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199、パトリシアからの相談
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「ほんとですわね。勇者様、覚悟してください。今日は勇者様にも色々お仕事をして頂きますわよ、都の監視でかなり軍の配置と編成も変更しましたから」
「ああ、お手柔らかにたのむぜ。補佐官殿!」
そんな事情で、その日俺はみっちりとクリスティーナに連合軍の配置変更のレクチャーを受けた。
補佐官の制服を着たクリスティーナ。
タブレットの付属のアプリで、軍の配置の図や兵力の配分表を作って入れておいてくれたので把握しやすい。
ナビ子が俺に言う。
「クリスティーナさんなら、日本に行ってもキャリアウーマンとしてバリバリやっていけそうですね」
「バリバリってお前な」
まあ確かに、クリスティーナならそうだろう。
社長秘書とか似合いそうだな。
ここまでの美人が秘書だったら、周りが見惚れて仕事にならないかもしれないが。
思わずタイトスカートで、オフィスを歩くクリスティーナを想像してしまった。
「何にやけてるんですかカズヤさん、いやらしい」
「失礼な、やらしいことなんて想像してないぞ」
俺はクリスティーナに礼を言う。
「それにしても、よく短期間にこんなに分かりやすくまとめてくれたな」
「ええ、リンダさんが手伝ってくれましたから。アルーティア側の資料は、いつもリンダさんがまとめてくれるんですよ」
「へえ、猫耳娘もやるもんだな」
会議にはリンダも参加している。
パトリシアの秘書兼参謀補佐といったところだ。
リンダは胸を張る。
「まかせてや! アプリの種類や使い方ならうちが一番詳しいもん」
「ふふ、そうですわね。この配置図もリンダさんが作ってくれたんですよ」
「へえ! やるもんだな」
リンダは右手にタブレット用のペンを持っている。
イヤホンと同じく、端末の付属アイテムの一つだ。
リンダがアプリの使い方ガイドを眺めている時に気が付いて、俺にせがんでクリエイトさせたんだよな。
今では兵士たちも大抵持っている。
哨戒活動中の竜騎士部隊から写真が送られてくる時にも、時々メモ書きが記されているのを散見するぐらいだ。
シルヴィアが俺に言う。
「アルーティア軍がいてくれて助かってるわ。うちの天馬部隊だけだと防衛や近隣の監視はできても、遠方への哨戒にには手が足りないもの」
ロファーシルも頷く。
「遠距離の移動は竜騎士にはかなわぬからな。アルーティア軍のお蔭で都を監視する部隊への補給も楽だ。パトリシア殿下とリンダ殿には改めて礼を言わねばなるまいな」
「気にすることはない、お互い様だ剣聖殿」
「せや、うちらもエルフのみんなに世話になっとるもんな。それに、剣聖さんにそう言われると照れるわ」
リンダはそう言って少し悪戯っぽい眼差しになると言う。
「最初はキザで、なんちゅう嫌味な男や思うたんやけどな。うちの姫様と戦った時なんて、底意地悪く見えたで」
「はは、すまんな。あの時は勇者殿やパトリシア殿下の力を知りたかった。ならば、怒らせた方が都合が良いと思ってな」
談笑するエルフと獣人たち。
俺はそれを眺めながら思わず笑みがこぼれる。
「まあ、なんていうか最初とは思惑が違ったが、エルフとの同盟は上手くいったよな」
「ですね、カズヤさん。アンジェリカさんと初めて会った時は、下手したらエルフとも戦う羽目になると思いましたからね」
「だな……それに、さっきも殺されかけたしな」
俺の横にちゃっかり座っているアンジェリカが俺を睨む。
「何よ? 悪いのはこそこそしてたカズヤでしょ?」
そう言ってツンとソッポを向く。
そんな中クリスティーナは説明を続けた。
「王都を監視するシュレンの斥候部隊からの連絡は、専門の分析官が24時間見守っています。例え勇者様が眠っていても、彼らが送られてきた画像や動画を分析して、少しでも気になることがあれば勇者様にお知らせすることになっています」
そう言った後、クリスティーナは俺に歩み寄って耳元で囁いた。
「だらしなく、酔っぱらっておいでにならなければですけれど」
「おい、トゲがあるぞクリスティーナ」
「だって、エイリスさんと一緒に夜を明かしたのは事実じゃないですか?」
どうやら、まだ少しご機嫌斜めのようだ。
シルヴィアが端末を眺めながら言った。
「ねえ、どうするのカズヤ。場合によっては、こちらから攻め込むのもいいんじゃないかしら?」
それを聞いてアンジェリカが頷いた。
「そうよ! 帝国の連中をやっつけて都を取り戻すなら今だわ!」
確かにな。
連合軍側の準備も相当整ってきている。
こちらから撃って出る選択肢も考える時ではあるだろう。
クリスティーナも頷いた。
「もちろん、その選択肢も今考えているわ。その為のシュレンの斥候部隊よ、彼らがどれぐらい正確な情報を集めてくれるかが勝負を決めるかもしれないもの」
俺はクリスティーナの言葉に頷いた。
「そうだな、クリスティーナ。集められる情報が出揃い次第、結論を出そう」
「はい、総司令!」
久々に俺が会議に参加したのが嬉しいのか、クリスティーナは力強くそう言った。
会議が終わり、部屋を出ようとするとパトシリアが俺に耳打ちした。
「勇者殿、実は一つ相談したいことがあるのだ。聞いて貰えないだろうか?」
「ああ、お手柔らかにたのむぜ。補佐官殿!」
そんな事情で、その日俺はみっちりとクリスティーナに連合軍の配置変更のレクチャーを受けた。
補佐官の制服を着たクリスティーナ。
タブレットの付属のアプリで、軍の配置の図や兵力の配分表を作って入れておいてくれたので把握しやすい。
ナビ子が俺に言う。
「クリスティーナさんなら、日本に行ってもキャリアウーマンとしてバリバリやっていけそうですね」
「バリバリってお前な」
まあ確かに、クリスティーナならそうだろう。
社長秘書とか似合いそうだな。
ここまでの美人が秘書だったら、周りが見惚れて仕事にならないかもしれないが。
思わずタイトスカートで、オフィスを歩くクリスティーナを想像してしまった。
「何にやけてるんですかカズヤさん、いやらしい」
「失礼な、やらしいことなんて想像してないぞ」
俺はクリスティーナに礼を言う。
「それにしても、よく短期間にこんなに分かりやすくまとめてくれたな」
「ええ、リンダさんが手伝ってくれましたから。アルーティア側の資料は、いつもリンダさんがまとめてくれるんですよ」
「へえ、猫耳娘もやるもんだな」
会議にはリンダも参加している。
パトリシアの秘書兼参謀補佐といったところだ。
リンダは胸を張る。
「まかせてや! アプリの種類や使い方ならうちが一番詳しいもん」
「ふふ、そうですわね。この配置図もリンダさんが作ってくれたんですよ」
「へえ! やるもんだな」
リンダは右手にタブレット用のペンを持っている。
イヤホンと同じく、端末の付属アイテムの一つだ。
リンダがアプリの使い方ガイドを眺めている時に気が付いて、俺にせがんでクリエイトさせたんだよな。
今では兵士たちも大抵持っている。
哨戒活動中の竜騎士部隊から写真が送られてくる時にも、時々メモ書きが記されているのを散見するぐらいだ。
シルヴィアが俺に言う。
「アルーティア軍がいてくれて助かってるわ。うちの天馬部隊だけだと防衛や近隣の監視はできても、遠方への哨戒にには手が足りないもの」
ロファーシルも頷く。
「遠距離の移動は竜騎士にはかなわぬからな。アルーティア軍のお蔭で都を監視する部隊への補給も楽だ。パトリシア殿下とリンダ殿には改めて礼を言わねばなるまいな」
「気にすることはない、お互い様だ剣聖殿」
「せや、うちらもエルフのみんなに世話になっとるもんな。それに、剣聖さんにそう言われると照れるわ」
リンダはそう言って少し悪戯っぽい眼差しになると言う。
「最初はキザで、なんちゅう嫌味な男や思うたんやけどな。うちの姫様と戦った時なんて、底意地悪く見えたで」
「はは、すまんな。あの時は勇者殿やパトリシア殿下の力を知りたかった。ならば、怒らせた方が都合が良いと思ってな」
談笑するエルフと獣人たち。
俺はそれを眺めながら思わず笑みがこぼれる。
「まあ、なんていうか最初とは思惑が違ったが、エルフとの同盟は上手くいったよな」
「ですね、カズヤさん。アンジェリカさんと初めて会った時は、下手したらエルフとも戦う羽目になると思いましたからね」
「だな……それに、さっきも殺されかけたしな」
俺の横にちゃっかり座っているアンジェリカが俺を睨む。
「何よ? 悪いのはこそこそしてたカズヤでしょ?」
そう言ってツンとソッポを向く。
そんな中クリスティーナは説明を続けた。
「王都を監視するシュレンの斥候部隊からの連絡は、専門の分析官が24時間見守っています。例え勇者様が眠っていても、彼らが送られてきた画像や動画を分析して、少しでも気になることがあれば勇者様にお知らせすることになっています」
そう言った後、クリスティーナは俺に歩み寄って耳元で囁いた。
「だらしなく、酔っぱらっておいでにならなければですけれど」
「おい、トゲがあるぞクリスティーナ」
「だって、エイリスさんと一緒に夜を明かしたのは事実じゃないですか?」
どうやら、まだ少しご機嫌斜めのようだ。
シルヴィアが端末を眺めながら言った。
「ねえ、どうするのカズヤ。場合によっては、こちらから攻め込むのもいいんじゃないかしら?」
それを聞いてアンジェリカが頷いた。
「そうよ! 帝国の連中をやっつけて都を取り戻すなら今だわ!」
確かにな。
連合軍側の準備も相当整ってきている。
こちらから撃って出る選択肢も考える時ではあるだろう。
クリスティーナも頷いた。
「もちろん、その選択肢も今考えているわ。その為のシュレンの斥候部隊よ、彼らがどれぐらい正確な情報を集めてくれるかが勝負を決めるかもしれないもの」
俺はクリスティーナの言葉に頷いた。
「そうだな、クリスティーナ。集められる情報が出揃い次第、結論を出そう」
「はい、総司令!」
久々に俺が会議に参加したのが嬉しいのか、クリスティーナは力強くそう言った。
会議が終わり、部屋を出ようとするとパトシリアが俺に耳打ちした。
「勇者殿、実は一つ相談したいことがあるのだ。聞いて貰えないだろうか?」
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