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world:09 結構毛だらけ猫灰だらけ!
第136話・未来の社畜
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〔あなたもこの時代から見ればかなり未来人ですね〕
「そういう誤魔化しはいらん。ついでに君ら人材派遣業なんやろ」
「……おい、それオレが言っただろ」
「八白さん、ネタの横取りはよくないわ」
君ら仲ええな……。
〔八白亜紀、私達が未来人だとする根拠はなんでしょう?〕
「地球の歴史に詳しすぎるんだよな。昭和ネタとか普通について来てるし。それにウチの会社の内情迄知っていたじゃんか」
そうなんだよ、さっきの違和感はそこなんだ。精神を病んで会社を辞め、その三年後にここに転生してきた。だから『酷い会社でしたからね』と内情を知っている一言がものっすごい引っ掛かったんだ。それはつまり、ウチが転生するよりも“ずっと前から知っていた”ということに他ならない。
「あとさ、女神さん。声、震えてるで」
〔ふう……かないませんね、あなたには。推測通り我々は、あなた方の時代から200年程先の時代から干渉しています〕
「マジ? 200年先ってことはさ……」
そう、ウチ達がいた令和の時代から200年後にはどえらいことが起きるんだ。それは確定事項。誰にも変えることが出来ない。
「2222年の2月22日22時22分22秒の、2が13個並ぶ”スーパーアルティメット猫の日スペシャルを体験してんだよね?」
〔いえ、それは今からです。その日は有給取りたいので、サクっと魔王軍を倒しちゃってください〕
「急に社会人じみてきやがりましたな……」
結局の所、女神さん達は“世界規模の歴史管理組織”とやらに属しているらしい。現在過去未来から異世界にまで、歴史に修正介入する者がいないかを監視しているという話だ。
「マジか~、なんで急にSFなんだよ……」
〔Science Fictionではなく、Survival Fantasyということでどうかひとつ……〕
「こらこら、『どうかひとつ』じゃないっての。なんでそうおっさんじみた言い方を……って、そうか……」
〔どうしました?〕
「女神さん、あんた……中の人男やろ」
……カカト落としの乱れ打ちが頭の上に降り注いできました。
女神さんには色々聞きたかったけど、未来の話は出来ない決まりだと言っていた。過去に未来の情報を与えるとどんな影響が出るかわからないからだそうだ。つか『未来人です。と言っている時点で過去に介入しているのでは?』と思いはしたけど、流石に白亜紀ではなんの影響もなさそうだ。
そして女神さんは、“覚醒”について教えて良いか判断が付かなかったらしい。だから第一声をアンジーか初代新生の神さんに言わせて、責任を逃れようとしたのだそうだ。
〔ただでさえあなたに24時間張り付いていなければならないのですから〕
「仕事増やしたくないってことか。女神さんも大概社畜生活なんだな……」
♢
女神さん達のツッコミどころ満載の正体を知った所で、プチがぞろぞろと大勢引き連れて戻って来た。
「アンジーの恐竜人ちゃん、全員来てんじゃん」
「ああ、私が頼んだんだよ。せっかくの機会なんだしさ、見ているだけでも勉強になる。それに、手薄な所を襲撃されても困るしね」
なるほど、もっともな話だ。ここに全員固まっていれば魔王軍も手を出しにくいだろう。
「では、誰から始めますかな?」
「——自分からでいいっスか?」
居ても立ってもいられぬ様子で、ずっとソワソワしていたルカ。この間のグレムリン戦は不完全燃焼だったから、なおさら戦いに飢えているのだろう。
海岸での戦いの時は、ティラノ・タルボコンビでドライアドと対等だったから、今のルカの力を量る目安にもなる。……でも改めて考えてみると、魔王軍って相当強い奴が揃っているってことなんだよな。
「さて……どこからでもかかってくるが良い。勝敗はなにも力だけで決まる訳ではござらんよ」
「初っ端から全力で行かせてもらうっスよ!」
気合十分のルカ。すでに臨戦態勢だ! ってこの流れは……
「……」
「何故脱ぐのでござるか……?」
「そういう誤魔化しはいらん。ついでに君ら人材派遣業なんやろ」
「……おい、それオレが言っただろ」
「八白さん、ネタの横取りはよくないわ」
君ら仲ええな……。
〔八白亜紀、私達が未来人だとする根拠はなんでしょう?〕
「地球の歴史に詳しすぎるんだよな。昭和ネタとか普通について来てるし。それにウチの会社の内情迄知っていたじゃんか」
そうなんだよ、さっきの違和感はそこなんだ。精神を病んで会社を辞め、その三年後にここに転生してきた。だから『酷い会社でしたからね』と内情を知っている一言がものっすごい引っ掛かったんだ。それはつまり、ウチが転生するよりも“ずっと前から知っていた”ということに他ならない。
「あとさ、女神さん。声、震えてるで」
〔ふう……かないませんね、あなたには。推測通り我々は、あなた方の時代から200年程先の時代から干渉しています〕
「マジ? 200年先ってことはさ……」
そう、ウチ達がいた令和の時代から200年後にはどえらいことが起きるんだ。それは確定事項。誰にも変えることが出来ない。
「2222年の2月22日22時22分22秒の、2が13個並ぶ”スーパーアルティメット猫の日スペシャルを体験してんだよね?」
〔いえ、それは今からです。その日は有給取りたいので、サクっと魔王軍を倒しちゃってください〕
「急に社会人じみてきやがりましたな……」
結局の所、女神さん達は“世界規模の歴史管理組織”とやらに属しているらしい。現在過去未来から異世界にまで、歴史に修正介入する者がいないかを監視しているという話だ。
「マジか~、なんで急にSFなんだよ……」
〔Science Fictionではなく、Survival Fantasyということでどうかひとつ……〕
「こらこら、『どうかひとつ』じゃないっての。なんでそうおっさんじみた言い方を……って、そうか……」
〔どうしました?〕
「女神さん、あんた……中の人男やろ」
……カカト落としの乱れ打ちが頭の上に降り注いできました。
女神さんには色々聞きたかったけど、未来の話は出来ない決まりだと言っていた。過去に未来の情報を与えるとどんな影響が出るかわからないからだそうだ。つか『未来人です。と言っている時点で過去に介入しているのでは?』と思いはしたけど、流石に白亜紀ではなんの影響もなさそうだ。
そして女神さんは、“覚醒”について教えて良いか判断が付かなかったらしい。だから第一声をアンジーか初代新生の神さんに言わせて、責任を逃れようとしたのだそうだ。
〔ただでさえあなたに24時間張り付いていなければならないのですから〕
「仕事増やしたくないってことか。女神さんも大概社畜生活なんだな……」
♢
女神さん達のツッコミどころ満載の正体を知った所で、プチがぞろぞろと大勢引き連れて戻って来た。
「アンジーの恐竜人ちゃん、全員来てんじゃん」
「ああ、私が頼んだんだよ。せっかくの機会なんだしさ、見ているだけでも勉強になる。それに、手薄な所を襲撃されても困るしね」
なるほど、もっともな話だ。ここに全員固まっていれば魔王軍も手を出しにくいだろう。
「では、誰から始めますかな?」
「——自分からでいいっスか?」
居ても立ってもいられぬ様子で、ずっとソワソワしていたルカ。この間のグレムリン戦は不完全燃焼だったから、なおさら戦いに飢えているのだろう。
海岸での戦いの時は、ティラノ・タルボコンビでドライアドと対等だったから、今のルカの力を量る目安にもなる。……でも改めて考えてみると、魔王軍って相当強い奴が揃っているってことなんだよな。
「さて……どこからでもかかってくるが良い。勝敗はなにも力だけで決まる訳ではござらんよ」
「初っ端から全力で行かせてもらうっスよ!」
気合十分のルカ。すでに臨戦態勢だ! ってこの流れは……
「……」
「何故脱ぐのでござるか……?」
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