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world:02 この娘が味方であの娘が敵で。
第17話・後輩さん。
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「お~い、ティラちゃん聞こえる~?」
「グア?」
あ、反応した。どうやら恐竜人達は、何かのきっかけで恐竜に戻ってしまうことがあるみたいだ。そして会話は出来なくても、こちらからの言葉は通じている。と言うことは……
「もしかして、知性を持った恐竜って最強じゃね?」
〔八白亜紀、地球の重力はこの時代も令和も変わらないのですよ?〕
「……何で急に重力の話になるの?」
〔地球上の生物は長い年月を経て、それこそ一億年以上の歳月をかけて、環境に最も適した形、サイズになって行ったのです〕
「うん、それは解るけど……」
〔つまり、恐竜の大きさと人間の大きさとでは、地球の重力に対する負担が段違いなのです〕
分析系の動画で『地球上に怪獣は存在出来ない』的なのが結構あったけど、あの理屈って事か。
「圧倒的な体格という利点よりも、マイナス面の方が大きいって感じ?」
〔マイナスといいますか、重力に適応したサイズのヒトの方が、応用が利くと言ったところでしょうか。素早く動けたり道具が使えたりと、特に恐竜人は恐竜の時のパワーを秘めているのですから、これがどれだけの利点になるのか? って事です〕
「なるほど……恐竜同士ならまだしも、魔王軍みたいなのを相手にするには、身体の大きさがアドバンテージになるケースは少ないのか」
それでも、恐竜に戻った方が良い場面もあるかもしれない。と考えもしたが、変身のトリガーが解らないとなると、不安定すぎて戦術には組み込めない。ティラノは興奮して恐竜に戻ったのだろうけど、それだって『多分そうなんだろうな』という程度のものだ。
「つか、むしろ“恐竜還り”は封印しないといつか踏みつぶされそうだよ」
って事で、恐竜人に戻ってもらいます。やはり可愛い娘の方が良いよね。
――ミルクチョコin!
――煙deポンッ!!
「いや~、久々に楽しかったぜ!」
額の汗を腕で拭いながら恐竜人に戻るティラノ。髪の毛から汗が滴り落ち、キラキラと輝いている。
「めっさイイ笑顔しとるな。これ写真撮ったら『一億五〇〇〇万年に一人の美少女』とかネットで話題になるぞ。『奇跡の一枚!』とか言われて。その後アイドル街道まっしぐらや! 猫もまっしぐらや! ウチはマネージャーとしてウハウハな人生まっしぐらや!」
〔はいはい、妄想暴走はそれくらいにして、それよりも目の前の恐竜さんはどうするのですか?〕
「ああ、そうそう、この娘ってさ……」
ウチの真上にある巨大な頭を見上げると、カルカロドントサウルスがこっちをじ~っと見ているのに気が付いた。いや、見ているというよりもこれはむしろ……
「ティラちゃん、ウチを“睨んで”くるこちらのお方は?」
「おう、こいつは俺様の後輩だ」
「後輩ってまさか……。ま、ここはとりま……」
――ミルクチョコin!
――煙deポンッ!!
「ティラさん、ちーーーーーーーーっす!!」
「おう、元気だったかー?」
「う~ん、やはりか。後輩って言ってたもんな」
足を肩幅に開き、腕を後ろにまわして腰を直角にまげての挨拶。想像通りの……ヤンキー恐竜!
ティラノと同じ黒の特攻服、背中には『琉華』と銀で刺繍がしてある。胸にはサラシ、そしてボンタン。フワッと風にそよぐ髪は、明るめの茶色でセミロングのストレート。手には黒いバンテージグローブが見え、その上から鎖が巻きつけてある。そして、紫がかった白のジュラ珠GET!
「君はルカちゃんって言うのか~」
「ああん? なに勝手に名前呼んでんだよ? ティラさん、なんスかこいつ?」
うわ、こえ~。この娘も美形だから迫力あるんだよな。ウチを睨みながら、斜に構えて腰を落とし右こぶしを引いている。これはいつでも殴れるという意思表示か!?
「ティラちゃん、何とかして~」
「おいこら、ティラさんに気安く話しかけてんじゃねーっスよ! シメるぞオラ!!」
ゴッッッ……
鈍い音が響く。ティラノの鉄拳がルカの脳天に垂直に打ち下ろされた音だった。……ヤンキー座りで頭を押さえてうずくまるルカ。
「おいルカ。俺様のマブにふざけた口きいてんじゃねーよ!」
「失礼しましたーっス。ティラさんのご親友とは露知らず恐縮至極に存じまス!」
なんか……難しい言葉知ってるのね、この娘は。というかツレからマブダチ属性に格上げされている。なんか照れるぜ。
「お詫びのしるしに、肩でも揉むっスよ、姐さん!」
「姐さんって……まあ、悪くはないか」
バキバキバキ……
「おぉう! そこそこ……ええわぁ~。ルカちゃん、ツボ心得てるね」
「ってか姐さん、体中バキバキじゃないっスか。運動しないとヤバイっスよ」
そうは言っても、白亜紀に来てからかなり動いているから大丈夫な気がしない事もない。ティラノサウルスに追いかけられて、いきなり全力疾走だったもんな。それでもここまで身体が硬いってのは、座りっぱなしヒッキーが祟ったのだろう。
バキバキバキ……
「いててて……。そいえばルカちゃん、さっき向こうで見ていたのはなんで?」
「んと、なんかティラさんの気配を感じたんで来たんスけど姿が見えなくて」
「ああ、それで困惑してたのか~」
「そしたら突然ティラさんが出てきたから嬉しくなってしまったっス!」
なるほどなるほど。ティラノは結構慕われてるのね! 流石ジュラシックカーストNo.1だわ。
「――ここ、ツボっス!」
バキバキバキバキバキバキ……
「むおっ……くぅ~効く~」
妹分のルカ、か。一本気な性格の娘ってウチには眩しすぎるけど、それでも素直に信用出来る素敵な恐竜人だ!
「あ、ところで姐さん」
「なに~?」
「脱いでいいっスか?」
……はい? なんですと??
「グア?」
あ、反応した。どうやら恐竜人達は、何かのきっかけで恐竜に戻ってしまうことがあるみたいだ。そして会話は出来なくても、こちらからの言葉は通じている。と言うことは……
「もしかして、知性を持った恐竜って最強じゃね?」
〔八白亜紀、地球の重力はこの時代も令和も変わらないのですよ?〕
「……何で急に重力の話になるの?」
〔地球上の生物は長い年月を経て、それこそ一億年以上の歳月をかけて、環境に最も適した形、サイズになって行ったのです〕
「うん、それは解るけど……」
〔つまり、恐竜の大きさと人間の大きさとでは、地球の重力に対する負担が段違いなのです〕
分析系の動画で『地球上に怪獣は存在出来ない』的なのが結構あったけど、あの理屈って事か。
「圧倒的な体格という利点よりも、マイナス面の方が大きいって感じ?」
〔マイナスといいますか、重力に適応したサイズのヒトの方が、応用が利くと言ったところでしょうか。素早く動けたり道具が使えたりと、特に恐竜人は恐竜の時のパワーを秘めているのですから、これがどれだけの利点になるのか? って事です〕
「なるほど……恐竜同士ならまだしも、魔王軍みたいなのを相手にするには、身体の大きさがアドバンテージになるケースは少ないのか」
それでも、恐竜に戻った方が良い場面もあるかもしれない。と考えもしたが、変身のトリガーが解らないとなると、不安定すぎて戦術には組み込めない。ティラノは興奮して恐竜に戻ったのだろうけど、それだって『多分そうなんだろうな』という程度のものだ。
「つか、むしろ“恐竜還り”は封印しないといつか踏みつぶされそうだよ」
って事で、恐竜人に戻ってもらいます。やはり可愛い娘の方が良いよね。
――ミルクチョコin!
――煙deポンッ!!
「いや~、久々に楽しかったぜ!」
額の汗を腕で拭いながら恐竜人に戻るティラノ。髪の毛から汗が滴り落ち、キラキラと輝いている。
「めっさイイ笑顔しとるな。これ写真撮ったら『一億五〇〇〇万年に一人の美少女』とかネットで話題になるぞ。『奇跡の一枚!』とか言われて。その後アイドル街道まっしぐらや! 猫もまっしぐらや! ウチはマネージャーとしてウハウハな人生まっしぐらや!」
〔はいはい、妄想暴走はそれくらいにして、それよりも目の前の恐竜さんはどうするのですか?〕
「ああ、そうそう、この娘ってさ……」
ウチの真上にある巨大な頭を見上げると、カルカロドントサウルスがこっちをじ~っと見ているのに気が付いた。いや、見ているというよりもこれはむしろ……
「ティラちゃん、ウチを“睨んで”くるこちらのお方は?」
「おう、こいつは俺様の後輩だ」
「後輩ってまさか……。ま、ここはとりま……」
――ミルクチョコin!
――煙deポンッ!!
「ティラさん、ちーーーーーーーーっす!!」
「おう、元気だったかー?」
「う~ん、やはりか。後輩って言ってたもんな」
足を肩幅に開き、腕を後ろにまわして腰を直角にまげての挨拶。想像通りの……ヤンキー恐竜!
ティラノと同じ黒の特攻服、背中には『琉華』と銀で刺繍がしてある。胸にはサラシ、そしてボンタン。フワッと風にそよぐ髪は、明るめの茶色でセミロングのストレート。手には黒いバンテージグローブが見え、その上から鎖が巻きつけてある。そして、紫がかった白のジュラ珠GET!
「君はルカちゃんって言うのか~」
「ああん? なに勝手に名前呼んでんだよ? ティラさん、なんスかこいつ?」
うわ、こえ~。この娘も美形だから迫力あるんだよな。ウチを睨みながら、斜に構えて腰を落とし右こぶしを引いている。これはいつでも殴れるという意思表示か!?
「ティラちゃん、何とかして~」
「おいこら、ティラさんに気安く話しかけてんじゃねーっスよ! シメるぞオラ!!」
ゴッッッ……
鈍い音が響く。ティラノの鉄拳がルカの脳天に垂直に打ち下ろされた音だった。……ヤンキー座りで頭を押さえてうずくまるルカ。
「おいルカ。俺様のマブにふざけた口きいてんじゃねーよ!」
「失礼しましたーっス。ティラさんのご親友とは露知らず恐縮至極に存じまス!」
なんか……難しい言葉知ってるのね、この娘は。というかツレからマブダチ属性に格上げされている。なんか照れるぜ。
「お詫びのしるしに、肩でも揉むっスよ、姐さん!」
「姐さんって……まあ、悪くはないか」
バキバキバキ……
「おぉう! そこそこ……ええわぁ~。ルカちゃん、ツボ心得てるね」
「ってか姐さん、体中バキバキじゃないっスか。運動しないとヤバイっスよ」
そうは言っても、白亜紀に来てからかなり動いているから大丈夫な気がしない事もない。ティラノサウルスに追いかけられて、いきなり全力疾走だったもんな。それでもここまで身体が硬いってのは、座りっぱなしヒッキーが祟ったのだろう。
バキバキバキ……
「いててて……。そいえばルカちゃん、さっき向こうで見ていたのはなんで?」
「んと、なんかティラさんの気配を感じたんで来たんスけど姿が見えなくて」
「ああ、それで困惑してたのか~」
「そしたら突然ティラさんが出てきたから嬉しくなってしまったっス!」
なるほどなるほど。ティラノは結構慕われてるのね! 流石ジュラシックカーストNo.1だわ。
「――ここ、ツボっス!」
バキバキバキバキバキバキ……
「むおっ……くぅ~効く~」
妹分のルカ、か。一本気な性格の娘ってウチには眩しすぎるけど、それでも素直に信用出来る素敵な恐竜人だ!
「あ、ところで姐さん」
「なに~?」
「脱いでいいっスか?」
……はい? なんですと??
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