10 / 196
クレアが思う天才
しおりを挟む
「ぐふぅっ」
クレアは自身の腹に突然乗っかった重みにうめいた。いつものようにメロディの足がクレアの腹に乗っかっている。
メロディと暮らし始めてから毎日これだ。何とかならないものだろうか。メロディはスヤスヤと幸せそうに眠っている。
クレアはメロディの足を戻して、毛布をかけなおしてから、見るともなくメロディの寝顔を見つめていた。
メロディはクレアの事をいつもほめる。クレアちゃんすごい。クレアちゃんって頭がいい。
クレアは自分の事を頭がいいなどと思った事は一度もない。クレアが自分を客観的に評価するならば、小器用なのだ。どうやれば要領よくできるのかがわかるのだ。
勉強でも魔法の訓練でも、店の経営でも。そこでいうとメロディの方が天才だと思う。
メロディは小さい頃学校での勉強はできなかった。だがある一つの事においてはものすごい集中力を発揮した。
すなわち植物の勉強だ。クレアたちを指導してくれた先生は、何とかメロディに勉強を好きになってもらおうと、持っている書物をメロディに見せてくれた。
だがメロディは文字を読む事も苦手で、中々読書をしたがらなかった。クレアはメロディが勉強に興味を持ってくれればと思い、先生の書斎から物語の本を取り出してメロディに読ませようとした。
しかしメロディは物語もつまらなそうだった。クレアがさらに本棚とにらめっこをしていると、メロディが一冊の本を取り出していた。
その本は植物の専門書で、とてもわかりにくい文体で書かれていた。クレアはメロディは理解できないだろうと思い、別な本を探そうと言ったのだが、メロディはジッと本を見つめていた。
結局、先生から借りる本は植物の専門書になった。その本は挿絵も沢山描かれているので見るだけでも綺麗だった。
メロディはその日から、来る日も来る日も植物の専門書を読み続けた。あまりにも熱心に読んでいるので、クレアは意味がわかるのかとたずねると、メロディは本から目を離さないまま、段々読めるようになってきたと答えた。
それからというもの、メロディは先生から次々と難しい植物の専門書を借りては読みふけっていた。ある時クレアにメロディが言った。
「クレアちゃん。あたしようやくわかったよ。植物たちがいつもお話ししてくれてる事の意味」
クレアはメロディの言った言葉の意味がよくわからなかったので詳しく聞くと、メロディはいつも植物から語りかけられていたのだそうだ。だがメロディが扱える植物魔法は小さな植物の芽を出させるだけだった。それが先生の植物の専門書で知識を得た事により、ようやく植物魔法とがっちしたのだという。メロディがクレアに笑顔で言った。
「クレアちゃん、見てて」
クレアの目の前でメロディか植物魔法を発動させる。彼女の手が輝くと、地面から沢山の植物の芽が現れ、グングンと大きくなった。バラ、ユリ、スイセン、シャクヤク。色とりどりの花が咲き乱れ、クレアはまるで夢を見ているようだった。
その後メロディは語学と生物学の成績だけは人並みになった。数学、物理、化学は今まで通り苦手であったが。メロディは自分が学ぶべきものを見つけたのだ。クレアはそれでいいのだと思った。
クレアは自身の腹に突然乗っかった重みにうめいた。いつものようにメロディの足がクレアの腹に乗っかっている。
メロディと暮らし始めてから毎日これだ。何とかならないものだろうか。メロディはスヤスヤと幸せそうに眠っている。
クレアはメロディの足を戻して、毛布をかけなおしてから、見るともなくメロディの寝顔を見つめていた。
メロディはクレアの事をいつもほめる。クレアちゃんすごい。クレアちゃんって頭がいい。
クレアは自分の事を頭がいいなどと思った事は一度もない。クレアが自分を客観的に評価するならば、小器用なのだ。どうやれば要領よくできるのかがわかるのだ。
勉強でも魔法の訓練でも、店の経営でも。そこでいうとメロディの方が天才だと思う。
メロディは小さい頃学校での勉強はできなかった。だがある一つの事においてはものすごい集中力を発揮した。
すなわち植物の勉強だ。クレアたちを指導してくれた先生は、何とかメロディに勉強を好きになってもらおうと、持っている書物をメロディに見せてくれた。
だがメロディは文字を読む事も苦手で、中々読書をしたがらなかった。クレアはメロディが勉強に興味を持ってくれればと思い、先生の書斎から物語の本を取り出してメロディに読ませようとした。
しかしメロディは物語もつまらなそうだった。クレアがさらに本棚とにらめっこをしていると、メロディが一冊の本を取り出していた。
その本は植物の専門書で、とてもわかりにくい文体で書かれていた。クレアはメロディは理解できないだろうと思い、別な本を探そうと言ったのだが、メロディはジッと本を見つめていた。
結局、先生から借りる本は植物の専門書になった。その本は挿絵も沢山描かれているので見るだけでも綺麗だった。
メロディはその日から、来る日も来る日も植物の専門書を読み続けた。あまりにも熱心に読んでいるので、クレアは意味がわかるのかとたずねると、メロディは本から目を離さないまま、段々読めるようになってきたと答えた。
それからというもの、メロディは先生から次々と難しい植物の専門書を借りては読みふけっていた。ある時クレアにメロディが言った。
「クレアちゃん。あたしようやくわかったよ。植物たちがいつもお話ししてくれてる事の意味」
クレアはメロディの言った言葉の意味がよくわからなかったので詳しく聞くと、メロディはいつも植物から語りかけられていたのだそうだ。だがメロディが扱える植物魔法は小さな植物の芽を出させるだけだった。それが先生の植物の専門書で知識を得た事により、ようやく植物魔法とがっちしたのだという。メロディがクレアに笑顔で言った。
「クレアちゃん、見てて」
クレアの目の前でメロディか植物魔法を発動させる。彼女の手が輝くと、地面から沢山の植物の芽が現れ、グングンと大きくなった。バラ、ユリ、スイセン、シャクヤク。色とりどりの花が咲き乱れ、クレアはまるで夢を見ているようだった。
その後メロディは語学と生物学の成績だけは人並みになった。数学、物理、化学は今まで通り苦手であったが。メロディは自分が学ぶべきものを見つけたのだ。クレアはそれでいいのだと思った。
0
お気に入りに追加
260
あなたにおすすめの小説
離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね?~魔道具師として自立を目指します!~
椿蛍
ファンタジー
【1章】
転生し、目覚めたら、旦那様から離縁されていた。
――そんなことってある?
私が転生したのは、落ちこぼれ魔道具師のサーラ。
彼女は結婚式当日、何者かの罠によって、氷の中に閉じ込められてしまった。
時を止めて眠ること十年。
彼女の魂は消滅し、肉体だけが残っていた。
「どうやって生活していくつもりかな?」
「ご心配なく。手に職を持ち、自立します」
「落ちこぼれの君が手に職? 無理だよ、無理! 現実を見つめたほうがいいよ?」
――後悔するのは、旦那様たちですよ?
【2章】
「もう一度、君を妃に迎えたい」
今まで私が魔道具師として働くのに反対で、散々嫌がらせをしてからの再プロポーズ。
再プロポーズ前にやるのは、信頼関係の再構築、まずは浮気の謝罪からでは……?
――まさか、うまくいくなんて、思ってませんよね?
【3章】
『サーラちゃん、婚約おめでとう!』
私がリアムの婚約者!?
リアムの妃の座を狙う四大公爵家の令嬢が現れ、突然の略奪宣言!
ライバル認定された私。
妃候補ふたたび――十年前と同じような状況になったけれど、犯人はもう一度現れるの?
リアムを貶めるための公爵の罠が、ヴィフレア王国の危機を招いて――
【その他】
※12月25日から3章スタート。初日2話、1日1話更新です。
※イラストは作成者様より、お借りして使用しております。
異世界で料理を振る舞ったら何故か巫女認定されましたけども~人生最大のモテ期到来中~
九日
ファンタジー
女神すら想定外の事故で命を落としてしまったえみ。
死か転生か選ばせてもらい、異世界へと転生を果たす。
が、そこは日本と比べてはるかに食レベルの低い世界だった。
食べることが大好きなえみは耐えられる訳もなく、自分が食レベルを上げることを心に決める。
美味しいご飯が食べたいだけなのに、何故か自分の思っていることとは違う方向へ事態は動いていってしまって……
何の変哲もない元女子大生の食レベル向上奮闘記――
神様に世界を見てきて欲しいと言われたので、旅に出る準備をしようと思います。
ネコヅキ
ファンタジー
十七年の生を突然に終えて異世界へと転生をした彼女は、十歳の時に受けた『神託の儀』によって前世の記憶を取り戻し、同時に神様との約束も思い出す。
その約束とは、歴史の浅いこの世界を見歩く事。
学院に通いながら、神様との約束を果たす為に旅立つ準備を始めた彼女。しかし、人を無に帰す化け物に襲われて王都は壊滅。学ぶ場を失った彼女は偶然に出会った冒険者と共に領地へと避難をするのだが――
神様との約束を交わした少女の、旅立ちの序曲。
・更新はゆっくりです。
ぼっち冒険者の俺ですが、何故か古龍に懐かれています
こうじ
ファンタジー
ロアはソロの冒険者として活動していた。しかし、彼はなりたくてソロになった訳じゃなく出来ればパーティーを組みたかった。信頼できる仲間が欲しかった。しかし、既にソロとして名を上げているロアをパーティーに誘う者はいなかった。そんなある日、ダンジョンを探検していた時、誤って落とし穴に落ちてしまう。その先でロアが出会ったのは古龍の少女ミーナだった。彼女は一族から迫害を受けダンジョンに身を寄せていたのだ。同じぼっち同士のロアとミーナは意気投合、パーティーを組む事にする。ここから最強パーティーの伝説の始まる。
マルグリットは婚約を破棄してもらいたい
真朱マロ
恋愛
マルグリットの元に、一通の手紙が届いた。
一度も顔を合わせたことのない婚約者が、婚約式の準備をするために、とうとうマルグリットの領地までやってくるのだ。
初めての顔合わせを前に、マルグリットは打ちひしがれる。
「クリスティアン様、どうして婚約を破棄して下さらなかったの!」
別サイトにも重複投稿しています
転生したら死にゲーの世界だったので、最初に出会ったNPCに全力で縋ることにしました。
黒蜜きな粉
ファンタジー
『世界を救うために王を目指せ? そんなの絶対にお断りだ!』
ある日めざめたら大好きなゲームの世界にいた。
しかし、転生したのはアクションRPGの中でも、死にゲーと分類されるゲームの世界だった。
死にゲーと呼ばれるほどの過酷な世界で生活していくなんて無理すぎる!
目の前にいた見覚えのあるノンプレイヤーキャラクター(NPC)に必死で縋りついた。
「あなたと一緒に、この世界で平和に暮らしたい!」
死にたくない一心で放った言葉を、NPCはあっさりと受け入れてくれた。
ただし、一緒に暮らす条件として婚約者のふりをしろという。
婚約者のふりをするだけで殺伐とした世界で衣食住の保障がされるならかまわない。
死にゲーが恋愛シミュレーションゲームに変わっただけだ!
※第17回ファンタジー小説大賞にエントリー中です。
よろしければ投票をしていただけると嬉しいです。
感想、ハートもお待ちしております!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる