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セシルの冒険
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セシルはクレアたちに特訓をしてもらい、アピをコントロールする事が次第にできるようになっていた。
ある日クレアがとんでもない事を言い出した。
「だいぶセシルとアピの火魔法も安定してきたから、そろそろ実地訓練に入りましょう。明日から私たちの冒険に一緒について来て?」
セシルはあんぐりと口を開けてしまった。クレアとメロディは花屋であると同時に、冒険者でもあるのだ。冒険者とはとても危険な職業だ。魔法学校の落ちこぼれ生徒のセシルが同行すれば確実に大ケガをするだろう。
セシルが何とか断ろうとするが、クレアとメロディはどんどん話しを進めて行く。クレアが、セシルもいる事だし簡単な依頼がいいと言えば、メロディはならば山賊の捕縛がいいと言い出す。
セシルの意見はちっとも聞かれないまま、山賊退治の依頼に行く事になってしまった。
翌日セシルが鳥かごに入ったアピと一緒に森に行くと、大きなドラゴンのウェントゥスと、クレアとメロディがいた。クレアは早くウェントゥスに乗るようにせかす。
先頭がメロディ、真ん中にセシルとアピ、後ろにクレアが乗り込むと、ウェントゥスは空に飛び立った。
メロディは嬉しそうにセシルに依頼内容を話してくれた。
「あのね、セシルちゃん。ここから山を三つ越えたドルナの村に山賊が出て、村人に悪さをするんだって。だからその山賊を捕まえて騎士団に突き出す簡単な依頼だよ?」
「・・・。簡単?」
「うん。山賊は十人くらいの人数みたい。セシルちゃんは一人お願いね?後はクレアちゃんとウェンとあたしで捕まえるから」
「・・・」
セシルは全身全霊で拒否したかったが、鳥かごの中のアピは何故か嬉しそうにピピッと鳴いた。
出発がセシルの授業が終わった後だったので、しばらく空を飛ぶと空は真っ暗になった。クレアはウェントゥスに地上に降りてと頼んだ。野宿をするためだ。
森の中の平地に着地すると、クレアとメロディはすぐさま野営の準備をした。その動作が早い事。セシルがキョロキョロしている間に焚き火用の枯れ木が積み上がった。クレアがセシルに言った。
「セシル、アピにお願いして焚き火をつけて?」
「ええ」
セシルは鳥かごからアピを出してお願いした。
「アピ、焚き火に火をつけて?」
「ピッ」
アピは口から火を吐いて、焚き火に火をつけてくれた。クレアたちはセシルとアピにありがとうと言った。何故かセシルの胸はポカポカと温かくなった。
メロディは植物魔法でにんじん、じゃがいも、玉ねぎ、ズッキーニなどの野菜を作った。クレアは水魔法でナベに水をはり、野菜スープを作ってくれた。
クレアの野菜スープはとても美味しかった。ドラゴンのウェントゥスはメロディの作ったりんごを美味しそうに頬張っていた。
クレアたちと旅に出て、もう一つ驚いた事が、彼女たちは手荷物が一つもないのだ。ただ色違いのポシェットだけしか持っていなかった。クレアはそのポシェットから、大きなナベやまな板、ナイフを取り出したのだ。メロディは自分のポシェットから、スープボウルやスプーンを取り出していた。
セシルが不思議に思って質問すると、モニカがポシェットに魔法をかけてくれたから、何でも出し入れができるのだそうだ。
夜がふけて、クレアはセシルに毛布を貸してくれた。毛布にくるまり、夜空を見上げると、そこには一面の星空があった。
セシルはそれまで下ばかり見て暮らしていた。空を見上げると、こんなにも美しい世界が広がっていたのか。セシルは満ち足りた気持ちで目を閉じた。
ある日クレアがとんでもない事を言い出した。
「だいぶセシルとアピの火魔法も安定してきたから、そろそろ実地訓練に入りましょう。明日から私たちの冒険に一緒について来て?」
セシルはあんぐりと口を開けてしまった。クレアとメロディは花屋であると同時に、冒険者でもあるのだ。冒険者とはとても危険な職業だ。魔法学校の落ちこぼれ生徒のセシルが同行すれば確実に大ケガをするだろう。
セシルが何とか断ろうとするが、クレアとメロディはどんどん話しを進めて行く。クレアが、セシルもいる事だし簡単な依頼がいいと言えば、メロディはならば山賊の捕縛がいいと言い出す。
セシルの意見はちっとも聞かれないまま、山賊退治の依頼に行く事になってしまった。
翌日セシルが鳥かごに入ったアピと一緒に森に行くと、大きなドラゴンのウェントゥスと、クレアとメロディがいた。クレアは早くウェントゥスに乗るようにせかす。
先頭がメロディ、真ん中にセシルとアピ、後ろにクレアが乗り込むと、ウェントゥスは空に飛び立った。
メロディは嬉しそうにセシルに依頼内容を話してくれた。
「あのね、セシルちゃん。ここから山を三つ越えたドルナの村に山賊が出て、村人に悪さをするんだって。だからその山賊を捕まえて騎士団に突き出す簡単な依頼だよ?」
「・・・。簡単?」
「うん。山賊は十人くらいの人数みたい。セシルちゃんは一人お願いね?後はクレアちゃんとウェンとあたしで捕まえるから」
「・・・」
セシルは全身全霊で拒否したかったが、鳥かごの中のアピは何故か嬉しそうにピピッと鳴いた。
出発がセシルの授業が終わった後だったので、しばらく空を飛ぶと空は真っ暗になった。クレアはウェントゥスに地上に降りてと頼んだ。野宿をするためだ。
森の中の平地に着地すると、クレアとメロディはすぐさま野営の準備をした。その動作が早い事。セシルがキョロキョロしている間に焚き火用の枯れ木が積み上がった。クレアがセシルに言った。
「セシル、アピにお願いして焚き火をつけて?」
「ええ」
セシルは鳥かごからアピを出してお願いした。
「アピ、焚き火に火をつけて?」
「ピッ」
アピは口から火を吐いて、焚き火に火をつけてくれた。クレアたちはセシルとアピにありがとうと言った。何故かセシルの胸はポカポカと温かくなった。
メロディは植物魔法でにんじん、じゃがいも、玉ねぎ、ズッキーニなどの野菜を作った。クレアは水魔法でナベに水をはり、野菜スープを作ってくれた。
クレアの野菜スープはとても美味しかった。ドラゴンのウェントゥスはメロディの作ったりんごを美味しそうに頬張っていた。
クレアたちと旅に出て、もう一つ驚いた事が、彼女たちは手荷物が一つもないのだ。ただ色違いのポシェットだけしか持っていなかった。クレアはそのポシェットから、大きなナベやまな板、ナイフを取り出したのだ。メロディは自分のポシェットから、スープボウルやスプーンを取り出していた。
セシルが不思議に思って質問すると、モニカがポシェットに魔法をかけてくれたから、何でも出し入れができるのだそうだ。
夜がふけて、クレアはセシルに毛布を貸してくれた。毛布にくるまり、夜空を見上げると、そこには一面の星空があった。
セシルはそれまで下ばかり見て暮らしていた。空を見上げると、こんなにも美しい世界が広がっていたのか。セシルは満ち足りた気持ちで目を閉じた。
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