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パティ対アンチ魔法

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 パティはマックスと共に長い廊下をひたすら走った。目指すは囚われた少女たちの部屋。

 パティが奥まった廊下の先の部屋に行くと、ドアは開け放たれ、室内にはアクアの作った水防御ドームが見えた。ドームの中の最前列にはドムがめん棒を握りしめて立っている。

 何故ならドームの前には、もう少しで身体の氷を溶かし終えようとする見張りが立っていたからだ。

「貴様ら!よくも逆らったな!この氷が溶けたら貴様らを皆殺しにしてやる!」

 パティからはわからないが、アンチ魔法を持つ見張りの盗賊は、きっと恐ろしい顔をしているだろう。

「その人たちに手は出させないわ!私が相手よ!」

 パティの大声に、見張りの盗賊はゆっくりと振り向いた。

「昨日の小娘。やはり騎士団のまわし者だったか。希望通りお前から始末してやろう」

 身体の氷を溶かし終えた盗賊は、ゆっくりと腰の剣を抜き構えた。パティも腰の後ろにさしてある杖(じょう)を抜き取って振った。杖は百二十センチの長さになった。

 パティはゴクリとツバを飲み込んだ。これから真剣を持つ相手と戦うのだ。以前に戦ったチンピラとはわけが違う。

 パティはゆっくりと剣を構えた盗賊に近づいた。できるだけアクアたちから盗賊を遠ざけたかった。盗賊のアンチ魔法の範囲はおよそニメートール。

 その距離がかせげれば、ドムと少女たちはアクアに守ってもらえる。案の定しびれをきらした盗賊がパティに駆け寄って来た。

 パティの視線の先にアクアの水防御ドームが見える。アクアたちはアンチ魔法の制約範囲を抜けたのだ。これで心おきなく戦える。

 パティの横に控えているマックスがグルグルうなり声をあげている。彼はパティと共に戦ってくれようとしているのだ。

 さかだったパティの気持ちが少し穏やかになる。パティは大切な友達のマックスを守るために杖をひたすら練習したのだ。今その真価が問われるのだ。

「マックス、私は大丈夫よ。その場で待機」
「ワン」

 マックスはパティが杖で戦う事を了承してくれた。パティは気持ちを新たにして盗賊に向かって駆け出した。

 盗賊が剣を振りかぶる。パティは盗賊の剣を杖で受け、剣の力の方向を横に流し、杖を返して相手の左肩に杖を叩き込もうとした。

 これで終わる。パティがそう考えた途端、相手の剣先の方向が突然変わった。相手にパティの手の内を読まれていたのだ。

 盗賊の剣はパティの首めがけて打ち込まれた。斬られる。そう思った瞬間、マックスの激しい咆哮が辺りに響いた。

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