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盛平

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魔王との戦い

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 ゼノの孫娘エイミーはすかさず契約霊獣のピピに指示を出した。

「ピピ、サイの霊獣に金属攻撃魔法!相手の反撃に注意」
『わかった!』

 うさぎの霊獣ピピは土魔法で金属の刃物を沢山出現させ、サイの霊獣めがけて投げた。サイの霊獣は風防御魔法でピピの刃物を防御した。そして風攻撃魔法でエイミーとピピに攻撃を仕掛けた。ピピは鉱物防御魔法で風攻撃魔法を回避した。

 バートは相棒の契約霊獣ポーに言った。

「ポー、今回も僕のテイムは効かないようだ。助けてくれるかい?」
「勿論よ、バート」
「ありがとう、ポー。じゃあゾウの霊獣を風防御魔法で包んでくれるかい?」
「わかったわ」

 霊獣のポーは巨大なゾウの霊獣を風防御魔法でおおった。ゾウの霊獣はそれを嫌がり、強力な炎魔法で風防御魔法を破壊した。そしてバートとポーに炎攻撃魔法を仕掛けた。ポーは自分とバートを風防御魔法で守る。バートはポーに礼を言ってから、もう一度お願いをした。

「ポー、もう一度ゾウの霊獣を風防御魔法でおおってくれるかい?今度は内部を真空状態にしてほしいんだ」
「わかったわ。でもどうして?」
「僕の推測が正しければなんだけど。以前魔物と契約したザランが霊獣と精霊を操っていただろう?操られた霊獣たちはあまり自分たちの実力を出せていなかったように思えたんだ。だから強力な攻撃魔法は使えても考えて行動する事が出来ないんじゃないかと思ったんだ」
「つまり私たちの攻撃の意図を理解できないという事ね?」
「ああ、そこが僕たちが彼らに勝てる糸口だと思う」

 霊獣ポーはうなずいてゾウの霊獣を再び風防御魔法でおおいつくした。今度は内部は真空状態にしている。つまり空気が薄いのだ。ゾウの霊獣は呼吸が苦しくなり、苦し紛れに炎魔法を使おうとしたが、炎を燃やす空気がなかった。ゾウの霊獣は苦しさのあまり風防御魔法の中で倒れてしまった。

 このまま仮死状態になって、操り魔法の原因である槍を吐き出してくれれば良いのだが。バートはそう考えていた。だが横やりが入った。ゼノとノーマが戦っていた水の精霊が、ゾウの霊獣を助けるために水攻撃魔法をポーの風防御魔法に当てたのだ。ポーの風防御魔法は破壊されてしまった。ゾウの霊獣は息を吹き返した、だがバートの願い虚しく操りの魔法は解けていなかった。

 ゼノはノーマとうなずきあうと植物土魔法を発動させた。ゼノたちがいる王の間は、城内部の三階に位置している。したがって地面から離れているのだ。植物土魔法を使うのにはいささか分が悪い。だがノーマは千年以上生きる土の精霊だ。強力な植物土魔法を使い、床から巨大なツタ植物が姿を現した。

 ツタ植物はまるで意思を持っているかのように縦横無尽に動き、敵を攻撃する。ゼノとノーマは操られている水の精霊と、クリフォードとパンテーラが戦っている魔王バモンに同時に攻撃を仕掛けなければいけなかった。水の精霊は水攻撃魔法でツタ植物を破壊していく。魔王バモンもツタ植物を攻撃しなかがら、パンテーラに乗り剣を構えたクリフォードを攻撃していた。パンテーラはものすごい速さで移動をするのでゼノとノーマの肉眼では動きをとらえる事はできなかった。そのためノーマはパンテーラにリンクして逐一行動を知らせてもらっているのだ。

 クリフォードは契約霊獣のパンテーラに乗り剣を構えた。パンテーラは風魔法を使い高速で走る事ができる。ただパンテーラに乗るクリフォードもそのままでは振り落とされてしまう。クリフォード自身も身体強化の魔法を使い、パンテーラの魔法についていかなければいけないのだ。だがこのクリフォードとパンテーラの魔法と剣で魔王バモンを倒したのだ。クリフォードは誓った。今目の前にいる復活したバモンを必ず倒すと。

 ゼノはくちびるを舐めている自分に気づいて苦笑した。孫娘のエイミーは相棒のピピと共にサイの霊獣と相対して奮闘している。ゼノは現在の戦況を冷静にふかんして見た。魔王バモンと霊獣と精霊、かたやゼノとクリフォードと仲間たち。勝負は互角と言って良かった。だが戦いが長期化すれば魔力の強大な魔王軍より、人間が多いゼノたちの方が不利だ。ゼノはノーマに言った。

「ノーマ、ルプスたちを呼んでくれ」

 ノーマはうなずいて目を閉じた。するとゼノのとなりに大きな狼が現れた。ひたいにツノがある狼の霊獣ルプスだ。ルプスはゼノにたずねた。

『どうしたのだゼノ、ノーマ』
「ルプス、目の前にいるフードの奴が精霊や霊獣を操る魔法をかけている魔王バモンじゃ。頼む、霊獣と精霊を保護してくれぬか」
『承知した。タウルス!シエルバ!オッサ!』

 ルプスの声に、牡牛の霊獣、雄鹿の霊獣、クマの霊獣が現れた。ルプスは的確に仲間たちにゼノたちの手助けするよう指示を出した。ルプスの仲間たちは迅速に行動を開始する。ルプスはゼノたちの手助けに入ろうとしていたようだ。だが急にルプスの動きが止まった。ゼノは不審に思ってルプスに声をかけた。

「どうしたのじゃルプス?」
『メリッサが呼んでる』

 ルプスはゼノたちに申し訳なく思って、次の行動にうつせないでいるようだ。メリッサはゼノにとってもう一人の孫娘のような存在だ。メリッサがルプスを呼んでいるのならば、メリッサか危険な目にあっているかもしれない。ゼノはルプスに言った。

「ルプス、頼むメリッサを助けに行ってくれ」
『ゼノ、ノーマすまない!皆後を頼むぞ!』

 ルプスはゼノとノーマに黙礼してから、仲間に声をかけて姿を消した。メリッサの元に行ったのだ。どうやらメリッサにも危険が迫っているようだ。ゼノは心の中で願った、メリッサどうか無事でいてくれ、と。

 
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