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解散
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ドーグはイエーリ団の残党を騎士団に突き出した。これでレオンの初の冒険者の仕事は完了したのだ。
レオンはドーグから、それまで見た事のないほどの金貨を手渡された。これはレオンとアルスの報酬だという。
レオンは報酬を受け取っても、嬉しい気持ちにはなれなかった。仲間の死を受け入れられなかったからだ。今回亡くなったトマとミトは、子供がいるため、レオンとアルスによく声をかけてくれた。
疲れていないか、困った事はないか、とレオンに話しかけてくれた。アルスの事は、頭を撫でてくれて、抱っこもしてくれた。そんな彼らはもうこの世にいないのだ。
冒険者たちはドーグから手渡された報酬の中から金貨を取り出し、ドーグに返していた。レオンがドンに質問すると、彼は寂しそうに笑って答えた。
「トマとミトの家族に金を贈るんだ。俺たち集団で依頼をする冒険者は、常に死ととなり合わせだからな。仲間の死も少なくはない。だから皆、自分が死んだらしてほしい事をしてるんだ」
ドンは別れた妻と息子にお金を渡さなければいけないといって、半分の金貨をドーグに手渡していた。ゴメスは受け取った金貨をすべてドーグに渡していた。
レオンは自身のズボンをつかんで立っているアルスに声をかけた。
「ねぇ、アル。いい」
「ああ。レオンの好きなようにするといい」
「ありがとう、アル」
レオンは二人分の報酬の麻袋を、持ってドーグの方に歩き出した。それを見たドンは声をかけた。
「お、おいレオン。まさか全額渡すつもりじゃないだろうな?!」
「?。はい、僕は植物魔法が使えるので、野宿すればお金はかからないですし」
「冒険者の初仕事だったんだろ?お袋さんに何か買ってやったらいいじゃないか?」
ドンの気づかいに、レオンは笑って答えた。
「僕の母は、僕が母に贈り物をするよりも。僕が、困っている誰かの手助けをする事の方を喜んでくれるんです」
「・・・。そうか、いいお袋さんだな」
「はい。僕の尊敬する人です」
レオンが二人分の金貨の袋を手渡すと、ドーグは無言で頭をさげてくれた。
レオンたちはドーグたち冒険者と別れる事になった。次の仕事に行く者、家族の元に帰る者、皆それぞれだった。
レオンはこの依頼を紹介してくれたバンスにあいさつをしようと思い、王都の冒険者協会に戻る事にした。
それを聞いたゴメスはぶっきらぼうに答えた。
「レオンとアルスの事は、ジジィに頼まれてたからな。俺も行くぜ」
「そんな事言ってぇ。バンスさんに会いたいくせに」
「うっせぇ!ドン!」
ゴメスは真っ赤になって、からかったドンをどなった。
おだやかな光景に、レオンは少しだけ微笑んだ。
レオンはドーグから、それまで見た事のないほどの金貨を手渡された。これはレオンとアルスの報酬だという。
レオンは報酬を受け取っても、嬉しい気持ちにはなれなかった。仲間の死を受け入れられなかったからだ。今回亡くなったトマとミトは、子供がいるため、レオンとアルスによく声をかけてくれた。
疲れていないか、困った事はないか、とレオンに話しかけてくれた。アルスの事は、頭を撫でてくれて、抱っこもしてくれた。そんな彼らはもうこの世にいないのだ。
冒険者たちはドーグから手渡された報酬の中から金貨を取り出し、ドーグに返していた。レオンがドンに質問すると、彼は寂しそうに笑って答えた。
「トマとミトの家族に金を贈るんだ。俺たち集団で依頼をする冒険者は、常に死ととなり合わせだからな。仲間の死も少なくはない。だから皆、自分が死んだらしてほしい事をしてるんだ」
ドンは別れた妻と息子にお金を渡さなければいけないといって、半分の金貨をドーグに手渡していた。ゴメスは受け取った金貨をすべてドーグに渡していた。
レオンは自身のズボンをつかんで立っているアルスに声をかけた。
「ねぇ、アル。いい」
「ああ。レオンの好きなようにするといい」
「ありがとう、アル」
レオンは二人分の報酬の麻袋を、持ってドーグの方に歩き出した。それを見たドンは声をかけた。
「お、おいレオン。まさか全額渡すつもりじゃないだろうな?!」
「?。はい、僕は植物魔法が使えるので、野宿すればお金はかからないですし」
「冒険者の初仕事だったんだろ?お袋さんに何か買ってやったらいいじゃないか?」
ドンの気づかいに、レオンは笑って答えた。
「僕の母は、僕が母に贈り物をするよりも。僕が、困っている誰かの手助けをする事の方を喜んでくれるんです」
「・・・。そうか、いいお袋さんだな」
「はい。僕の尊敬する人です」
レオンが二人分の金貨の袋を手渡すと、ドーグは無言で頭をさげてくれた。
レオンたちはドーグたち冒険者と別れる事になった。次の仕事に行く者、家族の元に帰る者、皆それぞれだった。
レオンはこの依頼を紹介してくれたバンスにあいさつをしようと思い、王都の冒険者協会に戻る事にした。
それを聞いたゴメスはぶっきらぼうに答えた。
「レオンとアルスの事は、ジジィに頼まれてたからな。俺も行くぜ」
「そんな事言ってぇ。バンスさんに会いたいくせに」
「うっせぇ!ドン!」
ゴメスは真っ赤になって、からかったドンをどなった。
おだやかな光景に、レオンは少しだけ微笑んだ。
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