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ガブリエル対レオン

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 レオンはぼう然として立ちつくした。レオンはぼんやりしながら、仲間であり、友達であるガブリエルを見た。ガブリエルは厳しい顔で言った。

「レオン。本気で俺と戦え!もし手加減したら、俺はもうお前の事を友達とは思わない」

 ガブリエルのキッパリとした言葉に、レオンも覚悟を決めた。ガブリエルは女性である事を隠して、必死に冒険者を目指している。レオンだとて、ゆずれない思いで冒険者を目指しているのだ。レオンは必ず冒険者になる。たとえ友達のガブリエルを倒しても。

 レオンとガブリエルの戦いは、小休止の後に行われた。ガブリエルはこれまで見た事がないほど厳しい顔をしていた。だがその顔は、とても美しかった。

 教官の試合初めの合図に、レオンは最初から魔法を発動させた。ガブリエルの剣技の実力は、側で見ているレオンが一番よく知っている。少しの油断が敗北を招いてしまう。レオンの足元から大量のツタ魔法が出現し、ガブリエルに向かって行く。

 ガブリエルは素早い身のこなしで、ツタを斬り、レオンに向かって来た。ガブリエルはすぐさまレオンに間合いを近づけた。

 レオンは離れた距離から、ツタ魔法を出現させ、自身の身体に巻きつけて、ガブリエルと距離をとった。

 レオンの握っている剣のつかが汗ですべる。にわか仕込みのレオンの剣技では、剣の達人であるガブリエルにかすり傷一つおわせられないだろう。

 レオンはこれまで磨いてきた魔法でガブリエルを倒さなければいけない。ガブリエルの猛攻は止まる事を知らない。

 レオンがツタ魔法で距離を取っても、ガブリエルはすぐに間合いをつめてくる。これではらちがあかない。何かガブリエルに空きを作らせる手段を考えなければいけない。

 レオンは足元から大量のツタを出現させた。これでガブリエルはレオンの姿を目視できないだろう。

 ガブリエルはきっと、やっきになってツタを斬り、レオンを探すだろう。レオンはガブリエルがツタのかたまりに意識を向けているだろうと予測し、ツタを自身の身体に巻きつけて、上空に飛び上がった。

 レオンの眼下には、ツタのかたまりに剣を打ちつけているガブリエルの頭が見えた。レオンは自身に巻きついているツタ魔法を解除した。

 レオンの身体は重力にしたがって落下を始めた。レオンは両手で真剣をしっかり握りながら叫んだ。

「ガブ!」

 ガブリエルは、レオンの声に頭上をみあげ、剣を持っていない片手で左側に側転すると、レオンの渾身の一撃を避けた。だが、わずかにガブリエルの姿勢が崩れた。レオンは地面からツタを生成させて、自身の身体に巻きつけて着地し、間髪入れずに、ツタ魔法を発動させて、ガブリエルに巻きつけた。

 ガブリエルは剣を持つ手もツタに拘束され、身動きが取れなくなった。レオンはガブリエルの側まで来て言った。

「ガブ。棄権して、くれるかい?」
「・・・。ああ、俺の完敗だ」

 レオンはさびしげに笑って、ガブリエルに巻きついているツタ魔法を解除した。

 レオンの悲しげな表情を見たガブリエルは、カラッと笑って言った。

「何しけた顔してんだ。レオン!お前は冒険者になったんだ!おめでとう。俺だって、来年は必ず冒険者になる!」
「うん。僕もガブが冒険者になるのを楽しみにしている」

 レオンとガブリエルが笑いあっていると、教官が拍手しながら近寄って来て言った。

「お前たち、合否を自分たちで勝手に決めるな。レオン、ガブリエル。お前たちは合格だ。おめでとう」

 レオンとガブリエルは、嬉しくなって、強く抱きしめあった。

 
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