召喚魔法で幼児が現れました僕がなりたい職業は保父さんではなく冒険者なのですが

戦いぼっ発

　銘々に食事が行き渡り、しばらくは食事を楽しんだ。フレアとシルフィは精霊なので、新鮮な果物を食べていた。

　レオンたちはビーフシチューや、パイ包みやパンなど頼んだ。アルスは食事が気に入ったのか、口の周りをベタベタにさせて食べていた。となりの席のフレアは、微笑みながらアルスの口を拭いたり、手をぬぐってやったりと、かいがいしく世話をしてくれた。

　レオンはフレアに申し訳ないと思ったが、フレアはアルスが可愛いから、世話をさせてくれと言った。以前のフレアは、アルスの事を怖がっているようだったが、最近はアルスに慣れて可愛がってくれるようになった。

　レオンは精霊たちがアルスが怖くないとわかってくれた事が嬉しかった。

　ルーカスはしきりにガブリエラに話しかけていた。趣味は、好きな食べ物は、やつぎばやに質問され、ガブリエラは少し困っているようだった。

　ルーカスの話しがひと段落した時、ガブリエラがルーカスとラウラに質問した。小さい頃のレオンはどうだったのか、と。小さな頃のレオンは、いつもいじめっ子のカッタに泣かされている情けない子供だった。あまりガブリエラに聞いてほしくなかった。

　それまで言葉少なだったラウラが、突然話し出した。レオンと自分は、いかに仲が良かったか。それはとうとうと話すので、ルーカスもガブリエラもポカンとしていた。

　ラウラは、レオンがいかに自分に優しくしてくれるかと、誇張を含めて話していると、ガブリエラが話しに割り込んできた。

「優しいといえば、レオンは私にもとっても優しいぞ？悪漢に乱暴されそうになった時、レオンが私を助けに来てくれたのだ。あの時のレオンはとてもカッコ良かったぞ」

　ガブリエラはそう話した後、レオンに微笑みかけた。その話しは事実だが、レオンは魔力を使いすぎてぶっ倒れてしまい、ガブリエラにベッドまで運んでもらったのだ。どうにもしまらなくて、苦笑いをしていると、ラウラはそれまで見た事もないほど怖い顔でレオンをにらんでいた。

　レオンはギクリとした。自分はラウラに何かしてしまったのだろうか。レオンがあたふたしていると、ラウラはガブリエラに向き直り、鋭い視線を向けながら言った。

「レオンは私にだって優しいわよ？パパに冒険者になるのを反対されてたけど、レオンが私のためにパパを説得してくれたんだから」
「私が敵に攻撃された時、レオンは身をていして私をかばい守ってくれたのだぞ」

　どことなくラウラとガブリエラの会話が噛み合っていないように思えるのはレオンだけだろうか。レオンは背中に冷たい冷や汗をかいた。