召喚魔法で幼児が現れました僕がなりたい職業は保父さんではなく冒険者なのですが

戦闘

　アルスの身体が輝き出し、凛々しい神の姿になる。アルスは腰の剣を抜き構えると、目の前の魔物に叫んだ。

「魔物の分際で、神にケンカを売った事後悔するのじゃな！」

　魔物はアルスのタンカにケケケと気味の悪い笑い声を出した。アルスはジッと魔物の攻撃を待っているようだった。魔物の顔がピクリと動いた。

　アルスは攻撃に備える、手に持つ剣がカチャリと鳴った。その直後、魔物の口からクモの糸のようなものが大量に吐き出された。アルスはとっさにクモの糸を避けたが、顔をしかめた。

　アルスは冒険者の依頼で、下男の仕事をしていた時、意地悪な先輩に使っていない物置き小屋の掃除を命じられた。アルスは蜘蛛の巣だらけの室内に入るのをしぶっていると、先輩のボイに早くしろと、背中をけられたのだ。

　アルスはクモの巣に顔面から突っ込んでしまい、大泣きしてしまった。それ以降、アルスはクモの巣が苦手になってしまったのだ。

　レオンは心配げにアルスに聞いた。

「アル、大丈夫？」
「な、何を言っておるか！オレ様は神じゃぞ？！無敵なのじゃ！クモの糸ごときに遅れを取るわけないであろう」

　アルスは頬をひきつらせて笑う。魔物はクモの糸攻撃がアルスに効いているとわかったのだろう。ニヤニヤと笑って、たくさんのクモの糸を吐き出した。

　アルスはレオンにクモの糸が当たらないように、防御魔法を使ってくれていた。レオンの目の前の、見えない壁にベチャベチャとクモの糸が付着する。

　アルスは今度はクモの糸を避ける事はせず、剣で斬った。だがクモの糸は剣にべったりとくっついてしまった。アルスかヒィィと悲鳴をあげる。レオンはたまらず叫んだ。

「アル！火魔法でクモの糸を燃やして！」

　レオンのアドバイスに、アルスはハッとした顔になると、自身の剣に火魔法をまとわせた。アルスの剣が燃え上がり、クモの糸を一瞬で燃やしつくしてしまった。アルスはホッと息を吐いてから、魔物に不敵な笑みを浮かべた。

　魔物は、もうアルスにはクモの糸攻撃が通用しないとわかったのだろう。顔をしかめてから、アルスに向かって肉弾攻撃をしかけてきた。

　魔物の八本の手足は、まるで剣のようにアルスに襲いかかった。アルスは目にも止まらない速さで、魔物の手足を剣で打ち返していた。アルスは、剣の攻撃の方がはるかに戦いやすそうだった。

　レオンはアルスの見事な剣技に見とれてしまった。そんなレオンに厳しい声が響いた。

「よそ見をするとは余裕だな！お前の相手は俺だ、レオン！」

　レオンはアルスからカッタに視線を向けた。