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ある夏の日の僕達の軌跡

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 ジリジリと照り付ける太陽は、東大寺一正の体力を的確に削っていく。
 「待ち合わせ場所指定したのあいつらのくせに・・・。待たせんなよ・・・」
 そう一正はぼやく。世の中は戦争の渦に飲み込まれ、オーストラリアが主戦場になっているにも拘わらず、少年の脳内は呆れる程に平和一色だった。いや、今のところ地球上のほとんどの人々の脳内はそんな感じなんだろう。未だに戦場はオーストラリアの砂漠地帯から一切動かず、その他の場所はまだ平和その物であった。
 それも時間の問題だろう、と唱える人だって幾らでもいるが、戦場がオーストラリアの砂漠地帯から1ミクロンさえもずれやしないで長期化しているのが現実だ。
 人々が今の状況を受け入れきれないのも頷ける。
 それも地球だけの話なのだがあまり色々話す必要性も無いし、そもそも一正だってそれ以上は知っている訳が無いのだから。説明する必要性は今は皆無だろう。まあ、その内話す事になるだろうが。
 今地球上で何が起こっていようが東大寺一正の脳内は平和だし、世界全体の雰囲気も平和なのだ。
 東大寺一正は、まだ幼い頃から父親の仕事の関係でオーストラリアに移住していた。
 中学校でも友人も多く、かなり充実した生活を送っていた。現在は中学二年生だ。
 勉強もそこそこできるが運動の方がもう少し得意な平均的なヤツである。だが、その割りに冷静な性格だった。だが、反面熱くなるのも早い。熱くなったら最後、マンガの熱血主人公より厄介だ。謎な性格ではあった。だが、優しいので友人も多い。総じて謎なヤツなのだった。
 彼は、今4人の友人を待っていた。親友のアレックス・ハルム、同じく親友のコリン・バーン、アレックスの彼女のクレア・フライヤー、そして、最近仲良くなったクレアの親友のエルメリナ・スプリガン。
 東大寺一正も合わせると男子3人(一正、アレックス、コリン)と女子2人(クレア、エルメリナ)。
 全員でファストフード店に12時に集合の予定だったのだが。
 そんな事を考えている今も、日光は一正のHPをガリガリ削る。まるでRPGの毒状態だ。いや、火傷か?どちらにせよ、一正は暑さと、もしかして時間間違えたのかそれとも2時間早く来過ぎたかいやそもそも今日やなかったんやないか(謎の訛り)という焦りでくたくたになっていた。その内脳味噌が溶けそうだ。
 全くどうしてくれようか。死ねと言うのか。いっそのことファストフード店の中でクーラーに冷やされようぜとか思ったりしたものの、それではみんなが来たときに誤解され、何で先入ってるまさか何か食ったかテメー裏切り者があとか言われそうなので、そうもいかないのである。
 「あー、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ・・・・・・・」
 ずーーーーーっと死ぬを連呼して周りから変な目で見られて恥ずかしく思った挙げ句の果てに目眩に襲われ、もう良い!さあ、ファストフード店に、全軍突撃イイイイイイとか考えて自動ドアへと向かうと、丁度4人が来たところだった。
 「ぬおおおお、お前ら、遅すぎだあ!もっと早く来いよ」
 「ごめんごめん、ちょっと色々あってな」
 そう言ったのはアレックスだ。
 「ん?どうしたんだ?」
 「いやぁ、それが通行止めでさ、このファストフード店に来るまでに通行止めのところが10ヶ所以上あってさ」
 そう答えたのはコリンだ。
 「通行止め?俺が来た時はまだ無かったぞ?」
 「さっきなったばっかりなんだって」
 そうエルメリナが言う。
 「そうか、まあ、じゃあ仕方無いか」
 「そうだって。それより、早く入ろうぜ?もう、暑くて暑くて」
 アレックスが言う。
 「それは俺の台詞だ」
 一正はそう言うと、友人に続いてファストフード店に入った。
 それはある夏の日の事だった。
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