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ガサたちのその後
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レオンと子供に戻ったアルスは、ガサと妻の元へ急いだ。壊れた家の中には、ガサと妻が身を寄せ合っていた。年老いた妻は、レオンとアルスの無事な姿を見ると、目に涙を浮かべて喜んだ。
「ぼうやたち、無事だったのね?」
「おばあさん。元気になって良かったです」
レオンは嬉しくなって老婆に駆け寄った。老婆は優しくレオンとアルスを抱きしめてくれた。
妻のかたわらにいたガサは、レオンとアルスに、床に頭をすりつけてわびた。
「申し訳ありませんでした。女房を助けてくれた人たちを、わしは殺そうとしていました」
ガサは床に顔をすりつけて泣いていた。レオンはガサを抱き起こして言った。
「ガサさん、謝らないでください。ガサさんは奥さんを守ろうとしただけなんですから。僕だって、ガサさんと同じ立場なら、同じ事をするでしょう」
ガサは顔をゆがめて泣いた。妻は夫の背中を優しくなぜた。ガサはこれまでたくさんの人間をだまして、魔物に差し出していたのだろう。
ガサは涙が止まると、ポツポツと話しをしてくれた。
「この村に魔物がやって来て、村はメチャクチャになりました。息子のキダムは、わしらを守ろうと、魔物に立ち向かった。だが、やられてしまった。あろう事か、魔物はキダムを食べてしまった。魔物は人間の味を覚えてしまい、村の若い連中は皆食われてしまった。村に残った者は年寄りばかり。残った年寄りたちは、若い人間を連れてこなければならなかった。さもなければ自分たちが殺されてしまうから」
「ガサさん、村にいた魔物はアルが倒してくれました」
レオンの発言に、ガサと妻は驚きの表情をした。
翌日、レオンとアルスは大忙しだった。壊れたガサの家を直し、庭には畑を作った。
レオンの植物魔法で、豆、小麦、じゃがいも、とうもろこしなのどのたくさんの野菜を作った。
生き残った村人たちにも、レオンは野菜畑を作った。村人たちがこれからも暮らして行けるように。
レオンたちはガサたちと別れ、北を進んで行った。行きあう村々は、大なり小なり魔物の被害を受けていた。レオンとアルスは、魔物を退治し、壊れた家屋を修理した。
レオンとアルスは焚き火を焚いて野宿をしていた。アルスはだいぶ大きくなったので、夜遅くまで起きているようになった。アルスはレオンに色々な話しをしてくれた。天界で起きた、神や精霊たちのいざこざや面白い話し。神も精霊も、人間と同じように悲しんだり喜んだりしているのがわかった。
「ぼうやたち、無事だったのね?」
「おばあさん。元気になって良かったです」
レオンは嬉しくなって老婆に駆け寄った。老婆は優しくレオンとアルスを抱きしめてくれた。
妻のかたわらにいたガサは、レオンとアルスに、床に頭をすりつけてわびた。
「申し訳ありませんでした。女房を助けてくれた人たちを、わしは殺そうとしていました」
ガサは床に顔をすりつけて泣いていた。レオンはガサを抱き起こして言った。
「ガサさん、謝らないでください。ガサさんは奥さんを守ろうとしただけなんですから。僕だって、ガサさんと同じ立場なら、同じ事をするでしょう」
ガサは顔をゆがめて泣いた。妻は夫の背中を優しくなぜた。ガサはこれまでたくさんの人間をだまして、魔物に差し出していたのだろう。
ガサは涙が止まると、ポツポツと話しをしてくれた。
「この村に魔物がやって来て、村はメチャクチャになりました。息子のキダムは、わしらを守ろうと、魔物に立ち向かった。だが、やられてしまった。あろう事か、魔物はキダムを食べてしまった。魔物は人間の味を覚えてしまい、村の若い連中は皆食われてしまった。村に残った者は年寄りばかり。残った年寄りたちは、若い人間を連れてこなければならなかった。さもなければ自分たちが殺されてしまうから」
「ガサさん、村にいた魔物はアルが倒してくれました」
レオンの発言に、ガサと妻は驚きの表情をした。
翌日、レオンとアルスは大忙しだった。壊れたガサの家を直し、庭には畑を作った。
レオンの植物魔法で、豆、小麦、じゃがいも、とうもろこしなのどのたくさんの野菜を作った。
生き残った村人たちにも、レオンは野菜畑を作った。村人たちがこれからも暮らして行けるように。
レオンたちはガサたちと別れ、北を進んで行った。行きあう村々は、大なり小なり魔物の被害を受けていた。レオンとアルスは、魔物を退治し、壊れた家屋を修理した。
レオンとアルスは焚き火を焚いて野宿をしていた。アルスはだいぶ大きくなったので、夜遅くまで起きているようになった。アルスはレオンに色々な話しをしてくれた。天界で起きた、神や精霊たちのいざこざや面白い話し。神も精霊も、人間と同じように悲しんだり喜んだりしているのがわかった。
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