冒険者になれなかったので花屋始めました

コレットの本心

　コレットは仕方なく読んでいた本を本棚に返し、美少女について図書館を出た。美少女は、図書館の敷地内にあるベンチに座るようコレットをうながした。

　コレットは心臓がバクバクしていたが、表面上は平静を保っていた。この美少女は何故キャスに言った白いカンピオンの事を知っているのだろう。もしかするとキャスの恋人なのだろうか。キャスがコレットにふざけてデートに誘ったのを、恋人がまに受けて怒っているのだろうか。コレットは先手をうつために口を開いた。

「貴女誰？ひょっとしてキャスの恋人なの？」

　コレットの言葉に、美少女はケラケラ笑って答えた。

「笑ってごめんなさい。私はキャスみたいな人はごめんだわ。なんたって頭の回転が悪いんだもの。コレットさんが、デートの誘いを断りたくて白いカンピオンをプレゼントしてと言ったのに、貴女の真意もわからずに町中の花屋をかけずり回っていたのよ？」

　コレットはがく然とした。キャスはずっと白いカンピオンを探してくれていたのだ。コレットの胸がズキリと痛んだ。美少女はコレットに優しく言った。

「コレットさん。私は花屋なんです。キャスに頼まれて白いカンピオンを探しに行こうとしています。もし貴女がキャスの好意をうとましく思うのだったら、私はこの依頼は受けません。キャスに断ります。だけど、もしコレットさんが、キャスの本心を知りたいのなら、私は白いカンピオンを探しに行きます」
「ダメよ！女の子が探しに行くなんて危険だわ！」

　美少女はクスリと笑って言った。

「コレットさん、優しい人なのね。貴女は何故キャスが貴女を思っている事を疑うの？」

　コレットはグッと息を飲んだ。自分でもこの性格が嫌になる。根暗でへんくつで疑り深くて。コレットは美少女から視線をそらしながら答えた。

「見ればわかるでしょ？私は不細工なの。彼が私を本気でデートに誘いたいって思うわけないでしょ？貴女みたいな美人ならともかく。キャスだって私をからかっているだけだわ」

　美少女は微笑んで言った。

「コレットさん。貴女の本心はわかりました。ではキャスが白いカンピオンを貴女に贈る時は、どうか彼の話しを聞いてあげてください」

　コレットはポカンとしながら美少女の話しを聞いていた。美少女はコレットと別れる時に、自分はクレアだと名乗った。