冒険者になれなかったので花屋始めました

メロディの戦い

　バタンとドアが乱暴に開くと、ドヤドヤと三人の男たちが室内に入ってきた。娘たちはかなぎり声の悲鳴をあげた。男たちは胴間声でメロディたちに言った。

「さぁ、お前たち。馬車に乗れ」
「そんな事させない！」

　メロディは叫んで床に手をついた。植物魔法を発動する。木の床を突き破って、三本のツタが男たちに巻きつきグルグル巻きにした。男たちは動けなくなり、その場に転がった。メロディはパメラたちに部屋の中で待つよう指示すると、部屋を出てドアを閉めた。

　クレアと約束したのだ。クレアたちがこの場所を探し当てるまで、この場で待つと。メロディの前にはがたいのいい男たちがドヤドヤと五人現れた。

　男たちはさらった娘のメロディだけが部屋の外にいるのをいぶかしんでいるようだった。男の一人がメロディを捕まえようと走って来た。メロディも男に向かって走り、男の胸元に潜り込むと、男の右手を掴んで投げた。男は床にしたたか背中を打ちつけられて伸びてしまった。

　男たちがざわつきだした。いったん引っ込んでから剣や棒の武器を手に持ち、四人でメロディに向かって来た。メロディは床に手をつくと、床を突き破ってツタ植物が伸びてきた。ツタ植物は男たちに向かって伸び、絡みついた。

　三人の男たちは捕縛できたが、一人の男は剣でツタを斬り、メロディに向かって来た。メロディはポシェットからムチを取り出すと、男に降り下ろした。ムチの先端は男の剣に巻きつき、スポンと手から抜けた。男は驚いてきびすを返して逃げ出そうとした。

　男が廊下のかどにに行った途端、水魔法でふっとばされた。

「メロディ！無事？！」
「クレアちゃん！」

　待ち焦がれていたクレアの声がした。メロディが廊下のかどまで走ると、そこにはクレアとウェントゥスがいた。メロディは嬉しくなって二人に抱きついた。

「クレアちゃん、ウェン、ありがとう。あたしは平気」
「ああ、メロディ。無事で良かった」
「ピィ」

　クレアとドラゴンのウェントゥスは、人さらいのアジトの人間を皆倒してしまったらしく、アジト内の人間は皆倒れていた。

　メロディはすべての人さらいをツタ魔法です巻きにした。クレアがこの場所に一番近い騎士団を呼んだので、いずれ人さらい集団は捕まるだろう。

　七人の娘たちは、メロディとクレアと共に、ゾウほどに大きくなったドラゴンのウェントゥスに乗ってキシルの村に帰った。