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78、炎と風
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「見て、ナナ!! ユウキの右手が!」
「ええ、何なのこの光は……」
俺の胸に灯った炎のような闘気が、強く燃え上がっていく。
そして、それが槌を持つ右手に強烈な力を与えて輝かせると、まるでそれに呼応するかのように炉の中の炎が激しく燃え上がった。
鍛冶職人たちがこちらを見て声を上げる。
「こ、これは!!」
「ユウキ殿の槌を見ろ!!」
ジュリアの大槌が火炎のような闘気を纏って美しく輝いているのと同じように、俺が手にする槌にも強烈な力が宿っている。
それはカレンさんたちの霊気と一体になって、まるで風のように周囲を渦巻いていた。
カレンさんが舞を踊りながら、目を見開くと言った。
「これは……わらわたちの霊気が、ユウキの槌に宿っていく。しかもこれほどまでに強くはっきりと! このようなことが出来るのはジュリアだけじゃと思うておったが」
ジュリアが大槌を手に俺を眺めている。
「ふふ、面白いじゃないか! まさか、これほどとはね。あたし以外にこんな真似が出来る鍛冶師がいるなんて信じられないよ。いいさ、決着をつけようじゃないか、ユウキ!!」
「ああ、ジュリア!!」
まるでその言葉を合図にしたように、ジュリアの大槌がさらに激しく剣に打ちつけられる。
竜人族ならではの豪快な鍛冶だ。
だが、その動きには一切の無駄がなく美しい。
鍛冶の求道者である俺でさえ思わず見とれてしまう。
こんな凄い鍛冶職人と腕比べ出来るなんて、きっとここでなければ出来ないことだろう。
俺はそう思うと、ジュリアに負けないように槌を振り下ろした。
ブレイブハートと鋼の心。
二つの力が俺の鍛冶に磨きをかけてくれる。
霊気が剣に刃文を刻んでいくのを見て、ククルが声を上げる。
「おばば様! ククルもお兄ちゃんの役に立ってるのです!!」
「うむ! よかったのう。ククルはユウキが大好きじゃからの」
「はいなのです! お兄ちゃんたちと冒険して、いっぱいいっぱい楽しかったのです!」
ククルはそう言って楽しそうに舞を踊っている。
本当に楽しかったな、みんなとの冒険の旅。
まだ、ほんの僅かな時だけど、俺にとってはとても楽しい思い出だ。
もちろん、この里に来てから過ごした時間も。
これからも、もっと仲間たちと冒険がしたい。
そんな思いを、剣に込めていく。
刻まれていく刃文を見てナナとレイラが声を上げる。
「見て、レイラ!」
「ええ、ナナ。ジュリアが刻む刃文が炎ならユウキのはまるで風だわ」
炎と風。
それぞれの属性を強く秘めた刃文が、俺たちの剣に刻まれていく。
俺は一際大きく槌を振り上げると、強い思いを込めて金床の上の剣に振り下ろし鍛え上げた。
その瞬間──
槌に宿っていた霊気と俺の闘気が全て剣の中に凝縮されると、強烈な輝きを見せる。
鋼の心が、俺に最高のタイミングを知らせてくれる。
「今だ!!」
俺は、鍛え上げた剣を、白狼の滝の水が入った容器に一気に浸す。
ジュウと音がして、鍛え上げられた剣が冷やされていく。
焼き入れという重要な鍛冶の作業の一つだ。
同時に、ジュリアが大槌で剣を鍛える音も消えていた。
彼女の剣も、焼き入れをされ冷やされた後、再び取り出されていた。
彼女は俺に言う。
「どうやら、そっちも出来たようだね」
「ああ」
炎の力を宿す美しい刃文をもつ剣がそこにある。そして、俺の傍には風の力を宿した剣があった。
ジュリアは二本の剣を眺めながら言う。
「さあ、勝負といこうか。一体どちらが勝ったのか、あたしの目は誤魔化すことが出来ないよ、ユウキ。あんたが作ったその剣を、じっくりと見極めさせてもらおうじゃないか」
「ええ、何なのこの光は……」
俺の胸に灯った炎のような闘気が、強く燃え上がっていく。
そして、それが槌を持つ右手に強烈な力を与えて輝かせると、まるでそれに呼応するかのように炉の中の炎が激しく燃え上がった。
鍛冶職人たちがこちらを見て声を上げる。
「こ、これは!!」
「ユウキ殿の槌を見ろ!!」
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それはカレンさんたちの霊気と一体になって、まるで風のように周囲を渦巻いていた。
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「これは……わらわたちの霊気が、ユウキの槌に宿っていく。しかもこれほどまでに強くはっきりと! このようなことが出来るのはジュリアだけじゃと思うておったが」
ジュリアが大槌を手に俺を眺めている。
「ふふ、面白いじゃないか! まさか、これほどとはね。あたし以外にこんな真似が出来る鍛冶師がいるなんて信じられないよ。いいさ、決着をつけようじゃないか、ユウキ!!」
「ああ、ジュリア!!」
まるでその言葉を合図にしたように、ジュリアの大槌がさらに激しく剣に打ちつけられる。
竜人族ならではの豪快な鍛冶だ。
だが、その動きには一切の無駄がなく美しい。
鍛冶の求道者である俺でさえ思わず見とれてしまう。
こんな凄い鍛冶職人と腕比べ出来るなんて、きっとここでなければ出来ないことだろう。
俺はそう思うと、ジュリアに負けないように槌を振り下ろした。
ブレイブハートと鋼の心。
二つの力が俺の鍛冶に磨きをかけてくれる。
霊気が剣に刃文を刻んでいくのを見て、ククルが声を上げる。
「おばば様! ククルもお兄ちゃんの役に立ってるのです!!」
「うむ! よかったのう。ククルはユウキが大好きじゃからの」
「はいなのです! お兄ちゃんたちと冒険して、いっぱいいっぱい楽しかったのです!」
ククルはそう言って楽しそうに舞を踊っている。
本当に楽しかったな、みんなとの冒険の旅。
まだ、ほんの僅かな時だけど、俺にとってはとても楽しい思い出だ。
もちろん、この里に来てから過ごした時間も。
これからも、もっと仲間たちと冒険がしたい。
そんな思いを、剣に込めていく。
刻まれていく刃文を見てナナとレイラが声を上げる。
「見て、レイラ!」
「ええ、ナナ。ジュリアが刻む刃文が炎ならユウキのはまるで風だわ」
炎と風。
それぞれの属性を強く秘めた刃文が、俺たちの剣に刻まれていく。
俺は一際大きく槌を振り上げると、強い思いを込めて金床の上の剣に振り下ろし鍛え上げた。
その瞬間──
槌に宿っていた霊気と俺の闘気が全て剣の中に凝縮されると、強烈な輝きを見せる。
鋼の心が、俺に最高のタイミングを知らせてくれる。
「今だ!!」
俺は、鍛え上げた剣を、白狼の滝の水が入った容器に一気に浸す。
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同時に、ジュリアが大槌で剣を鍛える音も消えていた。
彼女の剣も、焼き入れをされ冷やされた後、再び取り出されていた。
彼女は俺に言う。
「どうやら、そっちも出来たようだね」
「ああ」
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「さあ、勝負といこうか。一体どちらが勝ったのか、あたしの目は誤魔化すことが出来ないよ、ユウキ。あんたが作ったその剣を、じっくりと見極めさせてもらおうじゃないか」
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