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クロードの思い

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 クロードは飽きる事なく大切な仲間であり、愛する女性であるモニカの笑顔を見つめていた。モニカは美しいが、影のある女性だった。だがある事をきっかけに、彼女は輝くような笑顔で笑えるようになったのだ。

 クロードがモニカに出会ったのは、三年前の事だった。クロードと仲間のロックは依頼が完了した後、休息を取るため近くの町に立ち寄ろうとした。だが町が近づくにつれ、異常な事態に気づいた。街全体が炎に包まれているのだ。

 クロードとロックはあ然としていたが、すぐに意識を切り替えて走り出した。町の人たちを救助するためだ。

 クロードとロックは、風防御ドームを自身に張り町を歩いた。だが、生存者は見込めそうになかった。しばらく歩くと、開けた場所に出た。きっとこの町の中心部なのだろう。そこに女がしゃがみこんでいた。生存者だ。クロードはすぐさま女の周りに風防御ドームを張り巡らせた。これて彼女は安全に呼吸ができるだろう。

 ロックは女の生存者を見て、まだ他にも生存者がいるかもしれないとこの場から離れた。クロードは女を驚かせないように、ゆっくりと彼女に近づいて声をかけた。

「なぁ君、助けに来た。どこかケガはしていないか?」

 女はまっすぐにクロードを見つめた。とても美しい女だった。彼女は口がきけないのか、涙をポロポロ流しながら黙っていた。クロードが女を確認すると、彼女の左手は火傷でただれていた。

 クロードは女に断ってから、彼女の左手を取ると、治癒魔法をほどこした。クロードは治癒魔法があまり得意ではない。傷などふさげればいいという考えだったからだ。

 女の火傷は治癒した。だが彼女の左手には、みにくい火傷痕が残ってしまった。

 しばらく経ってからロックが戻って来た。クロードがロックを見ると、ロックは苦しそうに首を振った。他に生存者はいないという事だろう。

 クロードはぼう然としている女を優しく抱き上げた。彼女だけでも助けなければ。クロードは空間魔法の出入り口を開いた。ロックに先に入らせ、自分も後に続いた。

 クロードは城下町の病院に救助した女をあずけた。しばらくして、面会に行ってみると、女はベッドに横になりぼんやりしていた。クロードは女に話しかけた。

「やぁ、気分はどうだい?」
「・・・。いいわけないでしょ」
「・・・。そう、だな」

 女は無感動に答えた。クロードは話しのつぎほを失ってしまい、口をつぐんだ。ふと、彼女の左手に目がいった。彼女の左手の甲には痛々しい傷痕が残っていた。クロードは申し訳なさそうに言った。

「悪かったなぁ。傷を綺麗に治せなくってよぉ。もう一度、腕のいい魔法使いに治癒魔法をしてもらえよ」

 クロードの言葉に、女は初めて左手の傷に気づいたようだった。女はぼんやり自身の左手を見て言った。

「これでいいの」

 クロードは女の言った言葉の意味がわからなかった。

 
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