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強力な魔法
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レオンはゴメスが助かった事がわかると、ぼろぼろと涙がこぼれた。ゴメスに、良かったと言おうとすると、ドンがゴメスの首に抱きつき号泣していた。
ゴメスはドンに重い、どけと言っているが、ドンは中々離れようとしなかった。
レオンは涙を拭って、ゴメスの太ももに結びつけたツタを、ゆっくりとゆるめていった。
ツタを取りさると、次に地面に手をついて、植物を作り出した。青々と育った植物を収穫すると、ゴメスに手渡した。
「はい、ゴメスさん」
「何だこれは」
「ほうれん草だよ?ゴメスさん、血がたくさん出たでしょ?鉄分とらなきゃ」
ゴメスは、生のほうれん草にかぶりつき、にげぇと言った。だがすべて食べきった。ゴメスはドンに水をよこせと言っている。ドンはカバンからコップを取り出すと、水魔法で水を作り出し、ゴメスに手渡した。
ドンは落ち着いた状態ならば、器用に魔法を使えるようだ。レオンがゴメスとドンをぼんやりと見ていると、どこかに行っていたアルスがレオンたちに声をかけた。
「おい、お前たち。こっちに来てみろ」
アルスは、ゴメスが倒した盗賊の前に立っていた。そこでレオンはある事に気づいた。ゴメスはドンを助けるために、二人の盗賊を倒したはずだ。それなのに、盗賊は一人しか倒れていなかった。倒れた盗賊のとなりには、土人形が置いてあった。
レオンは不思議に思って、アルスに質問した。
「アル。この土人形は何?」
「この土人形は、さっきまで盗賊だったモノじゃ」
「盗賊だったモノ?じゃあこの土人形がドンさんを襲ったっていうの?」
「ああ。オレ様も盗賊に魔法攻撃をして、おかしいと思ったのじゃ。魔法で攻撃した時、生身の人間に攻撃した手ごたえと、モノに攻撃魔法が当たった手ごたえがあったからの」
ドンに肩を借りながら、アルスの側までやってきたゴメスも口を開いた。
「そうか。俺が斬った何人かの盗賊は、土人形だったのか。道理で変な手ごたえだと思った。それに、ドンに襲いかかってきた盗賊の顔がうり二つでおかしいと思ったんだ」
レオンは頭が混乱しそうになった。この場には六人の盗賊が倒れていた。そのほとんどが息絶えている。六人の盗賊の側には、土人形がニ、三体置かれていた。
この土人形が、盗賊だったというのだ。レオンはハッとして自分がツタでぐるぐる巻きにした盗賊の側に駆け寄った。レオンは三人の盗賊をツタ魔法で拘束したはずなのに、捕まえたのは一人だけで、後の二つはやはり土人形だった。
レオンは盗賊に襲われた時の事を思い出した。言われてみれば確かに、レオンに襲いかかった盗賊の顔は、そっくりだったように思える。
レオンのとなりにアルスが近寄って来た。レオンはうわずった声で聞いた。
「ねぇ、アル。これは魔法なの?」
「ああ、とても高度な魔法じゃ。以前オレ様がゴーレムを倒したじゃろ?ゴーレムはただの土人形じゃ。だがこの土人形は、作りたい人間の細胞、まぁ髪が何かだろうが、それを入れて本人そっくりの生き人形を作ったのじゃ。しかも、各自意識を持って行動する事ができる。これはまずいかもしれん」
「まずいって何が?」
「イエーリ団ともうす奴ら、普通の盗賊団ではない。ドーグたちが危険じゃ」
ゴメスはドンに重い、どけと言っているが、ドンは中々離れようとしなかった。
レオンは涙を拭って、ゴメスの太ももに結びつけたツタを、ゆっくりとゆるめていった。
ツタを取りさると、次に地面に手をついて、植物を作り出した。青々と育った植物を収穫すると、ゴメスに手渡した。
「はい、ゴメスさん」
「何だこれは」
「ほうれん草だよ?ゴメスさん、血がたくさん出たでしょ?鉄分とらなきゃ」
ゴメスは、生のほうれん草にかぶりつき、にげぇと言った。だがすべて食べきった。ゴメスはドンに水をよこせと言っている。ドンはカバンからコップを取り出すと、水魔法で水を作り出し、ゴメスに手渡した。
ドンは落ち着いた状態ならば、器用に魔法を使えるようだ。レオンがゴメスとドンをぼんやりと見ていると、どこかに行っていたアルスがレオンたちに声をかけた。
「おい、お前たち。こっちに来てみろ」
アルスは、ゴメスが倒した盗賊の前に立っていた。そこでレオンはある事に気づいた。ゴメスはドンを助けるために、二人の盗賊を倒したはずだ。それなのに、盗賊は一人しか倒れていなかった。倒れた盗賊のとなりには、土人形が置いてあった。
レオンは不思議に思って、アルスに質問した。
「アル。この土人形は何?」
「この土人形は、さっきまで盗賊だったモノじゃ」
「盗賊だったモノ?じゃあこの土人形がドンさんを襲ったっていうの?」
「ああ。オレ様も盗賊に魔法攻撃をして、おかしいと思ったのじゃ。魔法で攻撃した時、生身の人間に攻撃した手ごたえと、モノに攻撃魔法が当たった手ごたえがあったからの」
ドンに肩を借りながら、アルスの側までやってきたゴメスも口を開いた。
「そうか。俺が斬った何人かの盗賊は、土人形だったのか。道理で変な手ごたえだと思った。それに、ドンに襲いかかってきた盗賊の顔がうり二つでおかしいと思ったんだ」
レオンは頭が混乱しそうになった。この場には六人の盗賊が倒れていた。そのほとんどが息絶えている。六人の盗賊の側には、土人形がニ、三体置かれていた。
この土人形が、盗賊だったというのだ。レオンはハッとして自分がツタでぐるぐる巻きにした盗賊の側に駆け寄った。レオンは三人の盗賊をツタ魔法で拘束したはずなのに、捕まえたのは一人だけで、後の二つはやはり土人形だった。
レオンは盗賊に襲われた時の事を思い出した。言われてみれば確かに、レオンに襲いかかった盗賊の顔は、そっくりだったように思える。
レオンのとなりにアルスが近寄って来た。レオンはうわずった声で聞いた。
「ねぇ、アル。これは魔法なの?」
「ああ、とても高度な魔法じゃ。以前オレ様がゴーレムを倒したじゃろ?ゴーレムはただの土人形じゃ。だがこの土人形は、作りたい人間の細胞、まぁ髪が何かだろうが、それを入れて本人そっくりの生き人形を作ったのじゃ。しかも、各自意識を持って行動する事ができる。これはまずいかもしれん」
「まずいって何が?」
「イエーリ団ともうす奴ら、普通の盗賊団ではない。ドーグたちが危険じゃ」
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