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不良少年団

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「町の不良?」

 メロディは聞きなれない言葉に、マサラに質問した。マサラは苦笑しながら答えた。

「町の悪ガキどもだよ。店の物を壊したり盗んだり、町の人たちも手を焼いているんだ。だけど不良少年団のリーダーが、城下町の金持ちの息子でね。町の人たちも強くは言えないんだよ」
「物を壊したり、盗んだりなんてヒドイ!」

 メロディは腹が立って仕方なかった。マサラはメロディを優しい目で見て答えた。

「そうだねメロディ。不良少年たちは悪い奴らだ。だけどまだ子供なんだよ、悪い事をしたい年頃っていうのかな?私たちもそいつらが早く大人になって、悪い事をやめてくれるといいと思っているんだけどね?」

 マサラの言葉に、メロディは黙ってしまった。それまで口をはさまず黙っていたクレアが言った。

「マサラさん。ベックはおじいさんが亡くなって、今はどうやって暮らしているんですか?」
「おじいさんは歳だったからねぇ、自分が死んだら町の教会で育ててもらうようお願いしていたんだ。だけどベックは何度も教会を抜け出しては、不良少年たちの後にくっついているんだよ」

 クレアは話しを聞き終わると、メロディとウェントゥスを連れてマサラを家を辞した。クレアは黙々と歩いている。メロディは行き先が気になってクレアに質問した。

「ねぇクレアちゃん。どこ行くの?」
「教会。ベックの事を聞きに行くの」
「・・・。じゃあベックが鉢植えを盗んだ事は、」
「もちろん言うわ。でないと詳しい話しを聞けないでしょ?」
「それじゃ、ベックが教会の人たちに怒られちゃうよ?」
「そんな事しないわよ。きっと、何故ベックがそんな事をしたのか本人に聞いてくれるわ」

 クレアとメロディは話しているうちに、城下町から少し離れた場所にある教会にたどり着いた。この教会は、親のいない子供たちが暮らしていた。教会のマザーは、優しげな老女だった。クレアがベックの事を話すと、彼女は悲しげな顔をして謝ってくれた。

 マザーは花屋で盗まれた品物の代金を支払うと言ってくれたが、クレアは筋が通らないからといって断った。

 メロディたちは教会の長イスに座らせてもらい、マザーからベックの話しを聞いた。

「ベックは、あの子はおじいさんが亡くなってしまった悲しみがいえていないのです。教会を抜け出しては悪い事を繰り返すのです」
 
 マザーはベックの身の上を話してくれた。ベックは幼い頃に母と死に別れ、それから祖父がベックの親代わりとして大切に育てた。だが祖父は年老いていた。ベックの今後を心配して、マザーにベックの事を頼んだのだ。

 クレアはマザーの話しを聞いて言った。

「マザーはベックの事を持て余していますか?」

 クレアのあけすけな質問に、マザーは微笑んで答えた。

「いいえ。私とベックの祖父は幼なじみなのです。私もベックの祖父も孤児で、私たちはこの教会で育ちました。ベックの祖父は教会を出て、働きました。私はシスターに憧れ、この教会のマザーになりました。私にとってベックは、自分の孫も同然なのです」


 
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