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少女モニカ
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モニカは目の前の魔法使いをにらんで言った。
「私は急いでいるの。すぐ決着をつけるわよ?」
モニカは地上に降りたクレアたちが心配で仕方なかった。ロックがついてくれているから安心だとは思うが、早くクレアたちの側に行きたかった。
クレアは強力な火魔法を作り出し、魔法使いに当てた。魔法使いは風防御魔法でそれを防いだ。ここまでは予想通りだ。クレアは何度も火魔法を作り出し、魔法使いの防御魔法に当て続けた。
すると、パキパキという音と共に、魔法使いの防御魔法が破壊された。モニカはもう一息だと思い、強力な火魔法を作り出した。
「待て!」
魔法使いは慌てて叫んだ。モニカはわずらわしそうに言った。
「なあに?命ごいなんてしてもムダよ?」
「変わらないなぁ、炎の魔女モニカ」
モニカはビクリと身体を震わせた。相手がウィーペラ魔法団の魔法使いだという事には気がついていた。だが自分の事は知らないと思っていた。この魔法使いはモニカの過去を知っているのだ。
モニカが動揺している事を知られたのだろう。魔法使いはいくぶん言葉をやわらげて言った。
「まさか生きていたとはな?仲間を殺して逃げていたから、もう死んでいると思っていたぞ。モニカ、魔法団に戻って来い。今戻ればここにいる奴らを見逃してやるぞ?なぁ、大切な仲間なんだろ?」
モニカはブルブルと震えだした。モニカは思い出したくもない過去の記憶に意識を向けていた。
モニカは捨て子で、孤児院で育った。孤児院から引き取られた場所は、おかしな場所だった。沢山の子供たちが集められ、火、水、風、土、のエレメント契約をさせられた。
そして朝から晩まで魔法の修行をさせられた。子供たちは必死だった。何故なら魔法の出来が悪ければ、食事をもらえないのだ。子供たちは生きるために必死に魔法を上達させていった。
だが中には、中々魔法が上達しない子供がいた。その子供たちは、いつの間にかいなくなっていた。残った子供たちの間で、まことしやかにいわれていた。魔法が上達しない子供は処分される。
モニカは生き残るために必死に魔法の修行をした。しばらくすると、モニカはローブを身にまとった魔法使いに連れられて仕事をするようになった。
仕事内容自体は簡単で、この場所に強力な防御魔法を張れだとか、この場所一帯を焼きつくせだとか、モニカにとっては造作もない事だった。だが心のどこかで、自分は良くない事をしているのではないかと思っていた。
ある時、大きな町を燃やせと言われた。モニカと三人の魔法使いは上空から町を見下ろしていた。モニカは指示をした三人の魔法使いに言った。町の人たちは大丈夫なのかと。三人の魔法使いは笑って答えた。町は無人だ、だから心配しないで燃やせと。モニカは言われた通りに、強力な火魔法を五つ作り、町の周りをおおった。火魔法を町に落とすと、町は一気に燃え上がった。
その時モニカは見てしまったのだ。火に巻かれて逃げまどう人の姿を。モニカはかなぎり声をあげて叫んだ。
「キャアッ!人が。ああ、早く火を消さないと」
モニカが慌てふためいていると、一人の魔法使いが舌打ちして言った。
「何を慌てている。モニカ、お前はもう何人もの人間を殺しているんだぞ?」
モニカの中で何かが壊れる音がした。ずっと前からわかっていたのだ。自分は悪い事をしているのだと。モニカは絶叫した。自身の魔力が暴走して側にいた三人の魔法使いを瞬時に燃やし尽くした。
モニカは燃え盛る町に降り立つと、やたらめったら氷魔法を発動させ、消火をこころみようとした。だが燃え盛る炎は衰えなかった。
モニカは地面にしゃがみ込むと、ぼう然と自身の左手の甲を見た。ヘビのイレズミ。なんて醜いのだろう。モニカは火魔法で自身の左手を焼いた。左手は火傷して激痛がした。
モニカは笑った。もっと自分を傷つけなくては。自分はこの町と共に苦しんで焼け死ぬのだ。モニカは笑いながら泣いていた。
ふと意識が戻った。目の前には魔法使いがニヤニヤと笑って、モニカが返事をするのを待っている。モニカは覚悟を決めて叫んだ。
「いや!ウィーペラ魔法団には戻らない!」
「ならば死ね」
魔法使いの攻撃魔法がモニカに直撃した。モニカは浮遊魔法を解除され、地上に落下した。
「私は急いでいるの。すぐ決着をつけるわよ?」
モニカは地上に降りたクレアたちが心配で仕方なかった。ロックがついてくれているから安心だとは思うが、早くクレアたちの側に行きたかった。
クレアは強力な火魔法を作り出し、魔法使いに当てた。魔法使いは風防御魔法でそれを防いだ。ここまでは予想通りだ。クレアは何度も火魔法を作り出し、魔法使いの防御魔法に当て続けた。
すると、パキパキという音と共に、魔法使いの防御魔法が破壊された。モニカはもう一息だと思い、強力な火魔法を作り出した。
「待て!」
魔法使いは慌てて叫んだ。モニカはわずらわしそうに言った。
「なあに?命ごいなんてしてもムダよ?」
「変わらないなぁ、炎の魔女モニカ」
モニカはビクリと身体を震わせた。相手がウィーペラ魔法団の魔法使いだという事には気がついていた。だが自分の事は知らないと思っていた。この魔法使いはモニカの過去を知っているのだ。
モニカが動揺している事を知られたのだろう。魔法使いはいくぶん言葉をやわらげて言った。
「まさか生きていたとはな?仲間を殺して逃げていたから、もう死んでいると思っていたぞ。モニカ、魔法団に戻って来い。今戻ればここにいる奴らを見逃してやるぞ?なぁ、大切な仲間なんだろ?」
モニカはブルブルと震えだした。モニカは思い出したくもない過去の記憶に意識を向けていた。
モニカは捨て子で、孤児院で育った。孤児院から引き取られた場所は、おかしな場所だった。沢山の子供たちが集められ、火、水、風、土、のエレメント契約をさせられた。
そして朝から晩まで魔法の修行をさせられた。子供たちは必死だった。何故なら魔法の出来が悪ければ、食事をもらえないのだ。子供たちは生きるために必死に魔法を上達させていった。
だが中には、中々魔法が上達しない子供がいた。その子供たちは、いつの間にかいなくなっていた。残った子供たちの間で、まことしやかにいわれていた。魔法が上達しない子供は処分される。
モニカは生き残るために必死に魔法の修行をした。しばらくすると、モニカはローブを身にまとった魔法使いに連れられて仕事をするようになった。
仕事内容自体は簡単で、この場所に強力な防御魔法を張れだとか、この場所一帯を焼きつくせだとか、モニカにとっては造作もない事だった。だが心のどこかで、自分は良くない事をしているのではないかと思っていた。
ある時、大きな町を燃やせと言われた。モニカと三人の魔法使いは上空から町を見下ろしていた。モニカは指示をした三人の魔法使いに言った。町の人たちは大丈夫なのかと。三人の魔法使いは笑って答えた。町は無人だ、だから心配しないで燃やせと。モニカは言われた通りに、強力な火魔法を五つ作り、町の周りをおおった。火魔法を町に落とすと、町は一気に燃え上がった。
その時モニカは見てしまったのだ。火に巻かれて逃げまどう人の姿を。モニカはかなぎり声をあげて叫んだ。
「キャアッ!人が。ああ、早く火を消さないと」
モニカが慌てふためいていると、一人の魔法使いが舌打ちして言った。
「何を慌てている。モニカ、お前はもう何人もの人間を殺しているんだぞ?」
モニカの中で何かが壊れる音がした。ずっと前からわかっていたのだ。自分は悪い事をしているのだと。モニカは絶叫した。自身の魔力が暴走して側にいた三人の魔法使いを瞬時に燃やし尽くした。
モニカは燃え盛る町に降り立つと、やたらめったら氷魔法を発動させ、消火をこころみようとした。だが燃え盛る炎は衰えなかった。
モニカは地面にしゃがみ込むと、ぼう然と自身の左手の甲を見た。ヘビのイレズミ。なんて醜いのだろう。モニカは火魔法で自身の左手を焼いた。左手は火傷して激痛がした。
モニカは笑った。もっと自分を傷つけなくては。自分はこの町と共に苦しんで焼け死ぬのだ。モニカは笑いながら泣いていた。
ふと意識が戻った。目の前には魔法使いがニヤニヤと笑って、モニカが返事をするのを待っている。モニカは覚悟を決めて叫んだ。
「いや!ウィーペラ魔法団には戻らない!」
「ならば死ね」
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