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394、ソードマスター

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「見て、二人とも動くわよ!」

 そうオリビアが言った瞬間──
 バトルフィールドの中では、二人の剣士が凄まじい速さで剣を交えていた。

 エイジの大剣がジーナの魔法剣を受け止める。
 そして、鮮やかに横に流した。
 だが──

(くっ! これは)

 エイジは違和感を感じる。
 まるで、エイジがそう反応すると予想していたかのようなジーナの動き。
 ジーナは、エイジの大剣から受けた反動を利用してコマのように回転していた。
 受け流したはずの剣、それが逆方向からエイジを襲う。
 正統派でありつつ変幻自在、それがジーナの剣だ。

 ギィイイイイイン!

 今度は強烈な金属音が鳴り響き、互いにぶつかり合う剣と剣。
 だが、エイジの初撃の勢いさえも遠心力として自らのものとしたジーナの一撃が、エイジの大剣を弾き返した。
 オリビアはそれを見て思う。

(凄い……二人とも何てスピードなの。でも、やっぱりジーナ隊長が一枚上手だわ!)

 エイジの体勢を大きく崩させ、いきなり勝負が決したかと思われたその時──
 ジーナの瞳が突然鋭くなる。
 大剣が帯びる青い光とは別の輝きを、その瞳がとらえていたからだ。

 ミイムの力が宿る精霊剣。

 いつ抜いたのか、見事な抜刀術である。
 青と赤の光を宿す二本の精霊剣を構えるエイジの姿。

 だがしかし、その軌道をジーナは読み切り寸前のところでかわした。

「へえ、やるじゃないか、エイジ。二刀流にもなれたようだね」

「ええ」

 エイジは、ジーナの反撃を避けるように一度距離を取った。
 二刀を構えるエイジの背中に冷たい汗が流れる。
 一見互角の勝負にも見えるこの戦い。
 だが、エイジには相手がまだ小手試しをしているに過ぎないと気が付いていた。
 エイジの力を試しているのだろう。

(ジーナさんはまだ本気じゃない。どうする? 普通に戦ってもこちらが追い込まれるだけだ)

 エイジの今のステータスはこうだ。

 名前:エイジ
 種族:人間
 職業:上級剣士LV65
 セカンドジョブ:鍛冶職人LV41
 転職可能な職業:上級剣士LV65、初級盾使いLV18、木こりLV3、木工職人LV1、鍛冶職人LV41
 HP:1860
 MP:380
 力:786
 体力:720
 知恵:652
 魔力:282
 器用さ:650
 素早さ:876
 幸運:175
 スキル:【剣装備】【踏み込み】【袈裟斬り】【サイドステップ】【二段斬り】【デュアルエッジ】【闘気纏刃】【武器作成】【武器の知識】【鍛造技術向上】【防具作成】【防具の知識】【装備補修】【装魂錬気】
 ユニークスキル:【武器覚醒】【防具覚醒】
 魔法:無し
 特殊魔法:時魔術:【時の瞳】【加速】
 加護:時の女神メルティ加護:【習得速度アップLV15】【言語理解】【鑑定眼】【職業設定】【潜在能力開花】
 称号:【名匠の魂を継ぐ者】

 上級剣士としてのレベルも60を超え、加速度的にステータスも上がってきてはいる。
 二刀流で強敵と戦い続けてきたからだろう。
 二刀での技量を向上させる【デュアルエッジ】も新たに身につけていた。
 しかし……
 戦いの前に確認したジーナのステータスをエイジは思い出す。

 名前:ジーナ
 種族:人間
 職業:上級剣士LV94
 HP:2450
 MP:2550
 力:1050
 体力:920
 知恵:850
 魔力:1170
 器用さ:875
 素早さ:1130
 幸運:214
 スキル:【剣装備】【踏み込み】【袈裟斬り】【サイドステップ】【二段斬り】【闘気纏刃】【心眼】【デュアルエッジ】
 ユニークスキル:【疾風の剣】
 魔法:無し
 特殊魔法:【ライトニングステップ】
 加護:無し
 称号:【ソードマスター】

 そのステータスは、エイジのものよりも上回っていた。
 精霊の力もそうだがエイジが鍛冶職人のスキルで大幅に剣技を向上していなければ、到底太刀打ちが出来なかったに違いない。

 その力は、ラエサルと拮抗しているといってもいいだろう。

 元々は『風神』と『紅』の二刀流だったことを示す【デュアルエッジ】と軽やかなステップを生み出す【ライトニングステップ】
 称号である【ソードマスター】は全ての剣技を向上させその速度を上げている。
 そしてユニークスキルの【疾風の剣】
 それは周囲の風を操る力。
 エイジは目の前に立つ美しい女性を見つめた。

(それに、ジーナさんはまだユニークスキルを使っていない。本当の勝負はこれからだ)
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