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第一章 北欧

第3話 フィンランド (森と湖の国) 

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 スウェーデンからフィンランドへ。
 ストックホルム~ヘルシンキの一泊の船旅はなかなか快適であった。4人部屋に2人だったのでゆっくりできた。同部屋のフィンランド人と会話を交わしたのであるが、どうもアメリカ英語とは少々違ってて上手く取り込めない。もしや、彼自身も英語はあまり得意ではないのだろうか?
 デンマークやスウェーデンと違って、ここでは入国管理で審査を受けた。どこが違うのだろう? フィンランドに着いた早々地元民男子に声を掛けられた。私の顔を見るなり、 "Japan!" と元気な声と笑顔。その後、胸を張って "Finland!"。で、行ってしまった。
 ストックホルムではホテル代がずいぶんかかったので、ヘルシンキではユースホステルに泊まることにする。もたもたしながらやっと辿り着いたユースは16時までクローズの掲示あり、ガクッ!。やむを得ず駅まで引き返し近くをぶらついた後、戻ったら先客があった。彼らとは気が合いそうだったので夕食を共にする事にした。
 1人はフランス人でパリ近郊に住んでいるとのこと。もう1人はスウェーデン人。2人とも一人旅が好きで時々出かけるようで、私と気が合うはずだ。
 フィンランド人はデンマーク人やスウェーデン人と比べて愛想が良く親切なように思う。ただ例外があり、このユースのペアレントは不愛想である。

 ユース、2日目。
 昨夜は気が付かなかったが日本人が2人泊まっていた。1人は4年前からニューヨークに住んでいるそうで、もう1人は昨年からパリに住んでいるそうだ。2人とも自然より人間が好きなようで毎晩ディスコに通っているとの事。自分とは少々タイプが違うようである。
 今日、別の日本人がやって来た。1か月前からヨーロッパを周遊しているそうで6か月の予定との事。会社は退職してきたそうで、2年前の自分と同じだ。
 国立博物館の見学の後、その近くの小さな湖をゆっくり一周してみる。裸の樹々、落葉が寂しく晩秋のムード満点である。更に、何十羽もの水鳥が趣を添える。
 夜、新来の日本人とカフェテリアに行ってみた。彼は絵、クラシック、ジャズに興味を持っており、前の2人とはまるで違うようだ。

 翌日、6時間のバスの旅でサヴォンリナという街にやって来た。車窓からは、湖は期待していたようには見られなかった。ただ森と畑が次から次へと現れる。2年前のカナダでのバンフ~ジャスパーのサイクリングの記憶が蘇る。ここは平たんで峠越えがないから歩くにも楽そうだ。できれば夏にもう一度訪れて、サイクリングをしてみたいものである。野生動物はいるのかな? いて欲しい。
 夕方、サヴォンリナに着いた。20分歩いてやっと見つけたホテルは高い上にバス無しだが、荷物が重くてこれ以上は歩けない。
  翌朝、観光案内所で地図を入手し、紹介してもらったゲストハウスを訪ねた。安い宿を依頼したのに全然安くない。バス付きではあるが、これなら昨日のホテルに連泊して、別途サウナに入ったほうがましだと思う。シーズンオフだと言うのに、フィンランドは宿泊施設はかなり高額なようだ。
 地図を片手に街を歩いてみる。道行く人々がみんなめずらしそうにじろじろ見る。あまり良い感じはしない。スズメに似た小鳥が可愛い。夜、列車の時刻調べに駅に行ってみたが駅から続く並木道はなかなか風情があって良かった。

 森と湖の国は天気に恵まれた日は素晴らしい。翌日のサヴォンリナからタンペレまでは列車の旅だが、車窓からの景色は実に素晴らしいものだった。今までにこれほどまでに美しい車窓からの景観は見たことがない。湖はあくまで青く、森は緑、畑は雪で真っ白。森の中に小さな可愛いカラフルな家がポツポツ、時折人の姿が見られる。夏なら更に美しいことであろうと想像する。機会があれば、夏にもう一度訪れたいものだ。
 タンペレではYMCAに宿をとるつもりでいたが、やっと辿り着いたら冬季はクローズとの事。”捨てる神あれば拾う神あり”。そこで働いている女性が親切なご婦人で近くのホテルを紹介してくれ、一緒にいた子供たちが案内してくれた。子供たちにもきちんとお礼を言いたかったが、言葉が通じないのが残念である。

 翌朝はうす曇りだったが徐々に晴れてきた。駅に荷物を預けた後公園に行ってみる。湖のすぐ近くにある公園の片隅に母子像が建っている。そこからの眺めが美しい。近くの塔に登ってみた。126m の高さからタンペレの市街が一望できた。何という美しさ。多くの小さな湖とよく整備された街並みと街路樹に遠くの森。夏であれば、どれだけ美しいことであろうか!
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