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パティの家族3
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パティたちは食堂で、楽しい夕食のひと時を持った。
エリオは、エラルドが生真面目な性格である事がわかってから、何かにつけてエラルドをからかって怒らせていた。その度にコジモとゼゴが二人を止めている。
もうパティは気にしない事にした。デイジーとマイラはロレーナが可愛くて仕方ないのか、何くれと話しかけ世話を焼いていた。
「ねぇ、ロレーナ。今日は私の家に泊まりなさいな。パティもデイジーもいるし」
「わぁ、いいんですか?嬉しい!」
マイラの提案にロレーナも乗り気だ。デイジーは少し考える素振りをして言った。
「ねぇ、マイラ。パティとロレーナがベッドを使うとして、あたしとマイラはどこに寝るの?」
「決まってるじゃない。私がソファを使って、デイジーはマックスと床で寝るのよ」
「それってひどくない?!」
「ひどくないわよ。だってデイジーはいつも野宿じゃない」
「・・・。それもそうね」
納得してしまったデイジーを見て皆笑った。マイラはそんな事を言っているけれど、本当はマイラとパティとロレーナ三人でベッドを使って、ソファはデイジーにゆずるつもりなのだ。
マイラはそういえばと言ってパティを見た。
「パティが教えてほしいと言っていた畑のお手伝いの依頼が来ているわよ」
「本当?マイラ」
パティは冒険者協会の受付のマイラにいつもお願いしているのだ。あまり報酬を出せないけれど、とても困っている人の依頼が来たら教えてほしい、と。
「ええ。何かの病気なのか小麦の発育が悪いんだって。土魔法を使う冒険者を依頼しているわ。ソバラという小さな村なんだけど。馬車で行けば五日かかる場所ね」
農家のお手伝いならば、土魔法を使うチャーミーがいてくれれば大丈夫だ。
「わかったわ、マイラ。私たち今夜出発する」
「えっ?!もう夜よ?明日の朝に出発したら?」
「ううん。農家の人たちの朝は早いから、朝に到着して一緒にお手伝いした方がいいわ」
パティは言うが早いか、席を立つとマイラとデイジーの側まで来た。
「マイラお姉ちゃん、デイジーお姉ちゃん。キスして?」
マイラとデイジーはとびきりの笑顔でパティを抱きしめてから頬にキスをしてくれた。パティは次にトグサの前に立った。トグサは笑顔でパティを抱きしめてくれる。
「お父さん、」
「行っておいで、パティ。君が経験する一つ一つの事は、すべて君の糧になる」
「はい!」
パティはエリオとコジモの前に立つ。
「エリオお兄ちゃん」
「暴れて来い!パティ」
「もう、畑のお手伝いに行くだけだよ」
「甘い、どんな時でも気を抜いてはだめだ!」
「はい!」
「コジモお兄ちゃん」
「パティ、気をつけてね?マックスたちがいるから大丈夫だと思うけど、」
「大丈夫、心配しないで?」
次にパティはロレーナを抱きしめた。
「ロレーナ、私の可愛い妹」
「パティお姉ちゃん」
パティはエラルドとゼゴの側に立った。
「エラルドお兄ちゃん」
「パティ。お前は妹であると同時に俺の弟子だ。杖の訓練は怠るなよ?」
「はい!」
「ゼゴさんも、行ってきます」
「う、ああ」
ゼゴはどうしてよいかわからないようで、居心地悪そうにうなずいた。
パティはマックスたちと共に食堂を出た。
マイラたちは外までパティを見送りに出てくれた。
パティは肩に乗ったピンキーにお願いをした。
ピンキーは大きな鳥になり、マックスとチャーミーは小さくなって、アクアの入っているショルダーバッグに飛び込んだ。
マイラが手を振りながら言った。
「パティ!何か困った事があったら私にすぐに知らせるのよ?」
「そうしたら、あたしたちがすぐに助けに行くからね!」
デイジーも手を振りながら言ってくれた。
「ありがとう、皆。行ってきます」
ピンキーに乗ったパティは夜空に飛び立った。
頬に当たる夜風は少し冷たい。だがパティの心はポカポカにあたたかかった。
ショルダーバッグの中のマックスがワンワンと鳴いた。
家族と別れて寂しいかと聞いているのだ。
「そうね。本当の事言うと、出発を明日にして、今夜はマイラたちと一緒に過ごしたかった。でもね、私は冒険者だもの。困っている人がいるなら、一分でも一秒でも早く助けに行かなきゃ。皆、協力してくれる?」
「ワンワン!」
「ニャー!」
「プクプク!」
マックスとチャーミーとアクアが元気よく返事をしてくれる。パティたちを乗せてくれているピンキーがピーと鳴いた。
パティは笑いながら星が瞬く夜空を見つめた。
エリオは、エラルドが生真面目な性格である事がわかってから、何かにつけてエラルドをからかって怒らせていた。その度にコジモとゼゴが二人を止めている。
もうパティは気にしない事にした。デイジーとマイラはロレーナが可愛くて仕方ないのか、何くれと話しかけ世話を焼いていた。
「ねぇ、ロレーナ。今日は私の家に泊まりなさいな。パティもデイジーもいるし」
「わぁ、いいんですか?嬉しい!」
マイラの提案にロレーナも乗り気だ。デイジーは少し考える素振りをして言った。
「ねぇ、マイラ。パティとロレーナがベッドを使うとして、あたしとマイラはどこに寝るの?」
「決まってるじゃない。私がソファを使って、デイジーはマックスと床で寝るのよ」
「それってひどくない?!」
「ひどくないわよ。だってデイジーはいつも野宿じゃない」
「・・・。それもそうね」
納得してしまったデイジーを見て皆笑った。マイラはそんな事を言っているけれど、本当はマイラとパティとロレーナ三人でベッドを使って、ソファはデイジーにゆずるつもりなのだ。
マイラはそういえばと言ってパティを見た。
「パティが教えてほしいと言っていた畑のお手伝いの依頼が来ているわよ」
「本当?マイラ」
パティは冒険者協会の受付のマイラにいつもお願いしているのだ。あまり報酬を出せないけれど、とても困っている人の依頼が来たら教えてほしい、と。
「ええ。何かの病気なのか小麦の発育が悪いんだって。土魔法を使う冒険者を依頼しているわ。ソバラという小さな村なんだけど。馬車で行けば五日かかる場所ね」
農家のお手伝いならば、土魔法を使うチャーミーがいてくれれば大丈夫だ。
「わかったわ、マイラ。私たち今夜出発する」
「えっ?!もう夜よ?明日の朝に出発したら?」
「ううん。農家の人たちの朝は早いから、朝に到着して一緒にお手伝いした方がいいわ」
パティは言うが早いか、席を立つとマイラとデイジーの側まで来た。
「マイラお姉ちゃん、デイジーお姉ちゃん。キスして?」
マイラとデイジーはとびきりの笑顔でパティを抱きしめてから頬にキスをしてくれた。パティは次にトグサの前に立った。トグサは笑顔でパティを抱きしめてくれる。
「お父さん、」
「行っておいで、パティ。君が経験する一つ一つの事は、すべて君の糧になる」
「はい!」
パティはエリオとコジモの前に立つ。
「エリオお兄ちゃん」
「暴れて来い!パティ」
「もう、畑のお手伝いに行くだけだよ」
「甘い、どんな時でも気を抜いてはだめだ!」
「はい!」
「コジモお兄ちゃん」
「パティ、気をつけてね?マックスたちがいるから大丈夫だと思うけど、」
「大丈夫、心配しないで?」
次にパティはロレーナを抱きしめた。
「ロレーナ、私の可愛い妹」
「パティお姉ちゃん」
パティはエラルドとゼゴの側に立った。
「エラルドお兄ちゃん」
「パティ。お前は妹であると同時に俺の弟子だ。杖の訓練は怠るなよ?」
「はい!」
「ゼゴさんも、行ってきます」
「う、ああ」
ゼゴはどうしてよいかわからないようで、居心地悪そうにうなずいた。
パティはマックスたちと共に食堂を出た。
マイラたちは外までパティを見送りに出てくれた。
パティは肩に乗ったピンキーにお願いをした。
ピンキーは大きな鳥になり、マックスとチャーミーは小さくなって、アクアの入っているショルダーバッグに飛び込んだ。
マイラが手を振りながら言った。
「パティ!何か困った事があったら私にすぐに知らせるのよ?」
「そうしたら、あたしたちがすぐに助けに行くからね!」
デイジーも手を振りながら言ってくれた。
「ありがとう、皆。行ってきます」
ピンキーに乗ったパティは夜空に飛び立った。
頬に当たる夜風は少し冷たい。だがパティの心はポカポカにあたたかかった。
ショルダーバッグの中のマックスがワンワンと鳴いた。
家族と別れて寂しいかと聞いているのだ。
「そうね。本当の事言うと、出発を明日にして、今夜はマイラたちと一緒に過ごしたかった。でもね、私は冒険者だもの。困っている人がいるなら、一分でも一秒でも早く助けに行かなきゃ。皆、協力してくれる?」
「ワンワン!」
「ニャー!」
「プクプク!」
マックスとチャーミーとアクアが元気よく返事をしてくれる。パティたちを乗せてくれているピンキーがピーと鳴いた。
パティは笑いながら星が瞬く夜空を見つめた。
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