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クレアのドレス
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クレアはラグジュアリーの屋敷の裏手から出ると、身にまとっていたフードを脱いだ。フードの下はきらびやかなドレスだった。クレアはフードを丸めて建物と建物の間に見えないように置くと、正面に回った。
ラグジュアリーの正面玄関には着飾った貴族たちが館内に入って行く。正面玄関の門番は貴族たちに何か質問し、貴族が何か答えると、うやうやしく礼をして中へ通した。おそらく爵位をたずねられるのだろう。貴族たちは自身の身分をあかし、ラグジュアリーのショーを楽しむのだ。
クレアは気後れしそうになる気持ちを引き締めて堂々と歩き出した。村娘のクレアが、豪華なドレスを持っているわけがない。このドレスは、タンドール国王妃から借りたのだ。クレアが貴族の出入りする場所に行きたいというと、王妃とエレノア王女は、喜んでクレアにドレスを着せ、宝石で着飾らせた。
クレアは真っ青なシルクのドレスを身にまとい、光り輝くサファイアのネックレスとイヤリングをつけられた。となりで見ていたメロディは、クレアちゃんとっても綺麗。お姫さまみたいとはしゃいでいた。
クレアも若い娘なので、美しい格好をして、嬉しい気持ちもあった。だが自分よりもメロディの方が似合いそうだと思った。しかしメロディが豪華なドレスを来てドラゴンハンターだと名乗るわけにもいかないので、メロディはいつもの着古したワンピースドレスにした。
クレアは門番に通行を止められた。クレアはドレスのポケットから騎士のエンブレムを取り出した。エンブレムを見た門番はいぶかる顔をした。騎士の称号は、国王から当人に対して贈られるものだ。小娘のクレアが騎士の称号を持っている事に違和感を感じたのだろう。
クレアは反対のポケットから、先ほど受け取った金貨を数枚門番に渡した。門番はうやうやしく黙礼をしてクレアをうながした。
クレアは係の者に案内され、豪華な廊下を抜け、ドアの前に案内された。そこは円形にイスがしつらえられて、正面の円形の舞台がどこからでも見渡せる作りになっていた。クレアはふかふかのイスに座らされ、飲み物のオーダーを聞かれた。クレアは手を振っていらないとジェスチャーでしめした。周りに怪しまれないよう、貴族の娘を演じなければいけないのだ。
しばらくすると室内が暗くなり、正面の円形の舞台に光が当たった。舞台の後ろは厚いカーテンがかけられていた。舞台そでから、先ほどの支配人が現れ、うやうやしく黙礼をしてから話し出した。
「高貴なる皆さま、このたびはこのラグジュアリーにお越しいただきまことにありがとうございます。これから数々の美しいものをご覧いただきます。お気に召しましたらぜひオークションにご参加ください」
支配人は、まずは一番目と、まるで物を紹介するように説明した。分厚いカーテンが開くと、そこには美しい女性が立っていた。衣服は薄布しか身につけておらず、美しい裸体が透けて見えた。
クレアはヒィッと小さく悲鳴をあげた。このラグジュアリーのサロンは、人間も売買するのだ。見物している貴族は大声で値段を叫び出した。クレアは人が人を金で買うというおぞましい行為に気分が悪くなった。
だがこれからドラゴンたちがオークションに出される。おそらくネヴェも。それまで耐えなければいけなかった。
ラグジュアリーの正面玄関には着飾った貴族たちが館内に入って行く。正面玄関の門番は貴族たちに何か質問し、貴族が何か答えると、うやうやしく礼をして中へ通した。おそらく爵位をたずねられるのだろう。貴族たちは自身の身分をあかし、ラグジュアリーのショーを楽しむのだ。
クレアは気後れしそうになる気持ちを引き締めて堂々と歩き出した。村娘のクレアが、豪華なドレスを持っているわけがない。このドレスは、タンドール国王妃から借りたのだ。クレアが貴族の出入りする場所に行きたいというと、王妃とエレノア王女は、喜んでクレアにドレスを着せ、宝石で着飾らせた。
クレアは真っ青なシルクのドレスを身にまとい、光り輝くサファイアのネックレスとイヤリングをつけられた。となりで見ていたメロディは、クレアちゃんとっても綺麗。お姫さまみたいとはしゃいでいた。
クレアも若い娘なので、美しい格好をして、嬉しい気持ちもあった。だが自分よりもメロディの方が似合いそうだと思った。しかしメロディが豪華なドレスを来てドラゴンハンターだと名乗るわけにもいかないので、メロディはいつもの着古したワンピースドレスにした。
クレアは門番に通行を止められた。クレアはドレスのポケットから騎士のエンブレムを取り出した。エンブレムを見た門番はいぶかる顔をした。騎士の称号は、国王から当人に対して贈られるものだ。小娘のクレアが騎士の称号を持っている事に違和感を感じたのだろう。
クレアは反対のポケットから、先ほど受け取った金貨を数枚門番に渡した。門番はうやうやしく黙礼をしてクレアをうながした。
クレアは係の者に案内され、豪華な廊下を抜け、ドアの前に案内された。そこは円形にイスがしつらえられて、正面の円形の舞台がどこからでも見渡せる作りになっていた。クレアはふかふかのイスに座らされ、飲み物のオーダーを聞かれた。クレアは手を振っていらないとジェスチャーでしめした。周りに怪しまれないよう、貴族の娘を演じなければいけないのだ。
しばらくすると室内が暗くなり、正面の円形の舞台に光が当たった。舞台の後ろは厚いカーテンがかけられていた。舞台そでから、先ほどの支配人が現れ、うやうやしく黙礼をしてから話し出した。
「高貴なる皆さま、このたびはこのラグジュアリーにお越しいただきまことにありがとうございます。これから数々の美しいものをご覧いただきます。お気に召しましたらぜひオークションにご参加ください」
支配人は、まずは一番目と、まるで物を紹介するように説明した。分厚いカーテンが開くと、そこには美しい女性が立っていた。衣服は薄布しか身につけておらず、美しい裸体が透けて見えた。
クレアはヒィッと小さく悲鳴をあげた。このラグジュアリーのサロンは、人間も売買するのだ。見物している貴族は大声で値段を叫び出した。クレアは人が人を金で買うというおぞましい行為に気分が悪くなった。
だがこれからドラゴンたちがオークションに出される。おそらくネヴェも。それまで耐えなければいけなかった。
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