアルプス山脈が一望できて素晴らしいが、深雪が圧雪されていたり超ロングコースのリフトがクローズされている事が多いのが残念である。
 
 朝のゴンドラで1週間ほど前に出遇ったアメリカ娘を見かけた。今日はサングラスを掛けてなく素顔であったが、何と言う美しさ。日本でいくら探してもこれほどの超美人は見つけられないであろう。ブルック・シールズと互角か⁉ "Krazy Kanguruh" というネーム入りのウェアーを着ていた。そんな名前のレストランで働いているのであろう。Crazy Kangaroo を捩ったネーミングかな⁉

 昼前に日本人男子に会った。一昨日夕方見かけた日本人に間違いないようだ。その日サンアントンに到着したようだが、日本を出てから既に半年以上になるという。午後からは江崎君というその彼と一緒に滑ったが腕前は大したものだ。
 快晴の中ゴンドラで最高峰に立ったが360度の大パノラマはホッホグルグルを遥かに凌ぐ。
 スキーの後、彼のペンションで日本茶を呼ばれ夕食を共にした後、後日レッヒにツァーをする事を約束して別れた。

 日本を発って、早や3か月が過ぎた。残り1か月である。
 またペンションを変わった。予約客にキャンセルがあればそのまま連泊を続けたかったけどそうはいかない。今度のペンションは部屋は不必要に広い。その分宿泊費は割高だ。部屋にはバス・トイレはなくベッドはやや貧弱である。若干不満も残るペンションではあるが、サンアントン最後のペンションになるであろう。

 新しいペンションに落ちついた後、昼前にゲレンデに向かう。一滑りの後昼食は例のKrazy Kanguruh に行ってみた。ここで働いてるのはみんな若い男女ばかりのようだ。残念ながら例の美女は休憩時間のようで姿は見えなかった。

 レストランを出た所で江崎君に声を掛けられた。レッヒにスキーツァーすべくコース確認の為上のゴンドラに乗ってみたがコースは確認できない。スキーの後観光案内所を訪ねてみたが、スキーツァーはできないとの事。これは危険だからすべきでないという意味かな⁉ バスで途中のツールス迄は行けるので、取り敢えず明日2人でそこまでは行く事にした。

 翌日、ツールス経由でレッヒまで行ってきた。
 バスでツールスまではソロで行く。ここで1本滑ってゴンドラ乗り場まで来た所で江崎君に再会した。待っていてくれたようだ。ここのスキー場もサンアントンスキー場と共通のパスが使用可能でありとても便利である。
 ゴンドラで2本滑った後、予定通りレッヒにスキーツァーを開始する。リフトを利用できる所は使い、あとは歩いて約2時間のスキーツァーだった。レッヒは写真で観た以上の大変美しい街であった。レッヒ川左岸を下ると、対岸に純白の美しい瀟洒な教会が見える。真っ白い雪を纏ったレッヒ川を前面に絵葉書にピッタリの美しい姿である。

 ゲレンデは今日は雪質がカリカリでさっぱりだった。レッヒからツールスまではスキーツァーの予定だったが時間が少々気になるので止めにしてバスでサンアントンまで帰った。有意義な青年二人旅だった。
 
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