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「なんだ小太郎! そういう事かよ! それならそうともっと早く言えよ! 俺ら親友だろ?」

「えっ?」

 部活の休憩中、ヨシオが突如として謎めいたことを言ってきた。

「隠したい気持ちもわかる。でもそういうことなら話は早いだろ! まー、ここじゃなんだ。な? とりあえず昼飯ん時にな、ゆっくり話そうぜ」
「お、おう。ソウダネ」

 ──ドクンッ。

 え。ここじゃ話せないような事って……。

「もう何も心配いらないからな。俺に全部任せとけ!」
「アリガトウ! タヨリニシテル!」


 確実にヨシオは何かに気付いた。

 いったい何に?
 ここ最近の出来事を振り返る。

 ……………………。

 ……………………。

 いや、まずいだろ。まず過ぎだろ!
 知られて困ることがあまりにも多過ぎる。

 でも、ヨシオの雰囲気は好意的だった。しかもヨシオが解決に導いてくれるような言い草。

 と、なると…………。

 “なんだ小太郎! お前女子トイレが好きだったのかよ! もっと早く言えよ! 俺に任せとけ!”

 ないない。ありえない。

 “俺のパンツで良かったらいくらでも貸すからな! 遠慮すんなよ!”

 うん。絶対ない!

 “ゆるふわ系じゃなくて清楚系になりたいんだろ? 俺が昔使ってたウィッグやるよ!”

 百パーない!

 大丈夫だ。ヨシオには何もバレてない。

 バスケ関連の話だろうな。うんうん。きっとそうだ!

 ◇◇

 そして部活が終わり、スマホを確認するとまどか先輩からメッセージが届いていた。

 《今さっき、池照くんにご飯誘われたんだけど、何か聞いてる? 池照くんがわたしをランチに誘うとかありえないんだけど! ひょっとしてなつ君の仕業?》

 ──ドクンッ。

 とてつもなく嫌な予感がした。
 ヨシオが何を思い、何を考えているのか。そして今日これから何をするのか。わかってしまったかもしれない。
 
 《何もしてないし、聞いてもないです》

 まだわからない。まだわからないけど……。

 《そかそか。とりあえずあの作戦は中止ね。池照くんとランチに行けるわけだしぃ~♡》

 《それはわかりましたけど、まどか先輩が来るってヨシオから一言も聞いてないんですよ。おかしくないですか?》

 《あのさ、なつ君。せっかく池照くんが誘ってくれたんだから、水を差すような真似だけはやめようね? わかった?》

 《わかりました》

 《よろしい♡》

 なんて呑気な人だ。
 ハートマークなんて付けて浮かれてる場合じゃないだろ。ここは“お手”のスタンプでしょうよまどか先輩。

 もうダメだ。今のこの人になにを言っても無駄だ。

 僕ひとりで切り抜ける!
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