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クレアの見解

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 クレアは紅茶を一口飲んでから村長に言った。

「村長さん、私たちが村の様子をみさせていただきましたが、行方不明の娘さんたちが自ら姿を消すという事はなさそうでした。つまり娘さんたちの行方不明には、第三者がかかわっているのだと思います」

 キシルの村の村長は困った顔をした。何を当たり前の事をとでもいうような顔だった。クレアは厳しい顔で言葉を続けた。

「そして、言いにくい事ですが、第三者を手引きしているのは、この村の住人だと考えます」

 村長の顔が青ざめた。メロディは思わず口をはさんだ。

「クレアちゃん!そんな事ないよ!キシルの村の人たちは皆いい人たちだよ!」
「メロディ。私だって人を疑う事はしたくないわ。だけどね、行方不明になった女性たちを助ける事が先決なの」

 クレアの厳しい言葉に、メロディは黙ってしまった。クレアは村長に向き直って言った。

「今夜私は、女性たちがいなくなった時間にこの村の中を歩いてみます」

 つまりクレアがおとりになるという事だ。メロディは大声で言った。

「クレアちゃん!あたしも行く!」
「だめよメロディ。行方不明なった女性たちは皆一人でこの村を歩いていたの。できるだけ同じ条件にしたいの」

 その日の夜、約束通りクレアは夜中一人で村の外に行ってしまった。メロディはクレアが心配で眠れなかった。ひざの上にドラゴンのウェントゥスが丸くなって眠っている。メロディはウェントゥスの背中を撫で続けていた。

 バタンとドアを開く音がした。メロディはウェントゥスを抱き上げて走った。そこには寒さよけのローブをまとったクレアが立っていた。メロディは嬉しくなってクレアに抱きついて言った。

「良かった!クレアちゃん」
「ただいま。メロディ、ウェン」
「ピィ」

 ウェントゥスは眠そうにクレアに抱きついた。村長が起きてきて、メロディたちに客間で休むようにすすめてくれた。客間にはベッドが二つあった。メロディがベッドにはいると、何故かドラゴンのウェントゥスはクレアのベッドに一緒に入った。

 いつも三人で寝ているので、一人で寝るベッドは、おかしな感じがした。メロディがクレアに声をかけた。

「クレアちゃんが無事で良かった。クレアちゃん美人だから悪い奴に連れて行かれちゃうかと思った」

 メロディの言葉に、クレアは静かに答えた。

「私は村の中をずっと歩き続けたわ。村の人たちは誰も外に出ていなかった。だけど、ただ一人だけ出会った人がいたわ」

 クレアはそこで言葉を切って、メロディを見た。メロディは胸がドキドキした。デルクは、この村の住人は皆いい人たちだといっていた。クレアが言葉を続けた。

「その人はね、オゾックさんだった」
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