召喚魔法で幼児が現れました僕がなりたい職業は保父さんではなく冒険者なのですが

盛平

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レオン怒る

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「お前たち!何をしている!ガブを離せ!」

 研修生たちは、レオンを見て笑いながらガブリエルに言った。

「よぉ、ガブリエル。彼氏の登場だぜ?俺たちに可愛がられる所を見てもらったらいい」

 そう言って研修生の男たちはひげた笑い声をあげた。ガブリエルは、男たちに今にも胸あてをむしり取られそうだった。ガブリエルは身じろぎしながらレオンに向かって叫んだ。

「レオン!俺の事はいい!教官を呼んで来てくれ!」

 研修生の男たちは、レオンに教官を呼んでこられてはたまらないと、レオンも捕らえようとした。研修生たちの所業に、レオンの怒りは限界をむかえた。レオンは低い声で男たちに言った。

「今すぐガブを離せ。さもないとお前たちを倒す」

 レオンの宣言に、男たちはドッと笑って言った。

「ギャハハ!小僧!やれるもんならやってみな!」
「笑わせるぜ!研修生の中で一番弱いくせによ!」

 男たちは完全にレオンをみくびっていた。無理もない、レオンは訓練をしても、ちっとも剣術が上達しなかったからだ。

 だがレオンは、剣の技術の穴を埋めるように、自身の魔法を磨いた。今この時しかない。ガブリエルを助けるために魔法を発動させるのだ。

 レオンの足元から、沢山のツタ植物が出現した。そのうちの一本は、今にもレオンを捕らえようとしている男に巻きつき、締めあげた。男は無様に叫び声をあげた。

 残りのツタは、ガブリエルをはがいじめにしている五人の男たちに巻きついた。レオンはしめ殺さない程度に力を入れながら言った。

「二度とガブに近づかないと誓え。さもないと、殺すぞ」

 もちろん彼らを殺す気なんてもうとうない。研修中に人死にが出れば、冒険者試験どころではなくなる。だがレオンは彼らに約束させたかったのだ。二度とガブリエルを傷つけないと。

「レオン!」

 突然、目の前にガブリエルが立っていた。ガブリエルは震えていた。ガブリエルは震える手で、レオンを抱きしめて言った。

「レオン。私は大丈夫だから、彼らを放して?」

 ガブリエルの腕の中は柔らかく、レオンは幼い日に抱きしめられた母の事を思い出した。途端にレオンの身体から力が抜けて、ツタ魔法は解除された。

 研修生の男たちは、口々にバケモノと叫んで逃げて行った。レオンは急激に大量の魔力を使ったので、ガブリエルの腕の中で意識を失ってしまった。

 

 
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