究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

エラルド対統領3

　エラルドはひたすらウェゴに剣を打ち込み、ウェゴはエラルドの剣を流し続けた。

　エラルドは内心焦っていた。ウェゴはエラルドがこれまでに戦ってきた相手の中で一番の強さだった。エラルドは全力でウェゴと戦わなければわいけないという事、つまりエラルドは手加減ができないのだ。

　もしかするとエラルドは父の教えに背き、ウェゴを殺してしまうかもしれない。

　エラルドは早くウェゴを倒して、ロレーナとパティのところに行かなければ行けない。ロレーナとパティ、囚われた娘たち、フロンの人々を助けるためなら、エラルドがウェゴを殺す事は仕方のない事なのではないだろうか。

「おい、こぞう。何を考えている。戦いに集中しろ」

　ウェゴは口元に笑みを浮かべながら言った。ウェゴにはまだ余裕があるのだ。エラルドは自分の頭に血がのぼっているのを感じた。

　エラルドは動揺していた。何を第一に考えていいかわからなかった。

　剣を構えるという事は、薙いだ海のようなものだ。荒れては真実は見えない。

　ふと師である父の言葉が脳裏に浮かんだ。エラルドは幼い頃から父の言葉を繰り返し学んでいた。

　エラルドは剣を持つ時決して心を荒げないように心がけていた。常に父の教えを守っていた。

　エラルドは目を閉じた。ゆっくりと深呼吸をした。エラルドの荒れた心が薙いでいく。

　エラルドはゆっくりと目を開いた。目の前のウェゴが挑発的に笑っている。もうエラルドの心はゆらがなかった。

　エラルドはウェゴに斬りかかった。ウェゴはエラルドの剣先を受け流すが、ウェゴの手を読んだエラルドは、すぐさま返す刀でウェゴに斬りかかる。

　ウェゴの手の先を読むエラルドに、ウェゴは次第に焦りを顔に出し始めた。このまま押せばエラルドの勝利が見えると考えた時、エラルドはゾクリと背筋が寒くなった。

　危機的状況の時に、エラルドが感じる直感のようなものだ。エラルドは背後に飛び下がった。

　その直後、エラルドの目の前を氷の刃が襲った。

「よく避けたな、こぞう」
「・・・。ウェゴ、お前の魔法は《ソード》ではないのだな？」
「ああ、俺の魔法は《フローズンソード》。氷の剣だ。切り札は最後まで取っておかないとな」

　ウェゴが剣を振るう度に氷の刃がエラルドを襲う。エラルドはバック転や側転をしながら避けるしかなかった。

　エラルドは逃げながら左手の中指に小さな剣の指輪を作った。

　ウェゴの氷の刃が身に降りかかろうとした時、エラルドは左手から火の玉を出した。

　だが巨大な氷の刃と、エラルドの出した小さな火の玉では勝負は歴然だった。

「ヒャハハ！《ファイヤーハンド》をもっと訓練すべきだったな。終わりだ、こぞう！」

　ウェゴは剣を大きく降り、大量の氷の刃がエラルドに襲いかかった。エラルドは剣で氷の刃を切り続けたが、ついに手に持った剣は破壊されてしまった。

「エラルド！」

　ゼゴが大声でエラルドの名前を叫んだ。