43 / 73
43、氷と炎
しおりを挟む
「今度は俺の番だと? ふざけやがって! この俺が、負けるはずがねえ! 喰らいやがれ!!」
アンドニウスが手にする魔氷剣レオベウスの紋章がさらに輝きを増すと、氷剣封殺陣で作り出された魔法陣がそれに呼応するかのように、より強い魔力を宿していく。
その瞬間──
先ほどは校庭に向かって放たれた無数の氷の剣が今度は天空に舞う俺に向かって放たれた。
それを見ていた観客たちは悲鳴のような声を上げる。
「おい! さっきの剣よりもどれも馬鹿でかいぞ!!」
「終わりだ!」
「いくらなんでも、こいつは! お、おい! 早く生徒会に知らせろ!!」
「あの新入生消し飛ぶぞ!!」
そう叫んで空を見上げた見物人たちは、天空に強烈に輝く紅の魔法陣の群れを見ただろう。
氷剣封殺陣か、いかにも中二病な名前だ。
だが、中二病なら俺も負けてはいない。
アンドニウス、お前はたかが十年だ。
だが、俺は三十になるまで中二病をこじらせていたんだ。
いや、今でもな。
極限まで高めた集中力とそれが生み出すイマジネーション。
膨大に膨れ上がった俺の魔力が、それを具現化する。
白いフェレットが俺の肩の上で再び立ち上がると叫んだ。
「やっちまいな! ロイ!!」
「ええ、先生!!」
俺は頷く。そして左手を天空に掲げると叫んだ。
「必殺! 炎槍殲滅陣!!」
その瞬間──
俺の背後の魔法陣から現れる紅蓮に輝く無数の炎の槍。
それはまるで生きているかのように、美しく燃え上がっている。
作り出した槍の細部までのこだわりを反映するかのように。
凄まじいスピードで放たれた無数の紅蓮の槍は、こちらに向かってくる巨大な氷の剣をぶつかり合い強烈な衝撃音を辺りに響かせる。
氷の剣と炎の槍は全てぶつかり合い、蒸発するとともに水蒸気が辺りに立ち込めそれが校庭に刺さっている氷の剣で冷やされ霧と化した。
視界を奪われ、見学人たちは声を上げる。
「お、おい……一体どうなったんだ!」
「分かるわけないだろ! 見ただろあの炎の槍の群れを」
「氷帝の息子だけじゃねえ! あの新入生も化け物だぜ!!」
霧の中でアンドニウスが叫ぶ。
「ロイ! てめえ、どこに行きやがった!!」
その声がした瞬間──
霧の中を突き抜けるように俺は天空から奴の方へと向かう。
ビビの作り出す風の力が俺の推進力になり、霧を突き抜けるように一直線に突き進んだ。
「なに!?」
天空から凄まじい速さで向かってくる俺に気が付いて、思わず身構えるアンドニウス。
だが、虚をつかれて体勢が崩れている。
「これでチェックメイトだ! アンドニウス!!」
その時には俺はもう剣を構えていた。
アーシェの前で朝練をしていた時の技の応用、それも最大の魔力を込めて全身を強化して。
十字に放たれる俺の剣技が、唸りを上げて風を巻き起こしそれが周囲の霧を吹き飛ばした。
アンドニウスが手にする魔氷剣レオベウスの紋章がさらに輝きを増すと、氷剣封殺陣で作り出された魔法陣がそれに呼応するかのように、より強い魔力を宿していく。
その瞬間──
先ほどは校庭に向かって放たれた無数の氷の剣が今度は天空に舞う俺に向かって放たれた。
それを見ていた観客たちは悲鳴のような声を上げる。
「おい! さっきの剣よりもどれも馬鹿でかいぞ!!」
「終わりだ!」
「いくらなんでも、こいつは! お、おい! 早く生徒会に知らせろ!!」
「あの新入生消し飛ぶぞ!!」
そう叫んで空を見上げた見物人たちは、天空に強烈に輝く紅の魔法陣の群れを見ただろう。
氷剣封殺陣か、いかにも中二病な名前だ。
だが、中二病なら俺も負けてはいない。
アンドニウス、お前はたかが十年だ。
だが、俺は三十になるまで中二病をこじらせていたんだ。
いや、今でもな。
極限まで高めた集中力とそれが生み出すイマジネーション。
膨大に膨れ上がった俺の魔力が、それを具現化する。
白いフェレットが俺の肩の上で再び立ち上がると叫んだ。
「やっちまいな! ロイ!!」
「ええ、先生!!」
俺は頷く。そして左手を天空に掲げると叫んだ。
「必殺! 炎槍殲滅陣!!」
その瞬間──
俺の背後の魔法陣から現れる紅蓮に輝く無数の炎の槍。
それはまるで生きているかのように、美しく燃え上がっている。
作り出した槍の細部までのこだわりを反映するかのように。
凄まじいスピードで放たれた無数の紅蓮の槍は、こちらに向かってくる巨大な氷の剣をぶつかり合い強烈な衝撃音を辺りに響かせる。
氷の剣と炎の槍は全てぶつかり合い、蒸発するとともに水蒸気が辺りに立ち込めそれが校庭に刺さっている氷の剣で冷やされ霧と化した。
視界を奪われ、見学人たちは声を上げる。
「お、おい……一体どうなったんだ!」
「分かるわけないだろ! 見ただろあの炎の槍の群れを」
「氷帝の息子だけじゃねえ! あの新入生も化け物だぜ!!」
霧の中でアンドニウスが叫ぶ。
「ロイ! てめえ、どこに行きやがった!!」
その声がした瞬間──
霧の中を突き抜けるように俺は天空から奴の方へと向かう。
ビビの作り出す風の力が俺の推進力になり、霧を突き抜けるように一直線に突き進んだ。
「なに!?」
天空から凄まじい速さで向かってくる俺に気が付いて、思わず身構えるアンドニウス。
だが、虚をつかれて体勢が崩れている。
「これでチェックメイトだ! アンドニウス!!」
その時には俺はもう剣を構えていた。
アーシェの前で朝練をしていた時の技の応用、それも最大の魔力を込めて全身を強化して。
十字に放たれる俺の剣技が、唸りを上げて風を巻き起こしそれが周囲の霧を吹き飛ばした。
2
お気に入りに追加
2,297
あなたにおすすめの小説
養子の妹が、私の許嫁を横取りしようとしてきます
ヘロディア
恋愛
養子である妹と折り合いが悪い貴族の娘。
彼女には許嫁がいた。彼とは何度かデートし、次第に、でも確実に惹かれていった彼女だったが、妹の野心はそれを許さない。
着実に彼に近づいていく妹に、圧倒される彼女はとうとう行き過ぎた二人の関係を見てしまう。
そこで、自分の全てをかけた挑戦をするのだった。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます
藤なごみ
ファンタジー
※コミカライズスタートしました!
2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です
2023年9月21日に第一巻、2024年3月21日に第二巻が発売されました
2024年8月中旬第三巻刊行予定です
ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。
高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。
しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。
だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。
そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。
幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。
幼い二人で来たる追い出される日に備えます。
基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています
2023/08/30
題名を以下に変更しました
「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」
書籍化が決定しました
2023/09/01
アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります
2023/09/06
アルファポリス様より、9月19日に出荷されます
呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております
2024/3/21
アルファポリス様より第二巻が発売されました
2024/4/24
コミカライズスタートしました
2024/8/12
アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です
付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!
フウ
ファンタジー
勇者にして大国アルタイル王国が王太子ノアールの婚約者。
そんな将来を約束された一人の少女は……無実の罪でその人生にあっさりと幕を下ろした。
魔王を復活させて影で操り、全てを赦そうとした聖女様すらも手に掛けようとした公爵令嬢。
悪魔と呼ばれた少女は勇者ノアールによって捕縛され、民の前で処刑されたのだ。
全てを奪われた少女は死の間際に湧き上がるドス黒い感情のままに強く誓い、そして願う。
「たとえ何があったとしても、お前らの言う〝悪魔〟となって復讐してやる!!」
そんな少女の願いは……叶えられた。
転生者であった少女の神によって与えられた権利によって。
そうして悪魔という種族が存在しなかった世界に最古にして始まり……原初の悪魔が降り立ったーー
これは、悪魔になった一人の少女が復讐を……物理的も社会的にも、ざまぁを敢行して最強に至るまでの物語!!
※ この小説は「小説家になろう」 「カクヨム」でも公開しております。
上記サイトでは完結済みです。
上記サイトでの総PV1200万越え!!
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
婚約者から婚約破棄のお話がありました。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「……私との婚約を破棄されたいと? 急なお話ですわね」女主人公視点の語り口で話は進みます。*世界観や設定はふわっとしてます。*何番煎じ、よくあるざまぁ話で、書きたいとこだけ書きました。*カクヨム様にも投稿しています。*前編と後編で完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる