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騎士団出陣

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 クレアはドラゴンのウェントゥスに空高く飛んでもらった。自分たちがどこにいるのか確認するためだ。

 だがウェントゥスにどんなに高く登ってもらっても、目印になりそうな建造物は見つからなかった。クレアは仕方なくメロディに言った。

「メロディ、何か目印の植物を育てて?」
「うん」

 メロディは右手をぎゅっと握ると、植物の種を作り出した。メロディは上空から種を地上に投げた。しばらくすると大きな杉の木に成長した。この場所に戻ればメロディは自分の作った杉の木がわかるのだ。

 クレアは首にさげていたローズクォーツのペンダントに声をかけた。

「クロードさん。ウィーペラ魔法団のアジト付近にいますが、ここがどこだかわかりません」
「わかった。すぐ行く」

 しばらくすると、上空にとどまっているクレアたちの目の前に空間魔法の出入り口が出現した。中からクロードが顔を出して言った。

「俺たちは今王都の騎士団にいる。このまま騎士団にご出馬願おう」

 クレアはうなずいて、ドラゴンのウェントゥスにお願いと言った。ウェントゥスは地上に降りてくれた。クレアたちが地面に着地してからしばらくすると、大きな空間の出入り口が出現した。

 出入り口からは続々と騎士団たちが現れた。その中にガロアがいた。

「おおい!クレア、メロディ、ウェン!」
「ガロアさん!」

 メロディは嬉しそうに声をあげた。クレアたちはガロアに駆け寄った。ガロアは興奮気味に言った。

「すごいじゃないかお前たち!ウィーペラ魔法団のアジトを見つけたんだってな?!」
「はい!奴らに逃げられる前に来てください!」

 クレアたちは、せっかくウィーペラ魔法団のアジトに行けるので、ついでに騎士団にも来てもらう事にしたのだ。

 クレアたちを先頭に、騎士団の一団と、クロードがアジトに向かった。モニカは念のためロックと共に城下町に残ってもらう事にした。

 クレアたちは先ほどの古城にたどり着いた。騎士たちは城の正面玄関に立った。巨大な門はとうてい一人では開閉できなさそうだった。クレアはウェントゥスにお願いした。

 ドラゴンのウェントゥスは風攻撃魔法で門を破壊した。騎士団たちは、うおおと叫び声をあげて城内になだれこんだ。

 騎士団の後に続いてクレアたちもウィーペラ魔法団のアジトに入った。だが城内はもぬけのからだった。ガロアはキョロキョロ辺りを見回してからクレアたちに言った。

「なぁクレア。本当にここで合っているのか?」
「本当にここだよ!あたしが育てた杉の木が近くにあるもの」

 疑っているガロアに、メロディが意気込んで答えた。

「おそらくウィーペラ魔法団の団員は全員逃げたのでしょう」

 それまで黙っていたクロードがガロアとメロディの間に入って言った。

 ウィーペラ魔法団は全員有能な魔法使いだ。何の痕跡も残さず姿を消す事など造作もない事なのだろう。

 メロディはシュンとしながらガロアに謝っていた。ガロアは気にするな、といってメロディを慰めていた。

 ウィーペラ魔法団のアジトをおさえる事はできなかったが、本来の目的であるモニカの除名手続きは完了したのだ。
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