究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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パティ対アンチ魔法2

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「ギャァ!」

 盗賊の叫び声が上がる。パティが声の方に視線を向けると、マックスが盗賊の右腕に噛みついてぶら下がっていた。

 盗賊は空いている左手でマックスを殴ろうとしたが、マックスはヒラリと身をひるがえして着地した。

「マックス!ありがとう!」
「ワン!」

 パティは気を落ち着けるためにフゥと息を吐いた。目の前には右手からダラダラと血を流している怒りの形相の盗賊。

「小娘、テメェと犬は殺してくださいと哀願するまでいたぶって殺してやる」
「やれるものならやってみなさいよ。私とマックスはアンタみたいな奴には負けない!」

 パティの目の先に水防御ドームが見えた。めん棒を握りしめて不安そうなドム。きっと彼のポケットの中にはパティの大切なアクアが入っているのだろう。

 ドムの後ろにはブルブルと震えている少女たち。彼らはほんの少し前まで普通の暮らしをしていた。

 だが状況が一変した。ドムは料理が上手いという理由で無理矢理盗賊のアジトに連れてこられたのだ。

 少女たちは美しいという理由だけでさらわれて、売られようとしている。

 これはあまりにも理不尽だ。それなのにその理不尽は公然とおこなわれている。

 パティだとてそうだ。黒い髪と黒い瞳で生まれてきたがために、悪意と暴力にさらされて生きてきた。

 パティは神さまからマックスたちを授り、理不尽な悪意の連鎖から抜け出す事ができた。パティは理不尽な状況に置かれている彼らを助けなければならない。それは理不尽な状況におちいっていたパティだから共感できる事なのだ。

 パティは目の前の盗賊をにらんだ。マックスが太い血管を傷つけたのだろう。止血のしていない右手からはダラダラと血がしたたり落ちていた。

 盗賊は怒りのため痛みは感じていないらしく、すぐさまパティを斬ろうとしていた。

 パティは杖を持ち直し、盗賊に向かって行った。盗賊がパティに向かって剣を振り下ろす。パティは杖で剣をしっかりと受ける、先ほどよりも圧が弱かった。
 
 パティは杖を傾けて剣先の向きを変えると、返す杖で相手の左肩胴に攻撃した。盗賊はグウッと痛みのうめき声をもらす。

 パティは敵から一歩飛びのいて、距離を取った。盗賊の身体は小刻みにゆれていた。出血のしすぎだ。早く相手を倒して止血しなければ。

 パティは杖を構えて相手に突進した。盗賊が剣を振り下ろす。パティは杖で剣を払いのけると、クルリと杖を回転させて、相手のあごめがけて打ち上げた。盗賊はバタリと仰向けに倒れた。

「やったね!マックス!」
「ワン!」

 パティとマックスは魔法を使わないで敵に勝利したのだ。

 


 

 

 
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