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④
しおりを挟む「なんだ小太郎! そういう事かよ! それならそうともっと早く言えよ! 俺ら親友だろ?」
「えっ?」
部活の休憩中、ヨシオが突如として謎めいたことを言ってきた。
「隠したい気持ちもわかる。でもそういうことなら話は早いだろ! まー、ここじゃなんだ。な? とりあえず昼飯ん時にな、ゆっくり話そうぜ」
「お、おう。ソウダネ」
──ドクンッ。
え。ここじゃ話せないような事って……。
「もう何も心配いらないからな。俺に全部任せとけ!」
「アリガトウ! タヨリニシテル!」
確実にヨシオは何かに気付いた。
いったい何に?
ここ最近の出来事を振り返る。
……………………。
……………………。
いや、まずいだろ。まず過ぎだろ!
知られて困ることがあまりにも多過ぎる。
でも、ヨシオの雰囲気は好意的だった。しかもヨシオが解決に導いてくれるような言い草。
と、なると…………。
“なんだ小太郎! お前女子トイレが好きだったのかよ! もっと早く言えよ! 俺に任せとけ!”
ないない。ありえない。
“俺のパンツで良かったらいくらでも貸すからな! 遠慮すんなよ!”
うん。絶対ない!
“ゆるふわ系じゃなくて清楚系になりたいんだろ? 俺が昔使ってたウィッグやるよ!”
百パーない!
大丈夫だ。ヨシオには何もバレてない。
バスケ関連の話だろうな。うんうん。きっとそうだ!
◇◇
そして部活が終わり、スマホを確認するとまどか先輩からメッセージが届いていた。
《今さっき、池照くんにご飯誘われたんだけど、何か聞いてる? 池照くんがわたしをランチに誘うとかありえないんだけど! ひょっとしてなつ君の仕業?》
──ドクンッ。
とてつもなく嫌な予感がした。
ヨシオが何を思い、何を考えているのか。そして今日これから何をするのか。わかってしまったかもしれない。
《何もしてないし、聞いてもないです》
まだわからない。まだわからないけど……。
《そかそか。とりあえずあの作戦は中止ね。池照くんとランチに行けるわけだしぃ~♡》
《それはわかりましたけど、まどか先輩が来るってヨシオから一言も聞いてないんですよ。おかしくないですか?》
《あのさ、なつ君。せっかく池照くんが誘ってくれたんだから、水を差すような真似だけはやめようね? わかった?》
《わかりました》
《よろしい♡》
なんて呑気な人だ。
ハートマークなんて付けて浮かれてる場合じゃないだろ。ここは“お手”のスタンプでしょうよまどか先輩。
もうダメだ。今のこの人になにを言っても無駄だ。
僕ひとりで切り抜ける!
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