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レオン逃げる

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 アルスは右手の標準を魔物に合わせると、攻撃魔法を放った。

 魔物は、小さな人間の子供が突然強力な魔法を使って驚いたようだった。攻撃魔法に当たって、屋外に吹っ飛ばされてしまった。

 レオンはアルスを見た。アルスもレオンを見つめて言った。

「レオン、あやつはイエーリ団の統領のように、元人間の魔物もどきではない。あやつは完全に魔物じゃ。倒そうとは思うな、オレ様が行くまでの時間稼ぎをするのじゃ」
「わかったよ、アル。おばあさんを助けて」
「当たり前じゃ!オレ様は神じゃからな!」

 レオンは少し微笑んでアルスが作った大きな穴から飛び出した。あたりは真っ暗で、月だけがぼんやりとレオンを照らしていた。

 次第にレオンの目が闇夜に慣れて来ると、レオンの目の前に怒りの形相の魔物が現れた。アルスの攻撃魔法を受けて腹が立ったのだろう。

「貴様!許さんぞ!生きたまま、手足をもいで食ってやる!」

 魔物の怒りに、レオンは落ち着いた声で聞いた。

「ねぇ、何で人間を食べるの?」
「はぁ?!決まってんだろ。人間は魔物よりも弱いからだよ。弱い者は強い者に従うんだよ!」
「ふうん、じゃあアンタは自分よりも強い相手が現れたら、自分が食べられてもいいんだ?」
「ああ、そうだ。それが世のことわりだ」

 どうやらこの魔物はアルスに倒される事を承だくしたようだ。レオンはアルスが老婆の治療を終えて、魔物を倒しにやってくるまで持ちこたえなければいけない。

「じゃあ手始めに僕を捕まえてみな?」

 レオンはそう言うと、植物魔法を発動させた。地面からたくさんの木々が生い茂る。

 その隙間からツタ魔法を発動させると、レオンは器用に木々をすり抜けながら逃げ出した。魔物は辺りに生えている木々をいまいましそうに見て、攻撃魔法で木々を粉砕させていった。

 レオンは木々を育てる植物魔法とツタ魔法を合わせながら、常に魔物との距離を維持していた。

 魔物がレオンを捕まえるのをあきらめて、アルスのところに行かれてはまずいからだ。レオンはひたすら逃げた。

 魔物はレオンにイライラし出したようで、汚い言葉でののしりながら、やたらめったら攻撃魔法を辺りに投げた。

 その一つは、レオンが移動に使っていたツタ魔法に直撃した。レオンの身体が落下する。レオンは右手に持った武器からツタ魔法を発生させ、側に生えている木の枝に巻きつけ、振り子の要領で危機を回避した。

 レオンはまるで樹上で暮らす猿のように、木々を行き来していた。魔物の怒りが頂点を超えたようだ。魔物は訳のわからない叫び超えをあげると、その場一帯に火魔法で火をつけた。これでは植物魔法のレオンはたまらない。

「レオン!」

 その時アルスの声が聞こえた。レオンは目の前にりんごの木を生成した。最後の力を振り絞って、武器にツタ魔法をかける。武器からツタが伸び出し、りんごの木の枝に巻き付いた。

 レオンはりんごの木に飛び移ると、真っ赤なりんごをもいで、レオンに駆け寄ってくるアルスに投げた。

 アルスは小さな手で見事にりんごをキャッチした。レオンはホッとした途端、爆風で空中に吹っ飛ばされた。



 
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