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第2章

2-13フレンズさくら

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 さくらにとっては全てが新鮮だった。
 思い返せば15年9ヶ月の短い人生だったが、そこそこ充実していた…と今も思っている。
 いずみとは姉妹のように育てられ、お互いにしっかり信頼しあってきた。
 信頼しすぎて、何を考えてるのか丸わかりのため、大げんかもした。
 親友以上であり、家族のような存在だった。

 いずみのことは、誰よりも理解している…つもりだった。

 ある意味それは正しかった。
 しかし、それでも“程度”というものがある。

 いずみの“フレンズ”とやらになるまでは…それでもよかった、のだが…。

 【ゴラァ! いずみっ! また思いつきで手を抜くっ!】
 〈え~っ だってめんどいじゃん!〉
 【あんたがテキトーな性格だってことは、よぉ~く知ってたけど、ここまで行き当たりばったりだとは思ってなかったわよ!】
 相次ぐモンスターの襲撃により、水無月家も柳瀬川家もスタッフが半減していた。
 さらにさくらが“殉職”したことにより、諜報部隊の命令系統が混乱している。
 兼成のアイディアで、怪異の目撃ポイントに警戒用のお札を貼ることとなった。
 これは、電子機器による防犯カメラやサーモグラフィ等の改良センサーでは、例の湧が“リッチ“と呼ぶモンスターには反応しないことが判明したためだ。
 地道な作業だが、地脈を利用したお札の方が精度が高かったのだ。
 今までのお務めでも、度々巡回ルートを短絡してきたいずみは、当然のごとく近道をしようとした。
 そこでさくらに気付かれてしまったのだ。

 〈…さくら…フレンズになった途端に口うるさくなったね…欲求不満?〉
 【な、なんだとぉ!】
 怒り心頭のさくらは、いつの間にか会得した半実体化でいずみの前に顕現した。
 〈お、さくらが見える…〉
 肉体を失ったので、今までのように叩かれる心配はないと、たかを括っていたいずみのこめかみをさくらは力任せに“グリグリ”し始めた。
 「ぎゃぎゃぎゃぁ~~、痛い痛いごめんごめん…」
 いずみは祖父に植え付けられたトラウマによって、この“グリグリ”をされると一切の抵抗ができない。
 いずみの唯一の弱点なのだ。
 【あんたのいい加減さは、照れ隠しなんだと思ってたのよ! でも…本当に何も考えてないじゃない!】
 〈そんなことないもん! ちゃんと考えて…二人で分担してって思って…〉
 【近道したら、印が結べないでしょ! 歩くことで“印”を結ぶと説明されてたはずよ?】
 〈そこよ! 私がちか…直線ルートで印を結んで、さくらに通常ルートの印を結んでもらおうと…〉
 【今、“近道”って言いかけた…】
 <グリ…>
 〈わ、わ、やめて! ごめんなさいぃ~~〉
 仕方なくいずみは正規ルートに戻って行く。
 さくらは生前よりいずみの扱いが重労働になったことを…痛感したのだった。
    <第2章終わりー第3章に続く>
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