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戦闘

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 クレアの水攻撃魔法は、一直線に魔法使いの男に向かった。魔法使いは驚いた顔をしたが、すぐさま火防御魔法で水攻撃魔法を防いだ。

 クレアは舌打ちした。やはりクレアの水魔法では魔法使いに歯が立たない。魔法使いは驚いた顔でクレアを見て呟いた。

「まさか、この娘魔法使いか?」

 魔法使いの男は炎の矢を作り出し、クレアたちに向かって投げつけた。クレアは水防御魔法で炎の矢を防いだ。それを見た魔法使いがゲラゲラ笑いながら言った。

「何だ、ただの水使いか!魔法使いの俺には足元にもよおばん!」

 魔法使いの男が左手を振るう動作をした。クレアは見てしまった、左手の甲にあるベビのいれずみを。ウィーペラ魔法団。クレアは苦々しく男に言った。

「貴方ウィーペラ魔法団の一員なの?」

 男はなおもゲラゲラ笑いながら答えた。

「ああ、そうだ。今さら命ごいしても遅いぞ?赤ん坊以外はぶっ殺すってきめたからな!」
「誰が命ごいなんてするもんですか。貴方は私たちに捕まって騎士団に突き出されるのよ!」
「やれるもんならやってみろよ!」

 魔法使いの男は強力なカミナリ攻撃魔法をクレアたちに向けて放った。クレアはギュンターとバスチャン王子を守るため、水防御魔法を張った。水の壁に容赦なくカミナリの刃が突き刺さる。水の壁にヒビが入り始めた。これ以上はもたないと思った時、鋭い声がした。

「クレアちゃん!」

 魔法使いの背後にメロディとドラゴンのウェントゥスが立っていた。クレアはホッとため息をついた。メロディたちは、魔法使いの男に気づかれないように大回りをして背後に回り、はさみ討ちにする作戦だったのだ。

 メロディは大きな声で言った。

「ウェン!風攻撃魔法!」
「ピィー!」

 ドラゴンのウェントゥスは、風のかたまりを沢山作り出して、魔法使いの男に放った。クレアは慌てて水防御魔法を張り直した。クレアの水の壁に、ウェントゥスの風攻撃魔法がぶち当たる。ウェントゥスの攻撃魔法は命中率があまりよくない。

 魔法使いの男は土魔法で鉱物防御魔法を張り、ウェントゥスの風攻撃魔法を防いだ。ウェントゥスが使える風攻撃魔法は、竜巻きを起こす魔法と、風のかたまりを敵に投げつける魔法の二つだ。クレアたちが敵の向こう側にいる以上、竜巻き魔法は使えない。クレアたちも巻き込んでしまうからだ。

 ウェントゥスはドラゴンなので、潜在魔力がぼう大だ。コントロールはともかく、魔法使いの男に反撃させないように続けざまに攻撃魔法を放っている。その隙に、メロディが植物拘束魔法を発動させた。

 魔法使いの足元から、植物のツタが勢いよく生え出した。ツタは魔法使いの身体に巻きつき、がんじがらめにしようとした。

 やった。これで魔法使いに魔法を使えなくする魔法具の腕輪をはめれば勝てる。クレアがそう思った途端、魔法使いは自身の身体に火魔法をまとって、ツタを焼ききってしまった。

 魔法使いの男は笑いながら言った。

「ギャハハ!小娘どもは水魔法に、植物魔法。ドラゴンは風魔法。だが一番攻撃力の高い火魔法が使えないんじゃ話しにならない!俺は魔法使いだ!四つのエレメントをすべて操れるのだ!この俺が最強なのだ!」

 魔法使いの男は炎の魔法を沢山作り出すと、クレアたちに投げつけた。クレアは水防御魔法でギュンターたちを守り、ウェントゥスは風防御魔法でメロディを守った。

 だが魔法使いの炎は、森の木々に引火し、森が火事になりそうだった。クレアは舌打ちし、水防御魔法を維持しながら、水魔法で木々に燃え移った炎を消していった。
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