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セシルの特訓

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「じゃあセシル。本題の魔法の訓練だけど、まず最初に断っておくけれど、私たちは一つのエレメントしか使えないわ。だから火魔法は教えてあげられないの」

 クレアは一言断ってセシルに言った。セシルももちろん承知している。セシルは魔法全般が苦手なのだ。少しでも魔法の上達するとっかかりを掴みたい。

 セシルが大きくうなずくと、クレアもうなずいて言った。

「じゃあセシル。手始めにすべての魔法を私たちに見せて?」

 セシルは、はい。と答えて素早く呪文を唱えた。まず水魔法を発生させる。セシルの周りに沢山の水の粒が発生した。だが、ただそれだけ。クレアのように水を自由自在に操る事ができない。

 次に風魔法を発動させた。セシルの周りをそよ風が駆け抜ける。ウェントゥスのように空を飛ぶ事なんてできやしない。

 セシルはしゃがみこんで土に手をついた。セシルの手が光る。すると小さな植物の芽がぴょこんの飛び出した。それだけ。後は自然に成長するのを待つしかない。

 セシルの魔法を見たメロディは、すごいすごいと言って喜んでくれた。セシルは頬をひきつらせながら笑った。自分の魔法のレベルの低さに嫌気がさした。

 クレアはセシルの魔法をジッと見つめて言った。

「セシル、火魔法を見せて?」

 セシルはゴクリとツバを飲み込んでから、火魔法を発動させた。火魔法を使うのは久しぶりだ。

 アピ。お願い、出てきて。

 セシルは心の中で、懐かしくも困った友人を思い浮かべた。

 するとセシルの手のひらに小さな火の鳥が現れた。それを見たメロディははしゃいで言った。

「わぁ、可愛い小鳥!」

 何故かセシルが火魔法を使うと、小さな火の小鳥が出現するのだ。セシルは久しぶりに会うアピに頬ずりした。アピも嬉しそうにピピッと鳴いた。

 クレアはアピを見て驚いたように言った。

「セシル、その小鳥が貴女の火魔法なの?」
「ええ。私が子供の頃、一番最初に魔法を使ったらアピが出てきたの」
「魔法が具現化するなんて、初めて見たわ」
 
 メロディとウェントゥスはアピに興味津々で、ねぇ触ってもいい?と聞いている。セシルは微笑んでアピをメロディの手のひらに乗せた。メロディはキャラキャラ笑って言った。

「わぁ、温かい!」
「ピィ!」

 メロディとウェントゥスは小鳥のアピが可愛いと言ってはしゃいでいる。クレアは真剣な顔で言った。

「セシル、アピをコントロールする事はできるの?」

 クレアの言葉に、セシルは下を向いてしまった。セシルはアピの事をうまくコントロールする事ができない。アピの事は大好きなのに、アピの事をコントロールできないせいで、周りに迷惑をかけてしまうのだ。
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