5 / 6
これからよろしく 2
しおりを挟む
私が立ち上がると、玲都も立ち上がり私の後ろを控えめについてくる。
その姿を確認しながら廊下に出てすぐの部屋の扉を開けた。
「ここが玲都の部屋。持ってきてくれた家具は適当に配置したよ」
「あ、ありがとう」
家具と言っても、ベッドと机と小さな本棚くらいしかないし、引越し業者の人に任せたから搬入は簡単だったけど。
部屋の中にはまだ開けられていないダンボールが4つ積まれている。
「ベッドシーツとかは用意してないから、そっちで用意してね」
「わかった。それと、その……え、っと……」
「どうかした?」
相変わらず控えめな足踏みをしながら顔を真っ赤にしてなにか言いずらそうにしている玲都。気になったので、言うまで待ってみることにする。
「なに言っても、笑わないか?……あと、だれにも言わないでほしいんだが……」
「え?そんなに?もちろん言わないつもりだよ」
玲都が意を決したようにこちらを一度見たあと目を逸らした。
「……おれ、たまに……その、おねしょ、するんだ……たまにな。本当にたまに……」
「おねしょ」のところだけはかなり小さな声。ようやくすべて言い終えたらしい玲都の顔は前よりも赤くなっていた。目だって、泣く寸前のように涙が溜まっている。
もちろん笑わないし、出た感想と言えば「意外」の一言だ。
「やっぱり引いた……?よな。処理は一人でやるから……」
「引いてないよ。そういう一面もあるんだな~って程度。たまになら仕方ないし、片付けとかできることあればやるから頼ってね」
「ん……そうか、ありがとな」
真っ赤な顔で照れたように笑う玲都の足は足踏みをやめていて、ピッタリと閉じられていた。
今の話でピンと来たが、玲都はトイレに行きたいんじゃないだろうか。そういえば教えなくても何となくで分かるだろうと、トイレの場所を教えていなかった。
「そうだ、お風呂とトイレの場所教えてなかったね」
「そ、だな……」
「ごめんね。知ってたかもだけどこっちね」
部屋を出て少しだけ歩いたところのドアを開ける。ちょっとの距離なのに、さっきよりも明らかに遅い足音が後ろから聞こえてくる。
「ここがトイレ。そこの下の扉にトイレットペーパーを入れておくから、ホルダーになくなってたら替えて」
「わ、かった……っ」
ついに、シワになるほど強くズボンを握りしめている。
思えばかなり最初から足を動かしていた。もっと早く気付いてあげられればよかった。
「あー……玲都、トイレ大丈夫……?」
トイレの前まで連れてくることは成功したが、なんと言って誘導したらいいかわからず、もろストレートに聞く。
玲都はもう限界なようで、俯いた頭をふるふると横に振った。
「っ……ぁ、っん……ごめ、なさいっ」
そう言って謝罪する玲都はもう股を押さえつけていて、その割には脚を開いていた。明らかに「おもらしをしてる子」と言えるような。実際に、じわじわとズボンの色を変えている。
少し開いた足と足の間に水が滴る。
ぽたぽた、ぴちゃぴちゃと、床に落ちる音が聞こえる。
やがて少しずつ勢いが強くなって、水溜まりとなり広がっていく。
その間も謝罪を繰り返し、我慢することを諦めない玲都に酷く同情する。
俯いた耳が真っ赤。水流が伝う足は小刻みに震えている。片手で股を、もう片手で羞恥に服を握りしめて。羞恥に耐えているのだろう。
玲都がおもらしを終えるまで、俺は何をするでもなくただ見ていた。
いや、見惚れていた。と言った方が正しい。
初めて見る光景だったのだ。
プライドが高い同い年の男が、あの生徒会長が、みんなに一目置かれながら距離を取られているあの人が。
どうしようもないギャップが、異様にマッチしているように思えて胸が高鳴る。
そういうフェチに目覚めたのだと自覚するのは一瞬だった。
「ぁ、あの、ごめ、ごめんなさい……」
すべて出し切ったようで、そう謝罪する玲都の横を何も言わず通り抜けて脱衣所にタオルを取りに行く。
慰めるなり励ますなり声をかけた方が良かったのだろうとは思うが、そんな適切な言葉は思い浮かばなかった。
可愛い玲都の姿が視界に入らなくなったことで頭は冷静になった。一応古めのバスタオルを選んで取り出しそれに顔を埋めて深呼吸する。下半身が熱を帯びていることを自覚した。
自分が落ち着いたのを確認してから再び廊下に出る。
玲都は、上の服を脱いで濡れた床を拭いていた。
「な、なにしてるの?!」
「っ、悪い、カーディガンは洗濯できないからもったいなくて……」
そもそも玲都の服装というのはカッターシャツにカーディガンとスキニージーンズだ。それのシャツを脱いで、カーディガンだけ羽織って、脱いだもので床を拭っている。
当然カッターシャツだけですべて吸いきれるはずがなく、びしょ濡れのシャツが床に落ちている。
当たり前だが、私が声をかけたのは自分の服で床を拭いていることに驚いたからであって、カーディガンも使えということではない。
私の声で床から顔を上げた玲都は時折唇を噛み、眼鏡の奥の瞳に涙を溜めている。そりゃ泣きたいよな。
「そうじゃなくて、自分の服で拭かなくていいってことだよ。タオル持ってきたから、全部拭いて一緒に洗おう」
「迷惑かけて、すまない……あとは俺がやるから……」
「わかった。じゃあ俺は着替え用意してるね。濡れるの面倒だろうから、この場でズボン脱いじゃおう」
さすがにこのあとの処理をすべて一人でやらせるのは可哀想だが、変に手を出してプライドを傷つけることにならないように少しだけ手伝うことにしよう。
着替えは、荷物を漁るのは気が引けるが、昔サイズを間違えて買ったスウェットがあるからそれでいいだろう。ついでにプレゼントすればいいし。
「着替え用意してるね。風呂場にあるタオルとかは好きに使って。濡れたのは洗面台に置いといて」
「……ほんとに、わるいな。着替えは適当に持ってきてほしい……下着は、触るの嫌だったらいらない」
「了解。何度も謝らなくていいよ。怒ってないし。じゃあ、探してくるね」
タオルを渡して玲都の部屋に入る。そして、衣類と書かれたダンボールを開ける。
荷物を漁る許可が出たのでサイズ違いのスウェットは違うときに渡そう。
ササッと下着と衣類を取り出す。風呂場に行って着替えを置くと、シャワーの音に紛れて小さな嗚咽が聞こえる。一人になったことで耐えられなくなったようだ。
ふと洗面台を見ると、指示した通りに濡れたものが置かれていた。すでに風呂で泣いているのに、これを見せるのは可哀想だ。もともとそのつもりだったが今のうちに軽く洗っておこう。
洗面台の水を出して、軽く水で揉み洗いする。そして絞って洗濯機に入れた。
キッチンでお茶をいれてミニテーブルに置く。
一人で少し飲んで待っていると、玲都が戻ってきた。目元は赤くなっている。
「さっきは、ほんとにすまなかった。汚いものを見せたし、服も、洗わせて……」
「謝らなくていいってば」
明らかに泣いたあとなのに、普段通り振舞おうとしているのが痛々しい。
「……な、なぁ、しののめ……」
「うん。どうした?真桜でいいよ」
意を決したように話しかけてくる玲都。相変わらず俺を東雲と呼ぶが、この際に訂正してしまう。
「……俺と一緒に暮らすの、嫌になったか……?真桜、が言うなら、俺は出ていくから……」
「え、いや、別にこれ程度で嫌わないけど?」
玲都のおかげで素晴らしい趣味に目覚めそうなのに。いや、目覚めたのに。
それなのに追い出すなんてありえない。
「俺、この体質だから、中学の修学旅行でやらかして……それからちょっと、嫌がらせとか……だから、まお、も、嫌だろ……っ」
「そうだったんだ。俺は嫌じゃないよ。むしろ、普段しっかりしてると思ってたからそういうところがあるんだって知れて安心したかも」
「あんしん……?」
「そう。玲都も人間なんだなって。極端な話だけど、親近感が湧いた。俺はそういう失敗はしないけど、忘れ物とか、ちょっとしたミスが多いからさ」
以前までは距離を取ってしまったが、意外にも可愛い玲都を気に入ってしまった。「嫌がらせ」と、興味深い言葉が聞こえてきたが踏み込むのはもっと仲良くなってからにしよう。
「気にしなくていいんだよ。ほら、お茶飲みな。なくなった分の水分補給ね」
「ぅ……ありがと……」
また、泣きそうになりながらも玲都はお茶に口をつけた。
その顔は耳まで真っ赤になっている。意地悪しすぎただろうか。
その姿を確認しながら廊下に出てすぐの部屋の扉を開けた。
「ここが玲都の部屋。持ってきてくれた家具は適当に配置したよ」
「あ、ありがとう」
家具と言っても、ベッドと机と小さな本棚くらいしかないし、引越し業者の人に任せたから搬入は簡単だったけど。
部屋の中にはまだ開けられていないダンボールが4つ積まれている。
「ベッドシーツとかは用意してないから、そっちで用意してね」
「わかった。それと、その……え、っと……」
「どうかした?」
相変わらず控えめな足踏みをしながら顔を真っ赤にしてなにか言いずらそうにしている玲都。気になったので、言うまで待ってみることにする。
「なに言っても、笑わないか?……あと、だれにも言わないでほしいんだが……」
「え?そんなに?もちろん言わないつもりだよ」
玲都が意を決したようにこちらを一度見たあと目を逸らした。
「……おれ、たまに……その、おねしょ、するんだ……たまにな。本当にたまに……」
「おねしょ」のところだけはかなり小さな声。ようやくすべて言い終えたらしい玲都の顔は前よりも赤くなっていた。目だって、泣く寸前のように涙が溜まっている。
もちろん笑わないし、出た感想と言えば「意外」の一言だ。
「やっぱり引いた……?よな。処理は一人でやるから……」
「引いてないよ。そういう一面もあるんだな~って程度。たまになら仕方ないし、片付けとかできることあればやるから頼ってね」
「ん……そうか、ありがとな」
真っ赤な顔で照れたように笑う玲都の足は足踏みをやめていて、ピッタリと閉じられていた。
今の話でピンと来たが、玲都はトイレに行きたいんじゃないだろうか。そういえば教えなくても何となくで分かるだろうと、トイレの場所を教えていなかった。
「そうだ、お風呂とトイレの場所教えてなかったね」
「そ、だな……」
「ごめんね。知ってたかもだけどこっちね」
部屋を出て少しだけ歩いたところのドアを開ける。ちょっとの距離なのに、さっきよりも明らかに遅い足音が後ろから聞こえてくる。
「ここがトイレ。そこの下の扉にトイレットペーパーを入れておくから、ホルダーになくなってたら替えて」
「わ、かった……っ」
ついに、シワになるほど強くズボンを握りしめている。
思えばかなり最初から足を動かしていた。もっと早く気付いてあげられればよかった。
「あー……玲都、トイレ大丈夫……?」
トイレの前まで連れてくることは成功したが、なんと言って誘導したらいいかわからず、もろストレートに聞く。
玲都はもう限界なようで、俯いた頭をふるふると横に振った。
「っ……ぁ、っん……ごめ、なさいっ」
そう言って謝罪する玲都はもう股を押さえつけていて、その割には脚を開いていた。明らかに「おもらしをしてる子」と言えるような。実際に、じわじわとズボンの色を変えている。
少し開いた足と足の間に水が滴る。
ぽたぽた、ぴちゃぴちゃと、床に落ちる音が聞こえる。
やがて少しずつ勢いが強くなって、水溜まりとなり広がっていく。
その間も謝罪を繰り返し、我慢することを諦めない玲都に酷く同情する。
俯いた耳が真っ赤。水流が伝う足は小刻みに震えている。片手で股を、もう片手で羞恥に服を握りしめて。羞恥に耐えているのだろう。
玲都がおもらしを終えるまで、俺は何をするでもなくただ見ていた。
いや、見惚れていた。と言った方が正しい。
初めて見る光景だったのだ。
プライドが高い同い年の男が、あの生徒会長が、みんなに一目置かれながら距離を取られているあの人が。
どうしようもないギャップが、異様にマッチしているように思えて胸が高鳴る。
そういうフェチに目覚めたのだと自覚するのは一瞬だった。
「ぁ、あの、ごめ、ごめんなさい……」
すべて出し切ったようで、そう謝罪する玲都の横を何も言わず通り抜けて脱衣所にタオルを取りに行く。
慰めるなり励ますなり声をかけた方が良かったのだろうとは思うが、そんな適切な言葉は思い浮かばなかった。
可愛い玲都の姿が視界に入らなくなったことで頭は冷静になった。一応古めのバスタオルを選んで取り出しそれに顔を埋めて深呼吸する。下半身が熱を帯びていることを自覚した。
自分が落ち着いたのを確認してから再び廊下に出る。
玲都は、上の服を脱いで濡れた床を拭いていた。
「な、なにしてるの?!」
「っ、悪い、カーディガンは洗濯できないからもったいなくて……」
そもそも玲都の服装というのはカッターシャツにカーディガンとスキニージーンズだ。それのシャツを脱いで、カーディガンだけ羽織って、脱いだもので床を拭っている。
当然カッターシャツだけですべて吸いきれるはずがなく、びしょ濡れのシャツが床に落ちている。
当たり前だが、私が声をかけたのは自分の服で床を拭いていることに驚いたからであって、カーディガンも使えということではない。
私の声で床から顔を上げた玲都は時折唇を噛み、眼鏡の奥の瞳に涙を溜めている。そりゃ泣きたいよな。
「そうじゃなくて、自分の服で拭かなくていいってことだよ。タオル持ってきたから、全部拭いて一緒に洗おう」
「迷惑かけて、すまない……あとは俺がやるから……」
「わかった。じゃあ俺は着替え用意してるね。濡れるの面倒だろうから、この場でズボン脱いじゃおう」
さすがにこのあとの処理をすべて一人でやらせるのは可哀想だが、変に手を出してプライドを傷つけることにならないように少しだけ手伝うことにしよう。
着替えは、荷物を漁るのは気が引けるが、昔サイズを間違えて買ったスウェットがあるからそれでいいだろう。ついでにプレゼントすればいいし。
「着替え用意してるね。風呂場にあるタオルとかは好きに使って。濡れたのは洗面台に置いといて」
「……ほんとに、わるいな。着替えは適当に持ってきてほしい……下着は、触るの嫌だったらいらない」
「了解。何度も謝らなくていいよ。怒ってないし。じゃあ、探してくるね」
タオルを渡して玲都の部屋に入る。そして、衣類と書かれたダンボールを開ける。
荷物を漁る許可が出たのでサイズ違いのスウェットは違うときに渡そう。
ササッと下着と衣類を取り出す。風呂場に行って着替えを置くと、シャワーの音に紛れて小さな嗚咽が聞こえる。一人になったことで耐えられなくなったようだ。
ふと洗面台を見ると、指示した通りに濡れたものが置かれていた。すでに風呂で泣いているのに、これを見せるのは可哀想だ。もともとそのつもりだったが今のうちに軽く洗っておこう。
洗面台の水を出して、軽く水で揉み洗いする。そして絞って洗濯機に入れた。
キッチンでお茶をいれてミニテーブルに置く。
一人で少し飲んで待っていると、玲都が戻ってきた。目元は赤くなっている。
「さっきは、ほんとにすまなかった。汚いものを見せたし、服も、洗わせて……」
「謝らなくていいってば」
明らかに泣いたあとなのに、普段通り振舞おうとしているのが痛々しい。
「……な、なぁ、しののめ……」
「うん。どうした?真桜でいいよ」
意を決したように話しかけてくる玲都。相変わらず俺を東雲と呼ぶが、この際に訂正してしまう。
「……俺と一緒に暮らすの、嫌になったか……?真桜、が言うなら、俺は出ていくから……」
「え、いや、別にこれ程度で嫌わないけど?」
玲都のおかげで素晴らしい趣味に目覚めそうなのに。いや、目覚めたのに。
それなのに追い出すなんてありえない。
「俺、この体質だから、中学の修学旅行でやらかして……それからちょっと、嫌がらせとか……だから、まお、も、嫌だろ……っ」
「そうだったんだ。俺は嫌じゃないよ。むしろ、普段しっかりしてると思ってたからそういうところがあるんだって知れて安心したかも」
「あんしん……?」
「そう。玲都も人間なんだなって。極端な話だけど、親近感が湧いた。俺はそういう失敗はしないけど、忘れ物とか、ちょっとしたミスが多いからさ」
以前までは距離を取ってしまったが、意外にも可愛い玲都を気に入ってしまった。「嫌がらせ」と、興味深い言葉が聞こえてきたが踏み込むのはもっと仲良くなってからにしよう。
「気にしなくていいんだよ。ほら、お茶飲みな。なくなった分の水分補給ね」
「ぅ……ありがと……」
また、泣きそうになりながらも玲都はお茶に口をつけた。
その顔は耳まで真っ赤になっている。意地悪しすぎただろうか。
3
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
待てって言われたから…
ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
風邪ひいた社会人がおねしょする話
こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。
一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる