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79、大空へ
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ジュリアは暫く俺の剣を眺めると、笑みを浮かべて鍛冶工房の出口に向かう。
レイラがそんな彼女に声をかけた。
「ちょっと、どこ行くのよ! まだ、決着がついてないじゃない」
それを聞いてジュリアは肩をすくめた。
「少し外の空気が吸いたくなってね。剣なら外でも見られるさ」
そのまま工房を出て行くジュリアを見てレイラは不満気に言う。
「なによ、あの女、もったいぶっちゃって。きっとユウキが作った剣に自分の剣が敵わないのを認めたくないのよ」
「はは、そりゃないさ、レイラ。ジュリアが作った剣は素晴らしかった。同じ鍛冶職人として、嫉妬するぐらいにさ」
実際、カレンさんが俺に手を貸してくれなかったらジュリアと競う程の剣を作り上げるのは難しかっただろう。
それほど、彼女の炎舞の鍛冶は凄かった。
「流石、白狼丸を作った人だけはあるよ。俺じゃまだ敵わないな。でも、それだけ学ぶことがあるってことだ。これからが楽しみになったよ」
俺のその言葉にナナが首を傾げる。
「だったらどうして? 自分が勝ったって言えばいいじゃない」
「さあ、どうしてかな?」
俺は肩をすくめる。
カレンさんのお蔭で、ジュリアの剣に迫るほどのものが出来たけど自分の方が優れた剣を作ったと言えば文句を言う者はいないだろう。
彼女が作った剣は、それだけ素晴らしいものなんだから。
カレンさんは、俺の傍に歩いてくると手を握る。
「ユウキ、ほんに感謝するぞえ。あのジュリアが以前のように生き生きと……それがほんに嬉しくての」
「そんな! 俺の方こそ楽しかったです! こんな鍛冶仕事ここじゃないと出来ないから。ククルも、ありがとな!」
俺の為に一生懸命舞を踊ってくれたククルの頭を撫でる。
ククルは嬉しそうに俺を見上げて、尻尾を誇らしげにぴんと立てる。
「ククルも役に立ったですか!?」
「ああ! しっかりとな!!」
「えへへ、嬉しいのです!」
俺は大きく背を伸ばした。
「さてと、俺もちょっと外の空気を吸ってくるか」
ナナとレイラもその言葉に頷いた。
「そうね!」
「ええ、ユウキの剣をあの女から取り返さないと!」
「はは……レイラ、お手柔らかに頼むよ」
まあ、確かにまだ研ぎや柄を作る作業が残ってるからな。
そう思いながら俺たちが工房の外に出ると、ジュリアが木で出来たベンチの上に剣を置いて大きく背を伸ばしているのが見える。
レイラがそれを見て呆れたように言った。
「ちょっと! 剣を見比べてるんじゃないの? まったく」
そう言って、ベンチに置かれた俺の剣を取りに行くレイラ。
そんな中、ジュリアが俺の傍にやって来ると俺の体を抱き上げてひょいと肩の上に乗せる。
「ちょ! ジュリア!!?」
思わず俺は声を上げた。
まるで子供のように肩車をされたからだ。
まあジュリアは身長も2m近いし、あの怪力だ。
軽々と肩車をしているのだが、突然こんなことされれば驚くからな。
ナナとレイラがジュリアに抗議する。
「な、何するのよ! 裕樹を放して!」
「そ、そうよ! またユウキに何かしようっていうの? 許さないんだから!」
ジュリアは肩をすくめると皆に言う。
「うるさいね。少し離れてな、巻き込まれるよ!」
そう言って、彼女は悪戯っぽく笑う。
そしてジュリアは俺を乗せたまま大きく空へとジャンプする。
「へ!!!?」
俺は思わず声を上げた。
今俺が乗っているのは、ジュリアの肩の上のはずだ。
でも、俺が今いるのはジュリアの背中じゃない。
ナナたちが遥か下の方に見える。
そして、こちらを見て何かを叫んでいた。
ジュリアは振り返ると俺に言う。
「あんたの剣を見ていたら、200年ぶりに大空で風を感じたくなってね! あんたなら心配ないと思うけど、振り落とされないように気をつけな、ユウキ!」
そう口にしたジュリアの顔は竜人族のそれではない、美しい大きな真紅の竜のものだ。
そう言えば、ジュリアのユニークスキルに竜化というスキルがあった、これはその力だろう。
「凄い……こんな光景始めてだ!」
眼下にはとても美しい光景が広がっている。
自分でも信じられない。
今、俺はドラゴンの背中に乗って空高く飛んでいるんだってことを。
元の世界では決して味わうことが出来ない体験だろう。
ゲームの中で飛竜の背中に乗って旅をしたことがあるけど、まさか自分が本当にそんな体験が出来るとは思ってもみなかった。
ジュリアは大きく翼を羽ばたかせると、俺に言う。
「これはお礼だよ、ユウキ。あんたがあたしに昔を思い出させてくれた、その感謝の気持さ。そして、あの勝負の答えだよ。勝ち負けなんて馬鹿らしい、あんたはあたしがまた空を飛びたくなるほど素晴らしい剣を作った。それで十分だろ?」
「ああ、ジュリア!」
「ふふ、ユウキ。あんたは可愛くていい男だ、カレンが気に入るのもよく分かる。あたしもあんたが気に入ったよ!」
そう言った後、ジュリアは大きく大空を旋回すると風に乗る。
「うわぁ! 凄いや」
まるで風になったような気分だ。
そして、少しの間、俺たちは一緒に天空の旅を大いに楽しんだ。
レイラがそんな彼女に声をかけた。
「ちょっと、どこ行くのよ! まだ、決着がついてないじゃない」
それを聞いてジュリアは肩をすくめた。
「少し外の空気が吸いたくなってね。剣なら外でも見られるさ」
そのまま工房を出て行くジュリアを見てレイラは不満気に言う。
「なによ、あの女、もったいぶっちゃって。きっとユウキが作った剣に自分の剣が敵わないのを認めたくないのよ」
「はは、そりゃないさ、レイラ。ジュリアが作った剣は素晴らしかった。同じ鍛冶職人として、嫉妬するぐらいにさ」
実際、カレンさんが俺に手を貸してくれなかったらジュリアと競う程の剣を作り上げるのは難しかっただろう。
それほど、彼女の炎舞の鍛冶は凄かった。
「流石、白狼丸を作った人だけはあるよ。俺じゃまだ敵わないな。でも、それだけ学ぶことがあるってことだ。これからが楽しみになったよ」
俺のその言葉にナナが首を傾げる。
「だったらどうして? 自分が勝ったって言えばいいじゃない」
「さあ、どうしてかな?」
俺は肩をすくめる。
カレンさんのお蔭で、ジュリアの剣に迫るほどのものが出来たけど自分の方が優れた剣を作ったと言えば文句を言う者はいないだろう。
彼女が作った剣は、それだけ素晴らしいものなんだから。
カレンさんは、俺の傍に歩いてくると手を握る。
「ユウキ、ほんに感謝するぞえ。あのジュリアが以前のように生き生きと……それがほんに嬉しくての」
「そんな! 俺の方こそ楽しかったです! こんな鍛冶仕事ここじゃないと出来ないから。ククルも、ありがとな!」
俺の為に一生懸命舞を踊ってくれたククルの頭を撫でる。
ククルは嬉しそうに俺を見上げて、尻尾を誇らしげにぴんと立てる。
「ククルも役に立ったですか!?」
「ああ! しっかりとな!!」
「えへへ、嬉しいのです!」
俺は大きく背を伸ばした。
「さてと、俺もちょっと外の空気を吸ってくるか」
ナナとレイラもその言葉に頷いた。
「そうね!」
「ええ、ユウキの剣をあの女から取り返さないと!」
「はは……レイラ、お手柔らかに頼むよ」
まあ、確かにまだ研ぎや柄を作る作業が残ってるからな。
そう思いながら俺たちが工房の外に出ると、ジュリアが木で出来たベンチの上に剣を置いて大きく背を伸ばしているのが見える。
レイラがそれを見て呆れたように言った。
「ちょっと! 剣を見比べてるんじゃないの? まったく」
そう言って、ベンチに置かれた俺の剣を取りに行くレイラ。
そんな中、ジュリアが俺の傍にやって来ると俺の体を抱き上げてひょいと肩の上に乗せる。
「ちょ! ジュリア!!?」
思わず俺は声を上げた。
まるで子供のように肩車をされたからだ。
まあジュリアは身長も2m近いし、あの怪力だ。
軽々と肩車をしているのだが、突然こんなことされれば驚くからな。
ナナとレイラがジュリアに抗議する。
「な、何するのよ! 裕樹を放して!」
「そ、そうよ! またユウキに何かしようっていうの? 許さないんだから!」
ジュリアは肩をすくめると皆に言う。
「うるさいね。少し離れてな、巻き込まれるよ!」
そう言って、彼女は悪戯っぽく笑う。
そしてジュリアは俺を乗せたまま大きく空へとジャンプする。
「へ!!!?」
俺は思わず声を上げた。
今俺が乗っているのは、ジュリアの肩の上のはずだ。
でも、俺が今いるのはジュリアの背中じゃない。
ナナたちが遥か下の方に見える。
そして、こちらを見て何かを叫んでいた。
ジュリアは振り返ると俺に言う。
「あんたの剣を見ていたら、200年ぶりに大空で風を感じたくなってね! あんたなら心配ないと思うけど、振り落とされないように気をつけな、ユウキ!」
そう口にしたジュリアの顔は竜人族のそれではない、美しい大きな真紅の竜のものだ。
そう言えば、ジュリアのユニークスキルに竜化というスキルがあった、これはその力だろう。
「凄い……こんな光景始めてだ!」
眼下にはとても美しい光景が広がっている。
自分でも信じられない。
今、俺はドラゴンの背中に乗って空高く飛んでいるんだってことを。
元の世界では決して味わうことが出来ない体験だろう。
ゲームの中で飛竜の背中に乗って旅をしたことがあるけど、まさか自分が本当にそんな体験が出来るとは思ってもみなかった。
ジュリアは大きく翼を羽ばたかせると、俺に言う。
「これはお礼だよ、ユウキ。あんたがあたしに昔を思い出させてくれた、その感謝の気持さ。そして、あの勝負の答えだよ。勝ち負けなんて馬鹿らしい、あんたはあたしがまた空を飛びたくなるほど素晴らしい剣を作った。それで十分だろ?」
「ああ、ジュリア!」
「ふふ、ユウキ。あんたは可愛くていい男だ、カレンが気に入るのもよく分かる。あたしもあんたが気に入ったよ!」
そう言った後、ジュリアは大きく大空を旋回すると風に乗る。
「うわぁ! 凄いや」
まるで風になったような気分だ。
そして、少しの間、俺たちは一緒に天空の旅を大いに楽しんだ。
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